記事ポイント
- AI活用が一般化しても「人の判断」が差をつける
- 採用成功の鍵は「透明性」と「信頼構築」
- 日本企業が今すぐ始めるべき4つのアクション
採用活動において、AI導入が急速に進む一方、その成果を下支えするのは意外にも「人による判断」と「透明性」であることが、世界規模の調査で明らかになっています。
人材紹介会社のマイケル・ペイジが公表した調査結果を基に、AI時代の実践的な採用戦略を紹介します。
マイケルペイジ「人材トレンド2026」

- 調査対象:36市場・60,000人以上のプロフェッショナル
- 日本市場の結果発表:5月29日・東京アメリカンクラブ
- 参加者:大手企業のシニアエグゼクティブ115名
人材紹介会社のマイケル・ペイジは、世界60,000人以上・36市場のプロフェッショナルを対象に「人材トレンド2026」を実施しました。
日本市場の結果は5月29日に東京アメリカンクラブで開催されたイベントで発表され、115名のシニアエグゼクティブが採用の変化と現場への影響について議論を交わしています。
AI活用が普及する中、差を生むのは人の判断

生成AIの活用により採用活動の効率化は急速に進んでいます。
調査では候補者の67%が応募活動でAIを活用し、採用担当者の49%が採用プロセスにAIを導入していることが分かっています。
一方で、AIの活用が一般化したことで、履歴書や職務経歴書だけでは候補者の本質的な能力を見極めることが難しくなっています。
AIは採用を効率化する強力なツールですが、最終的な採用判断の質まで代替するものではないことが浮き彫りになっています。
必要なスキルを持つ人材不足が日本の課題

日本企業が直面する採用課題として最も多く挙げられたのは、必要なスキルを持つ人材の不足です。
採用担当者の約40%が「適切なスキルを持つ候補者の確保」を最大の課題として回答しています。
この状況を受け、多くの企業が「スキルベース採用」への移行を進めています。
スキルを重視した採用は、能力評価の精度向上、採用の公平性向上、潜在能力を持つ人材の発掘といった効果が期待されています。
しかし日本市場ではまだ導入途上にあり、学歴や職歴、肩書きに依存した評価が根強く残っています。
今後は構造化面接の導入、実務課題による評価、ポテンシャルを含めた能力評価など、客観的な判断基準の整備が重要になります。
仕事満足度とワークライフバランスが重視される時代

働く人の価値観にも大きな変化が見られます。
日本の調査結果では、転職先を選ぶ際に最も重視される要素として「仕事の満足度」が挙げられました。
また35%の回答者が、転職によってワークライフバランスが損なわれることへの不安を示しています。
企業にとって重要なのは給与条件だけでなく、働き方の柔軟性、キャリア成長の機会、仕事内容の明確さ、組織文化との相性を総合的に伝えることです。
求職者は単一の条件ではなく、「その会社で働く全体的な体験価値」を評価するようになっています。
採用成功企業に共通するのは「透明性」

今回の調査が示しているのは、企業に求められるものはシンプルだということです。
給与レンジを明確に示す。
期待される役割を正しく伝える。
選考プロセスを透明化する。
こうした基本的な取り組みが候補者との信頼関係を築き、結果として採用成功率や定着率の向上につながります。
マイケルペイジ CEOのニコラス・カークは次のように述べています。
「テクノロジーの進化によって選択肢は増えています。
しかし、最終的に差を生むのは、信頼、明確さ、そして判断の質です。
」
日本企業が今取るべき4つのアクション
「人材トレンド2026」が示すメッセージは明確です。
採用市場が変化する中で、企業は以下の4つの取り組みを優先すべきです。
- AIを効率化のために活用し、最終判断は人が担う
- スキルとポテンシャルを重視した評価制度を整備する
- 給与・柔軟性・役割期待を採用初期から明確に伝える
- オンボーディングまで含めた一貫した候補者体験を設計する
採用競争が激化する中、短期的な採用成功だけでなく、長期的な定着と組織成長を見据えた採用戦略が求められています。
AI時代において見失いがちな「人対人の信頼関係」を取り戻すヒントが詰まった調査結果の紹介でした。
よくある質問
Q. AI導入が進む採用活動で、候補者はどのように対応していますか?
A. 調査によると、候補者の67%が応募活動でAIを活用しています。
履歴書や職務経歴書の作成にもAIが使われるようになっていますが、一方で採用担当者は候補者の本質的な能力を見極めるために、AI頼みではない評価方法を必要としています。
Q. 採用成功のためには何が最も重要ですか?
A. 「透明性」と「信頼構築」が最も重要です。
給与レンジの明示、期待される役割の正しい伝達、選考プロセスの透明化といった基本的な取り組みが、候補者との信頼関係を築き、採用成功率や定着率の向上につながります。
AIが採用を変革しつつある今だからこそ、候補者との信頼構築と透明性が企業競争力の源泉になっています。
採用においては「人対人」の関係構築が成果を出す源泉であり、採用戦略を見直す時期を迎えています。
60,000人規模のグローバル調査が示す結果は、日本の採用市場にも大きな示唆を与えています。
テクノロジーに流されることなく、基本に忠実な採用活動が今後の競争を左右します。