記事ポイント
- 自動車リサイクル部品のCO2削減量を世界初の方法論でカーボンクレジット化
- LCA算定に基づき90部品のCO2削減量を定量化、Scope3対策に活用可能
- 2026年秋頃に世界初の自動車パーツリユースクレジット第1号の発行を目指す
NGPとLinkholaは、民間主導のボランタリークレジット制度「EARTHSTORY」において、新たな方法論「自動車パーツリサイクル」を2026年5月27日に正式策定しました。
この方法論は、自動車リサイクル部品の再利用によるCO2削減効果を世界で初めてカーボンクレジットとして評価・流通できるようにするもので、サプライチェーン全体での脱炭素(Scope 3削減)を推進する企業に信頼性の高い新たな削減手段を提供します。
NGPとLinkholaが世界初の「自動車パーツリサイクル」カーボンクレジット方法論を策定

- 方法論名:自動車パーツリサイクル
- 正式策定日:2026年5月27日
- 対象活動:国内の使用済み自動車から適切に回収された自動車パーツ(リユース部品)の再利用
- 算定対象部品数:90部品(左右区別等を含め115部品)
- 第1号クレジット発行目標:2026年秋頃
NGPは、全国の自動車リサイクル事業者で構成される国内唯一の経済産業大臣認可の事業協同組合の関連会社として、リサイクルパーツの普及と品質確保に長年取り組んできました。
2013年に富山県立大学・明治大学との産学共同研究を開始し、LCA(ライフサイクルアセスメント)に基づく算定手法を確立し、現在では90部品について独自のCO2削減量算定が可能となっています。
今回、独立した制度オーナーであるLinkholaの「EARTHSTORY」が、NGPの実証データと産学共同研究データをもとに客観的な算定ロジックを設計し、本方法論の開発・策定にいたりました。
新品製造を回避するリサイクルパーツのCO2削減効果を可視化

新品部品の製造には、資源採掘・素材製造・加工・輸送など多くのエネルギーが必要です。
一方、使用済み自動車から回収した部品を品質確認・美化したうえで再利用するリサイクルパーツは、新たな資源採掘や製造工程を大幅に削減できるため、環境負荷を低減できます。
これまで、こうした削減効果を信頼性の高いカーボンクレジットとして評価・流通させるための方法論は国内外に存在していませんでした。
Linkholaは、NGPの実証データと大学等との産学共同研究データを参考に客観的な算定ロジックを設計し、第三者審査に耐えうる方法論として「自動車パーツリサイクル」を開発しました。
新品製造との差分でCO2削減量を定量化する算定ロジック

算定では、対象パーツを「新品で製造・流通させた場合(ベースライン)」と「リユース部品として美化・点検・流通させた場合」のCO2排出量を比べ、その差分を削減量として定量化します。
信頼性の確保には、EARTHSTORYボランタリークレジット制度のもとでデジタル技術によるデータの透明性・トレーサビリティを確保し、独立した第三者審査機関による厳格な検証で二重計上を防止する仕組みを採用しています。
ルール策定者(EARTHSTORY)とプロジェクト実施者(NGP等)の独立性を明確に維持し、国際的なクレジット基準に準拠したガバナンスを確立しています。
外装からエンジンまで、90部品のCO2削減量を独自算定

NGPは2013年から確立したLCA評価手法を用い、「新品部品の製造プロセス」と「リユース部品の商品化(取外し・点検・美化)プロセス」のCO2排出量を評価しています。
外装・ボディー系、ライト・ミラー系、機能・駆動・足回り系、電装・エアコン系など多岐にわたるカテゴリで90部品(左右区別等を含め115部品)の独自算定が可能となっており、このカバー率の広さが本方法論の実効性を支えています。
本方法論がもたらす2つの革新ポイント
1つ目の革新点は、「部品リユース」そのものを直接評価する点です。
破砕や製錬を伴う「素材リサイクル」とは異なり、形状・機能を保ったまま再利用する部品リユースを評価するため、製造時の膨大なエネルギー消費とCO2排出を直接かつ大幅に回避できます。
2つ目は、自動車産業全体のScope 3対策ニーズと自動車リサイクル産業の持続的発展を同時に支える仕組みです。
創出された高品質なクレジットは、サプライチェーンでの排出削減を推進したい自動車産業関連会社が購入・活用します。
その収益が自動車リサイクル事業者に還元されることで、リサイクル部品のさらなる品質向上・流通拡大につながり、業界全体の持続的発展を後押しします。
2026年秋頃、世界初の自動車パーツリユースクレジット第1号発行へ
NGPは90部品のうち一部を対象に、本方法論に基づいた「第1号クレジット創出プロジェクト」の申請および登録プロセスを始動します。
自動車パーツリユースを対象とした世界初のクレジットとして、2026年秋頃の発行を目指しています。
NGPは組合全体の取組として2030年までに処理台数1,000万台・リユース等2,000万点・CO2削減量50万t-CO2の達成を目指しており、本方法論はその実現に向けた重要な基盤となっています。
各社コメント

NGP 代表取締役 佐藤 幸雄 氏はコメントしています。
「今回、NGP日本自動車リサイクル事業協同組合および当社が長年積み上げてきたリサイクルパーツの流通実績や、大学等との共同研究によるCO2削減効果の算定データをもとに、Linkhola様が運営するEARTHSTORY制度において、新方法論『自動車パーツリサイクル』が策定されたことを大変嬉しく思います。」
「これにより、リサイクルパーツの活用による環境貢献を、客観的なCO2削減量として可視化し、ボランタリークレジットという新たな環境価値として評価する道筋が開かれました。」
「今後も全国の会員企業とともに、リサイクルパーツのさらなる普及を進め、自動車産業におけるサーキュラーエコノミーの推進とカーボンニュートラルの実現に貢献してまいります。」

NGP日本自動車リサイクル事業協同組合 理事長 小林 信夫 氏はコメントしています。
「自動車リサイクル部品の活用は、限りある資源を有効に使うだけでなく、新品部品の製造を回避することによるCO2削減にもつながる重要な取り組みです。」
「今回、自動車リサイクル部品のCO2削減効果をボランタリークレジットとして評価する方法論が策定されたことは、私たち自動車リサイクル事業者の取り組みが、社会的・環境的な価値としてより明確に認められる大きな一歩であると考えています。」
「今後も組合員一丸となって、適正処理、リサイクルパーツの品質向上、流通拡大に努め、持続可能なモビリティ社会の実現に貢献してまいります。」

Linkhola 代表取締役 野村 恭子 氏(環境学博士)はコメントしています。
「日本における自動車リサイクルと脱炭素の可視化の先駆者であるNGP様から高度な実証データの提供を受け、中立なクレジット制度運営主体として、世界初の画期的な方法論『自動車パーツリサイクル』を策定できたことを誇りに思います。」
「大量生産・大量消費によるCO2排出時代、AI・自動化の時代において、日本の『もったいない精神』と『手工業職人の技術』は単なる節約ではなく再定義、注目に値します。」
「本方法論を通じて、客観的かつ適切に環境価値を評価し、ボランタリークレジット市場を通じて自動車リサイクル産業の活動を強力に支援してまいります。」
EARTHSTORYボランタリークレジット制度について

EARTHSTORYは、Linkholaが運営する民間主導のボランタリークレジット制度で、申請・審査・発行までをワンストップで提供する独立したプラットフォームです。
デジタル技術をベースとした自動化と最適化された制度設計により、最短3か月という国内最速クラスで高品質なカーボンクレジットを発行・流通できます。
既存のJ-クレジットや海外ボランタリークレジット制度等でカバーされていない革新的な温室効果ガス削減・吸収アプローチに対し、客観的なデータ提供に基づき新方法論を迅速に構築し、国内外の多様なプレイヤーの環境価値マネタイズとESGビジネスの成長を支援しています。
自動車リサイクル部品の活用によるCO2削減効果が世界で初めてカーボンクレジットとして市場に流通できるようになり、自動車産業のScope 3対策に新たな選択肢が加わります。
リサイクルパーツ1部品ごとに積み上げられた削減量が企業の脱炭素経営とサーキュラーエコノミーの実践につながる仕組みを、NGPとLinkholaが切り拓いています。
世界初の「自動車パーツリサイクル」カーボンクレジット方法論の紹介でした。
よくある質問
Q. 「自動車パーツリサイクル」方法論はいつ正式に策定されましたか?
A. 外部の環境専門家によるレビューとEARTHSTORY制度運営委員会の厳正な審査を経て、2026年5月27日に正式策定されました。
Q. 算定対象となる自動車部品はどのくらいありますか?
A. 現在、90部品(左右区別等を含め115部品)についてNGPが独自のCO2削減量算定を行っており、外装・ボディー系、ライト・ミラー系、機能・駆動・足回り系、電装・エアコン系など多岐にわたります。
Q. 第1号カーボンクレジットはいつ発行される予定ですか?
A. NGPは2026年秋頃の第1号クレジット発行を目指して、申請および登録プロセスを始動する予定です。
Q. 創出されたクレジットはどのような企業が購入・活用できますか?
A. サプライチェーン全体での脱炭素(Scope 3削減)を推進したい自動車産業関連会社が購入・活用できます。