記事ポイント
- 全社で約1年間、AIを軸に業務改善を推進
- 全社員の年間給与を一律約50万円引き上げ
- 生まれた時間を「おせっかい」のおもてなしへ活用
Nazunaは、約1年間にわたり全社で推進してきたAI活用による業務効率化の成果を従業員へ還元しました。
全社員の年間給与を一律約50万円引き上げ、定型業務や分析業務で生まれた時間を「お客様と向き合う時間」へつなげる取り組みです。
京都・箱根を中心に町家や歴史的建造物を改修した宿泊施設を運営するNazunaの事例として紹介します。
Nazuna AI活用による生産性向上の成果還元

- 給与引き上げ:全社員の年間給与を一律約50万円引き上げ
Nazunaは、京都・箱根を中心に町家や歴史的建造物を改修した宿泊施設を運営しています。
大切にしているのは、マニュアル化されたサービスにとどまらない、一人ひとりに寄り添う「おせっかい」のあるおもてなしです。
今回の取り組みでは、AIで定型業務や分析業務を効率化し、生まれた時間と収益を従業員へ還元するとともに「お客様と向き合う時間」を増やすことを目指しています。
AI活用による生産性向上の成果を、従業員へ還元する取り組みです。
宿泊業界では人手不足や業務負担の増加が課題になる一方、お客様との対話や施設ごとの体験づくりなど、人にしか生み出せない価値が求められています。
Nazunaは約1年前、現場スタッフと代表を中心とする「業務効率化プロジェクトチーム」を発足し、「生産性を高め、その成果を全社員の給与向上につなげる」という目標を掲げ、AIを軸とした全社的な業務改善を進めてきました。
社内では役割や業務内容に応じてAIツールを使い分けており、マネージャー職以上にはClaude、現場スタッフにはMicrosoft Copilotのアカウントを付与しています。
バックオフィス部門では、レシートや請求書を撮影・保存するだけでAIが記載内容を読み取り、勘定科目や部門を判定して会計システムへ登録する経費登録アプリを自社開発しました。
領収書の読み取りと仕訳の自動連携を自社アプリで代替し、作業時間を月約160時間から約15時間へ短縮しています。
月次の損益計算書(PL)に対するフィードバックをAIが出力する仕組みも構築しました。
施設ごとの予算・前年との差異や経費が増減した要因を事前に整理・分析し、PL会議の所要時間を約1時間から約15分へ短縮しています。
会議の時間を「数字の確認」から「打ち手の意思決定」に充てられるようになりました。
マーケティング部門では、各施設の売上進捗や着地予測を集約し、状況に応じた施策案をAIが出力する仕組みを導入しました。
これまで1施設あたり約3時間を要していた分析業務を、5施設分で約1時間まで短縮しています。
分析の精度と網羅性を保ちながら、施策の検討や実行により多くの時間を充てられる体制を整えています。
管理部門では、ホテル備品の管理に使用していた外部システムを、AIを活用して開発した自社システムへ移行しました。
これにより、月額約25万円かかっていた運用コストを約2万円へ削減しています。
宿泊施設の現場部門では、施設運営に必要な情報や社内の知見を集約したナレッジシステムを構築しました。
スタッフが業務中の疑問をいつでもAIに確認できるようになり、聞く側・聞かれる側双方の拘束時間をほぼゼロにしています。
OTAからの問い合わせやレビューへの返信にもAIを導入しました。
AIが内容を読み取って返信文案を作成することで、1通あたり約7分かかっていた対応時間を2分未満に短縮しています。
備品・食材の在庫発注では、喫食数をもとにAIが必要量を判断し、自動で発注する仕組みを構築しました。
毎日の確認作業を削減し、数え間違いなどのヒューマンエラーも解消しています。
ブランディング面では、館内表記や案内文、SNS発信などで施設ごとの表現がぶれないよう、Nazuna独自のトンマナをAIに学習させています。
現場の運営ルールをAIに理解させ、まずはフォルダ管理でルールからの逸脱を即座に検知・通知する仕組みも導入しました。
人的ミスをその場で改善につなげ、属人化しがちな運用の型を維持しています。
今後は、発注ルールやチェックリスト運用などにも対象を広げる予定です。

AIで生まれた時間を、人にしかできない「おせっかい」へつなげています。
これらの取り組みによって生まれた収益やコスト面での余力を従業員へ還元し、全社員の年間給与を一律約50万円引き上げました。
AI活用の成果を企業側の利益改善だけにとどめず、サービスを担う従業員へ還元することで、働きがいや生活の充実につなげることを目指しています。
施設ごとの売上分析についても、分析方法や判断基準をAIスキルとして体系化しました。
これにより、担当者の経験や知識に依存しやすかった分析の属人化を抑え、一定の品質でアウトプットを再現できるようになっています。
今後、運営施設が増加した場合にも、分析業務の工数を大幅に増やさず、各施設の状況に応じた戦略の立案から実行までを行える体制を目指します。
Nazunaが目指しているのは、AIによって人の仕事を置き換えることではありません。
定型的な作業や数値分析をAIが支援し、スタッフがお客様の言葉や表情に向き合い、その方に合った過ごし方を考えて行動する時間を増やすことを目指しています。
Nazunaでは従来から、「すべてのお客様におせっかいを届ける」ことを目標に掲げています。
AIによる業務効率化で生まれた時間を、お客様との会話を増やし、一人ひとりの希望や旅の目的をくみ取る時間へ充ててきました。
取り組みを重ねた結果、一部の施設では「おせっかい」を届けられたお客様の割合が80%近くまで向上しています。
今後もAIの進化を取り入れながら業務改善を継続し、従業員が働きがいを感じられる組織づくりと、Nazunaならではの「おせっかい」を届ける宿泊体験の向上を進めます。
代表取締役の渡邊 龍一氏は、AI活用に取り組む理由について「『おせっかい』こそが、世界中の人を感動させる唯一無二のサービスであると信じているから」とコメントしています。
渡邊氏は、業務効率化によって生み出した時間を、どれだけお客様と向き合う時間に変えられるかを重視しています。
その成果を経営側の利益だけにとどめず、従業員へ還元することで、働く人のやりがいを高める考えです。
渡邊氏は、そこに今回の取り組みの本質があるとしています。
渡邊氏は、この挑戦はまだ道半ばだと述べています。
AIの進化とともにNazuna自身も進化を続け、より良い組織と、より良い宿泊体験をつくっていきたいとしています。
渡邊氏は「最高のサービスは、最高の組織から生まれる」と考えています。
歴史ある建物と土地の魅力を活かし、心に残る滞在体験を創出しています。

写真は「Nazuna 京都 椿通」です。
よくある質問
Q. NazunaはAI活用の成果をどのように従業員へ還元しましたか?
A. 全社員の年間給与を一律約50万円引き上げました。
Q. どのようなAIツールを使っていますか?
A. マネージャー職以上にはClaude、現場スタッフにはMicrosoft Copilotのアカウントを付与しています。
Q. バックオフィス部門ではどのような成果がありましたか?
A. 経費登録アプリの自社開発により、領収書の読み取りと仕訳の自動連携に関する作業時間を月約160時間から約15時間へ短縮しました。
Q. 現場で生まれた時間は何に活用されていますか?
A. お客様との会話を増やし、一人ひとりの希望や旅の目的をくみ取る時間へ充てています。
AI活用で生まれた時間を接客と組織づくりへつなげる、Nazunaの業務改善の取り組み。
宿泊体験を支える従業員への還元まで含めた取り組みとして発表されています。








