記事ポイント
- GSアライアンスがブラックマスから直接、再生型リチウムイオン電池を作る
- スイスイノベーションパークに電池ラボを開設
- Innosuisseの助成金(Innovation Cheque)を獲得し事業化を加速
GSアライアンス(兵庫県川西市)が、再生型リチウムイオン電池を開発する電池ラボの運営を、スイス・ベルン州のスイスイノベーションパークで2026年10月1日に開始しました。
ラボでは、代表の森 良平博士(工学)が開発した、ブラックマス粉体から直接再生型リチウムイオン電池を作る技術を応用します。
あわせて、スイス政府のイノベーション促進機関Innosuisseから助成金を獲得しました。
GSアライアンス スイス電池ラボ

- 運営開始日:2026年10月1日
- 所在地:スイス ベルン州 スイスイノベーションパーク(Switzerland Innovation Park Biel/Bienne、SIPBB)内
- 助成:Innosuisse(スイス・イノベーション庁)の助成金(Innovation Cheque)
- 運営:GSアライアンス(冨士色素グループ)
GSアライアンスは、スイス・ベルン州のスイスイノベーションパークで、再生型リチウムイオン電池を開発する電池ラボの運営を2026年10月1日に始めました。
このラボは、同社のスイス支社を設立したSwitzerland Innovation Park Biel/Bienne(SIPBB)に設けられ、スイスや欧州内のブラックマスを一部原料として再生型リチウムイオン電池を作成し、試作、研究開発、分析を行います。
同時に、これらの成果を元に、スイス政府のイノベーション促進機関Innosuisseから助成金(Innovation Cheque)を獲得しました。
スマートフォン、パソコン、EV、定置型蓄電池などに世界中で最も使われている蓄電池はリチウムイオン電池ですが、原料の金属資源の枯渇への懸念と、価格の高さが課題です。
必要なリチウム、コバルト、ニッケルなどのレアメタルは、ロシア、中国、アフリカ、南米などの特定の地域に偏在しており、政治的な供給不安や価格変動のリスクが常にあります。
そのため、これらの金属資源のリサイクルが重要になります。
ブラックマスはリチウムイオン電池の廃棄物で、リチウム、コバルト、ニッケル、マンガンなどの希少資源を含みます。
現在は、ブラックマスに硫酸などの強酸や強アルカリを用いた化学処理を施し、金属を抽出、分離して再利用しています。
この方法で電池を作り直すには、金属から正極を合成して組み立てる必要があり、危険で手間のかかる工程や多い工程数のためコストが高くなります。

これに対し、GSアライアンスの代表取締役である森 良平博士(工学)は、ブラックマスから直接正極をダイレクトリサイクル法により再合成して、再生型リチウムイオン電池を作ることに成功しています。
従来の方法と比べて圧倒的にシンプルで、硫酸などの薬品を使わないため安全です。
廃棄物のブラックマスを原料とするため、リチウムイオン電池自体の価格も安く抑えられます。
三元系のNMC系ブラックマスとリン酸鉄のLFP系ブラックマスの両方で成功しており、市販の同等品と比べて90%以上の初期電池容量を示し、充放電も比較的安定しています。

負極のグラファイトも、グラファイト廃棄物を再生して、市販のグラファイト負極に匹敵する再生型グラファイトの合成に成功しています。
同社はこの技術の実用化と事業化を進めています。

GSアライアンスの調べでは、Innosuisseの助成金に日本企業(100%独立資本のスイス子会社を含む)が直接採択された例は過去にあまりなく、日本初の可能性があります。
今後は日本国内と並行して、SIPBBを拠点に、同組織のネットワークに属する企業、スタートアップ、大学などの研究機関や投資家と共同研究開発を実施します。
スイスを拠点に、欧州大陸でのブラックマス電池の研究開発と事業化拡大を加速します。
スイスは国全体が先端的なソリューションの探求を重要政策と位置付け、世界のイノベーション能力ランキングで16年連続1位のイノベーション大国です。
スイス連邦工科大学チューリッヒ校やローザンヌ校からは最先端技術を持つスタートアップが多く誕生しており、国内の産官学共同連携が加速しています。
スイスイノベーションパークは、最先端の研究施設、オフィス、コワーキングスペースなどを備え、民間企業、スタートアップ、大学などが協力できる場です。
ライフサイエンス、コンピューターサイエンス、エネルギー、資源、環境、モビリティ、輸送、製造、素材など、あらゆる分野で革新的な技術や製品を開発するインフラを提供し、最適なパートナーとのマッチングも支援します。
Innosuisse(スイス・イノベーション庁)の助成金は、国内の経済活性化や社会課題解決を目指し、科学的根拠に基づく革新的なR&Dを支援する公的資金提供制度で、主にスイス国内のスタートアップ、中小企業(SME)、大学などの研究機関が対象です。
助成金は新規性、事業の実現可能性、スイス経済への付加価値などを問う厳格な専門家審査を経て採択されるため、採択自体が「政府が認めた有望な技術」の証明となり、スイスや欧州の民間ベンチャーキャピタルなどからの追加資金調達(株式投資)で非常に有利になります。
スイスの電池ラボは、薬品を使わないダイレクトリサイクル法で廃棄物のブラックマスを電池へよみがえらせる、資源循環型の研究拠点です。
Innosuisseの助成金とSIPBBのネットワークを生かし、欧州での再生型リチウムイオン電池の研究開発と事業化が進みます。








