記事ポイント
- 東芝産業機器システムの2026トップランナーモールド変圧器にバイオマスプラスチックを採用
- プラスチック部品にバイオマスポリカーボネート、高圧コイルにバイオマスエポキシ樹脂を使用
- 石油由来品と同等物性で高性能を維持しつつ環境対応を実現
三井化学は、東芝産業機器システムが製造・販売する2026トップランナーモールド変圧器に、マスバランス方式によるバイオマスプラスチックが採用されたと発表しました。
三井化学はサプライチェーンにおける原料供給として、エポキシ樹脂やポリカーボネート樹脂原料のバイオマス化で貢献しています。
本取り組みは、2026年4月から適用されたトップランナー第三次基準(変圧器の新たな省エネ基準)への対応と合わせ、東芝グループの環境未来ビジョン2050に則したバリューチェーン全体でのカーボンニュートラル実現に向けた具体例となっています。
「BePLAYER®」バイオマスプラスチックのモールド変圧器採用

- 採用製品:2026トップランナーモールド変圧器、特別高圧モールド変圧器
- 採用素材:バイオマスポリカーボネート樹脂(各種プラスチック部品)、バイオマスエポキシ樹脂(特別高圧コイル)
- 方式:マスバランス方式によるバイオマスプラスチック
- 原料供給:三井化学(BePLAYER®ブランド)
三井化学は「BePLAYER®」ブランドのもと、バイオマスナフサを原料とする化学品・プラスチックの展開を拡大している総合化学メーカーです。
廃食油などを原料とするバイオマスナフサを製造プロセス上流に投入し、マスバランス方式でバイオマス認証を製品に割り当てることで、多様な化学品をバイオマス対応化する仕組みです。
この手法により、既存の製造インフラを大きく変えることなく、各種製品のサステナビリティ対応が可能になります。
三井グループの一員として国内外に事業を展開し、サーキュラーエコノミー実現に向けたサステナビリティ戦略の中核ブランドとして位置づけられているのが「BePLAYER®」です。
脱石油由来原料への移行を加速する旗艦ブランドとして、グループ全体の環境戦略を牽引しています。
今回の採用では、東芝産業機器システムが製造する2026トップランナーモールド変圧器の各種プラスチック部品にバイオマスポリカーボネート樹脂が使われ、特別高圧モールド変圧器のコイルにはバイオマスエポキシ樹脂が使われています。
変圧器には長期使用・安全性・効率性といった非常に高い性能が求められますが、マスバランス方式によるバイオマスプラスチックは石油由来品と物性が全く変わらないため、製品性能を維持したまま環境対応が実現できます。
2026年4月には変圧器の省エネ基準としてトップランナー第三次基準が適用されており、機能面での環境対応と素材面でのバイオマス化という二つのアプローチが同時に進んでいます。
特別高圧モールド変圧器のコイルへのバイオマスエポキシ樹脂採用

特別高圧モールド変圧器のコイルには、バイオマスエポキシ樹脂が採用されています。
高電圧・大容量を扱う特別高圧機器への適用は、バイオマス素材の実用水準を示す事例といえます。
エポキシ樹脂はコイルの絶縁・保護を担う重要素材で、変圧器の安全性と耐久性を支えます。
過酷な電気・熱環境に長期間さらされる部位に使われるため、素材への要求水準は特に厳しいものです。
三井化学はエポキシ樹脂原料のバイオマス化を通じてこの採用に貢献しており、従来の石油由来エポキシ樹脂と同等の物性を維持しながら、バイオマス由来原料への切り替えが実現しています。
コイル用エポキシ樹脂のような高機能素材においても環境対応が進んでいる点が、今回の取り組みの特長です。
マスバランス方式によって「これまで難しかった素材でもバイオマス化が可能となる」とされており、特別高圧域での採用はその具体例となっています。
マスバランス方式とBePLAYER®の仕組み
マスバランス方式(物質収支方式)とは、原料から製品への加工・流通工程においてバイオマス由来原料と石油由来原料が混合される場合に、バイオマス由来原料の投入量に応じて製品の一部にその特性を割り当てる手法です(環境省バイオプラスチック導入ロードマップ)。
石油由来のプラスチック・化学品と物性が全く変わらないままバイオマス化できることが特長です。
三井化学グループでは、既に約50の製品群でマスバランス方式によるバイオマス化を実現しています(2025年6月現在)。
さらに、サーキュラーエコノミーに向けたケミカルリサイクルの領域でもマスバランス方式が活用されており、約50の製品群でケミカルリサイクル由来のプラスチック・化学品が提供されています。
バイオマスとリサイクルの両軸で原料転換を進める体制が整いつつあります。
「BePLAYER®」はマスバランス方式によるバイオマス製品、セグリゲーション方式によるバイオマス製品、その他カーボンニュートラルに貢献する製品・技術を展開するブランドです。
複数のアプローチを束ねることで、顧客の多様なニーズに応えながら社会全体のGHG排出量削減に貢献することを目指しています。
長期使用・安全性・効率性という厳しい要件が課される変圧器において、石油由来品と同等の物性でバイオマス化が実現したことで、産業用機器分野での環境対応の選択肢が広がっています。
バイオマスポリカーボネート樹脂とバイオマスエポキシ樹脂という二種類の素材でのバイオマス化によって、変圧器のカーボンニュートラル対応が部品レベルから進んでいます。
「BePLAYER®」バイオマスプラスチックのモールド変圧器採用の紹介でした。
よくある質問
Q. 今回採用されたバイオマスプラスチックはどの部位に使われていますか?
A. 2026トップランナーモールド変圧器の各種プラスチック部品にバイオマスポリカーボネート樹脂が、特別高圧モールド変圧器のコイルにバイオマスエポキシ樹脂が採用されています。
Q. マスバランス方式を採用した場合、変圧器の性能は変わりますか?
A. マスバランス方式によるバイオマスプラスチックは石油由来品と物性が全く変わらないため、変圧器の長期使用・安全性・効率性といった製品性能はそのまま維持されます。
Q. 三井化学グループでは何製品群でマスバランス方式のバイオマス化を実現していますか?
A. 2025年6月現在、約50の製品群でマスバランス方式によるバイオマス化を実現しています。
ケミカルリサイクルにおいても同様に約50の製品群で対応しています。