ノエビアグループは、角層のラメラ構造を整える作用が特に強い「アシルセラミド」が、「多重層リポソーム」の膜構造を安定化させることを発見しました。
ノエビアグループ
ノエビアグループは、角層のラメラ構造を整える作用が特に強い「アシルセラミド」が、「多重層リポソーム」の膜構造を安定化させることを発見。
これにより、乳化剤を含む製剤中では不安定になりやすい「多重層リポソーム」において安定性が向上し、多様な剤形への応用拡大が期待できます。
この研究成果の一部は、2024年9月17日から20日にかけて開催された「第75回コロイドおよび界面化学討論会」で発表されました。
(図.1)リポソームの膜構造/(図.2)セラミドとラメラ構造
【研究成果】
1. 4種のセラミドを配合したリポソームの多重層構造を確認
リポソームの材料にセラミドを配合し、リポソームを調製しました。
その際に、セラミドの構造の違いによりリポソームの膜構造に違いがあるかを検証するため、構造が異なる4種類のセラミドを配合して各リポソームを調製しました(図.3)。
各リポソームの脂質二重膜の構造を透過型電子顕微鏡(※1)を用いて観察したところ、いずれのリポソームも多重層構造をもつことが確認できました(図.4)。
※1 電子線の透過により、リポソームの内部構造を観察できる
(図.3)各リポソームの表記および各セラミドの構造
(図.4)透過型電子顕微鏡で観察したリポソームの脂質二重膜の構造
2. 「アシルセラミド」がリポソームの脂質二重膜の膜数を増加させ、「多重層リポソーム」の割合を増やすことを発見
さらに、大型放射光施設SPring-8にて、SAXS(小角X線散乱)(※2)を用いてリポソームの脂質二重膜の構造を評価しました。
その結果、長鎖脂肪酸をもち、角層のラメラ構造を整える作用が特に強いとされる「アシルセラミド」を配合した、リポソーム[EOP]のSAXS散乱プロファイルにおいて、脂質二重膜のラメラ構造を示すピークが増加していました。
この散乱プロファイルを解析したところ、リポソーム[EOP]ではリポソーム[-]と比較して、脂質二重膜の膜数が増加していること、「多重層リポソーム」の割合が増えていることが明らかになりました(図.5)。
※2 X線の散乱強度の測定により、リポソームの内部構造を観察できる
(図.5)各リポソームのSAXS散乱プロファイル