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子どもの不登校の予兆や対策について発表!明治学院大学「不登校に関する調査研究協力者会議」プレゼンテーション

投稿日:2023年3月1日 更新日:

明治学院大学心理学部心理学科の足立准教授が、不登校に関する調査研究協力者会議(第6回)においてプレゼンテーションを実施。

子どもの不登校の予兆や対策について調査結果をもとに発表されました。

 

明治学院大学「不登校に関する調査研究協力者会議」プレゼンテーション

 

 

研究者として国内で先駆的な研究を行っている明治学院大学心理学部心理学科の足立准教授。

そんな足立准教授は不登校に関する調査研究協力者会議(第6回)においてプレゼンテーションを実施。

文部科学省の調査によると2021年度、小中学校の不登校児童生徒数は過去最多の約24万5,000人にのぼっています。

永岡桂子文部科学大臣は2023年1月31日、不登校対策の抜本強化のため、新たに計画を策定すると表明。

今回は、足立准教授のプレゼンテーションの要点と支援が必要な子どもへの対策に関する見解を紹介します。

2023年2月14日の不登校に関する調査研究協力者会議(第6回)の場において、「不登校対策の検討にあたっての方向性」として、より具体的に方向性として、4つの指針が示されています。

まず、30万人の不登校の児童生徒全ての学びの場を確保し、学びを継続する。

次に、心の小さなSOSを見逃さず、「チーム学校」で支援する。

そして、学校を「みんなが安心して学べる」場所にする。

最後に「不登校」を科学的に把握する、という方向性が示されています。

 

本研究のポイント

 

子どもの不登校の予兆は、メンタルヘルスの不調やその関連要因を定期的に捉えることによって比較的早期に捉えられる可能性があります。

または、対処の観点からは個人的要因に着目するだけでは十分ではなく、ソーシャル・キャピタルをはじめとする環境要因に目を向け、予防的な関わりを同時に行っていく必要性があります。

 

発表(研究)の調査方法

 

足立准教授らの研究グループは、東北地方の一都市の全ての公立小中学校に在籍する児童生徒、年間約1万人を対象に、心の健康とその関連要因に関する継続的な追跡調査を続けました。

 

調査でわかったこと

 

これまでの調査からは、不登校の予兆として、多欠席という行動が生じる前段階において「慢性的な抑うつ症状(気分の落ち込み)」が観察されること、さらに慢性的な抑うつ症状には、学業不振やいじめ被害を含む友人関係の問題等が関連して生じている可能性が高く、それらを質問紙調査によって、早期に捉えることが可能であることが示されています。

これらは、主に個人的要因から不登校の予兆を捉える取り組みですが、一方で多欠席の予兆となる慢性的な抑うつ症状には環境的要因が強く関連することが同時に示されています。

この点について、足立准教授らの研究グループは、子どものソーシャル・キャピタル(社会的資源)という観点から調査を行っています。

ソーシャル・キャピタルはもともと成人のメンタルヘルスとの関連要因として研究されてきた概念であり、個人を取り巻く社会の信頼関係、規範、ネットワークといった社会組織の重要性を説く概念です。

子どもを対象にしたソーシャル・キャピタルの研究においては、特に学校への信頼感、安心感が重要な要因として位置づけられています。

足立准教授らの研究からは、子どもの抑うつ症状とソーシャル・キャピタルには、比較的強い関連があること、ソーシャル・キャピタルには学校間差やクラス間差があり、ソーシャル・キャピタルの高い集団に所属することは、子どもの抑うつ症状に保護的に働く可能性が示されました。

これらの観点から、子どもの不登校の予兆は、メンタルヘルスの不調やその関連要因を定期的に捉えることによって比較的早期に捉えられる可能性があります。

ただし、対処の観点からは個人的要因に着目するだけでは十分ではなく、ソーシャル・キャピタルをはじめとする環境要因に目を向け、予防的な関わりを同時に行っていく必要性があるこがを指摘されています。

 

研究者「足立准教授」コメント、今後の課題・展開

 

 

永岡大臣が示した方針に基づき、今後、1人1台端末を活用しアプリ等によって子どもの心の健康状態が可視化できるような仕組みづくりが加速していくものと考えられます。

そこでは、見栄えは良いものの項目の設定に科学的根拠のないものが乱立していく可能性が懸念されます。

本当に支援が必要な子どもに対し、支援が行き届くためには、科学的根拠に裏付けられたツール作りが必要となります。

さらに、早期発見をしても、その後の対処の手段が確立されなければ、本質的な意味をなしません。

ツールづくりは対処とセットで行い一つの支援システムを構築していくことが必須です。

学校には教員、養護教諭、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなど、多様な専門職が存在しています。

今後は、このような多職種間の共通言語となるようにツールを位置づけ、得られた結果に基づき有機的な連携が生まれるようなシステム作りが求められるものと考えられます。

なお本研究は、日本医療研究開発機構(AMED)成育疾患克服等総合研究事業―BIRTHDAY 『学童・思春期のこころの客観的指標と連携システムの開発』、JSPS科研費基盤研究(B)「大規模前向きコホートデータを活用した科学的根拠に基づく子どもの自殺予防体制の構築」、一般社団法人 日本心理臨床学会2020年度研究助成金「児童思春期のメンタルヘルスの成長曲線に及ぼすCOVID-19パンデミックの影響の検証とエビデンスに基づく多職種連携による地域支援システムの開発」からの助成を受けて行われました。

 

「不登校対策の検討にあたっての方向性」として、より具体的に方向性として4つの指針を提示。

明治学院大学心理学部心理学科の足立准教授は、不登校に関する調査研究協力者会議(第6回)においてプレゼンテーションを実施しました。

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