記事ポイント
- 「遺伝子×レセプト統合DB」でゲノタイプとフェノタイプを紐づけた多角的な解析が可能に
- ステロイド処方情報で炎症ノイズを排除し体質レベルの皮膚特性を精密に定義
- 3社連携のハイサイクル研究で創薬極早期の仮説創出を加速
JMDCは、Zene及びマルホと共同で、皮膚生理の根本的な特性に関わる遺伝的要因を探索するプロジェクトを2026年6月29日に開始しました。
遺伝子統計解析と大規模医療ビッグデータを組み合わせ、従来の研究手法では解析が困難だった「日本における肌質への遺伝的な影響」の解明を目指します。
JMDC・Zene・マルホ「皮膚病態の根本的要因解明プロジェクト」

- 発表日:2026年6月29日
- 参加企業:JMDC・Zene・マルホ
- 活用データ:遺伝子検査データ×医療レセプトデータ統合DB(JMDCのPHRサービス「Pep Up」経由)
- 目的:皮膚病態の遺伝的要因の探索と新たな創薬仮説の創出
このプロジェクトは、マルホが長年培ってきた皮膚科学領域の専門知見(Domain Expertise)と、JMDCおよびZeneが保有する「遺伝子検査データ×レセプトデータ」統合データベース、そして高度なデータ解析技術を融合させた共同研究です。
皮膚領域の研究では、臨床現場での炎症反応や合併症といった後天的なノイズが解析の障壁となり、「体質そのもの」を定義することが難しいという課題がありました。
本プロジェクトは3社の強みを組み合わせることで、これまで困難だった高度な解析の実現を目指します。
「遺伝子×レセプト統合DB」の活用
JMDCのPHRサービス「Pep Up」を通じて収集した遺伝子検査データと医療レセプトデータが、一意のIDで連結されています。
これにより、個人の遺伝的背景(ジェノタイプ)と、長期にわたる治療歴・処方内容(フェノタイプ)を紐づけた多角的な分析が可能となります。
Zeneが提供するゲノム解析サービス「Zene360」はだ液によるゲノム解析を通じて生活習慣病やがんなどの疾患リスクを可視化するサービスで、このデータがDBの基盤の一つになっています。
精密な表現型定義——「ノイズ排除」アプローチ
単なる診断名による分類にとどまらず、レセプト上のステロイド外用薬のランクや使用期間などの詳細な処方薬剤情報を駆使し、炎症を伴わない集団をより実態に近い定義で設計します。
これにより、皮膚病態の根本に関わる遺伝的素因をクリアに抽出することを試みます。
従来のゲノム解析では、厳密なフィルタリングを行えば検出力の低下を招き、曖昧な定義では真のシグナル検出を妨げるというジレンマがありましたが、このアプローチでその限界に対処します。
ハイサイクルな創薬仮説の創出
数年を要する一般的な共同研究の枠組みではなく、よりクイックかつハイサイクルなオペレーションで、創薬の極早期段階における仮説創出を加速します。
マルホはリアルワールドデータやビッグデータを活用したデータ駆動型の研究開発活動を強化しており、JMDCおよびZeneとの連携により、従来の手法では評価が困難だった炎症や治療介入などの臨床的影響を考慮した体質レベルの皮膚特性解析が進みます。
今後の展開
解析で特定された遺伝子型を持つ層に対し、「Pep Up」プラットフォームを介した前向きアンケートを実施し、幼少期の発症状況や主観的なQOL(生活の質)などレセプトでは捕捉できない情報を補完する予定です。
また、JMDCが保有する大規模な保険者DB「JMDCユニバースDB」から得られる疫学的知見を遺伝学的見地から検証・深化させ、市場規模の精緻な推定や合併症リスクの予見分析へと展開します。
さらに、得られた標的候補に対してグループ会社が保有する技術を用いた化合物アッセイへと繋げる「ウェット研究への接続」も検討されています。
遺伝子×レセプトの統合DBにより、体質レベルでの皮膚特性をかつてない精度で解析できる環境が整いました。
従来の手法では乗り越えられなかった臨床的ノイズの課題に取り組み、皮膚病態の根本的な遺伝的要因から新しい創薬仮説を次々と生み出す研究サイクルが動き始めます。
JMDC・Zene・マルホ「皮膚病態の根本的要因解明プロジェクト」の紹介でした。
よくある質問
Q. このプロジェクトで使うデータベースはどのようなものですか?
A. JMDCのPHRサービス「Pep Up」を通じて収集した遺伝子検査データと医療レセプトデータを一意のIDで連結した統合DBです。個人のジェノタイプ(遺伝的背景)とフェノタイプ(長期の治療歴・処方内容)を紐づけた多角的な分析に活用されます。
Q. 「ノイズ排除」による表現型定義とはどういう手法ですか?
A. 診断名による単純な分類ではなく、レセプト上のステロイド外用薬のランクや使用期間などの詳細な処方薬剤情報を駆使し、炎症を伴わない集団をより実態に近い定義で設計する手法です。これにより皮膚病態の根本に関わる遺伝的素因をクリアに抽出することを目指しています。
Q. 今後どのような研究展開が予定されていますか?
A. 特定の遺伝子型を持つ層への前向きアンケートによるデータ補完、JMDCユニバースDBとの双方向連携による合併症リスクの予見分析、グループ会社の技術を活用したウェット研究(化合物アッセイ)への接続の3つが検討されています。









