記事ポイント
- 歩数1,000歩以上増加群は健診改善者割合46%(非増加群比+8pt)
- 3大疾病の平均入院回数、歩数増加群は非増加群より43.2%少ない
- 3大疾病の平均入院医療費、歩数増加群は非増加群より42.6%低い
JMDCと住友生命は、1日の平均歩数が1,000歩以上増加することと健診結果・入院回数・医療費の関係性を分析した「健康増進白書」を公表しました。
JMDCが保有する国内最大級の医療ビッグデータと住友生命の解析力を組み合わせ、健診値分析では約18万人、入院回数・医療費分析では約8万人を対象とした大規模リアルワールド研究です。
いずれの比較も性別・年齢の影響を調整したうえで実施されています。
JMDC・住友生命「健康増進白書」

- 公表日:2026年5月29日
- 分析対象(健診値):約18万人
- 分析対象(入院回数・医療費):約8万人
- データ基盤:レセプトデータ・健診データ・歩数データ(JMDCの医療ビッグデータ)
- 群分け基準:1日平均歩数が1,000歩以上増加した群 vs 増加しなかった群
- 調整項目:性別・年齢
「健康増進白書」は、JMDCのPHRサービス「Pep Up」を通じてウェアラブルデバイス等から集積した歩数データに、レセプトデータと健診データを紐づけて分析したものです。
健診値・入院回数・医療費の3つの視点から、歩数増加群(1日平均1,000歩以上増加)と歩数非増加群を比較しています。
JMDCは医療ビッグデータ業界のパイオニアとして2002年に設立され、26億件以上のレセプトデータと9,400万件以上の健診データ(2026年3月時点)を保有しています。
住友生命との共同分析により、歩数増加という日常行動と健康アウトカムの関係を大規模データで検証した点が本白書の特徴です。
健康日本21(第三次)では、機械化・自動化の進展や移動手段の変化によって国民の身体活動量が減少しやすい社会環境にあることが課題とされており、「日常生活における歩数」は横ばいから減少傾向にあります。
本白書はこうした背景を踏まえ、歩数増加の重要性を医療ビッグデータに基づく客観的なエビデンスで示すことを目指したものです。
分析結果の全体像として、歩数増加群では健診値の改善者割合が幅広い項目で高くなっており、平均入院回数および平均入院医療費は低い水準でした。
特に3大疾病(がん・心筋梗塞・脳卒中)に限定すると、平均入院回数・平均入院医療費の差が顕著となっています。
主要な健診値は約1年で悪化傾向

全体の傾向として、約1年間の経過に伴い、BMI・血圧・血糖値・脂質・肝機能検査といった主要な健診項目の平均値は概ね悪化する傾向が認められました。
加齢や生活習慣の変化などの影響を反映した結果と考えられています。
この悪化傾向は群を問わず全体に生じていますが、歩数増加群と歩数非増加群では変化の度合いに差があります。
歩数非増加群では多くの健診項目において悪化がみられた一方、歩数増加群では改善傾向のある項目が確認されています。
歩数増加群では健診値が改善傾向

歩数増加群では、BMI・収縮期血圧・拡張期血圧・LDLコレステロール・空腹時血糖などの項目で改善する傾向が認められました。
本白書ではさらに、HDLコレステロール・中性脂肪・GOT(AST)・GPT(ALT)・γ-GTP・HbA1c・尿たんぱくの比較も掲載されています。
BMIを例にとると、1年後のBMI平均変化量は歩数非増加群が+0.136であるのに対し、歩数増加群では-0.035と低下方向です。
健診値改善者割合は歩数非増加群の38%に対し、歩数増加群では46%と高い水準でした。
これらの結果は、日常生活における歩数の増加が生活習慣病リスクに関連する健診値の推移と一定の関連性を持つ可能性を示しています。
歩数増加群では平均入院回数が少ない傾向

歩数増加群と歩数非増加群の平均入院回数を比較すると、歩数増加群では平均入院回数が低い傾向がみられました。
3大疾病(がん・心筋梗塞・脳卒中)に限定した平均入院回数の比較では、歩数増加群は歩数非増加群と比べて43.2%少ない傾向が認められています。
重症化予防の観点から歩数増加の意義が示された結果であり、保険者・企業・自治体が予防・健康づくりの取組みを設計するうえで有用なエビデンスとなりうるものとされています。
歩数増加群では平均入院医療費も低い傾向

入院のない者を含む集団全体の平均入院医療費を比較すると、歩数増加群では平均医療費が低い傾向がみられました。
3大疾病(がん・心筋梗塞・脳卒中)に限定した平均医療費では、歩数増加群は歩数非増加群と比べて42.6%少ない傾向が認められています。
なお、入院患者に限定した入院1回あたりの平均入院医療費については、歩数増加群と歩数非増加群の差異は認められていません。
入院頻度の差が入院医療費全体の差として表れている構造の可能性があります。
本白書では分析結果を踏まえ、生活習慣病の前段階にある層への重点介入・3大疾病リスクの高い層への重点的な働きかけ・歩数増加施策のさらなる普及の3点を提言しています。
なお、これらの結果は因果関係を直接示すものではありません。
1日の歩数を1,000歩増やすだけで、BMIや血圧・血糖値といった健診値の改善から、3大疾病の入院回数・医療費の低下まで、幅広い健康指標との関連が約18万人規模のデータで示されています。
日々の歩数管理が重症化予防につながる可能性を、大規模リアルワールドデータが具体的な数値として裏づけています。
JMDC・住友生命「健康増進白書」の紹介でした。
よくある質問
Q. 「健康増進白書」の分析では何人を対象にしていますか?
A. 健診値の分析は約18万人、入院回数・入院医療費の分析は約8万人が対象です。
いずれも性別および年齢の影響を調整した比較となっています。
Q. 歩数増加群と歩数非増加群はどのように分けていますか?
A. 1日の平均歩数が1,000歩以上増加した人を歩数増加群、増加しなかった人を歩数非増加群として分類しています。
Q. 健診値の改善はBMI以外の項目でも確認されていますか?
A. 歩数増加群では、BMIのほかに収縮期血圧・拡張期血圧・LDLコレステロール・空腹時血糖などの項目でも改善傾向が認められました。
本白書ではHDLコレステロール・中性脂肪・GOT・GPT・γ-GTP・HbA1c・尿たんぱくの比較も掲載されています。