日経BPコンサルティングは、2025年で25年目を迎えるブランド価値評価プロジェクト「ブランド・ジャパン2025」の結果をまとめ、調査結果データをリリース。
日経BPコンサルティン「ブランド・ジャパン2025」調査結果
日経BPコンサルティングは、2025年で25年目を迎えるブランド価値評価プロジェクト「ブランド・ジャパン2025」の結果をまとめ、調査結果データをリリースしました。
調査は2024年11月に実施され、調査回答者数は6万2千人だった。
【一般生活者編(消費者が選ぶ強いブランド評価)、調査結果のポイント】
■YouTubeが、「総合力」ランキングで4度目の首位に
■Google、ローソン、無印良品、ユニクロがトップ5入り
■ローソン、Netflix、生茶が上昇ランキング上位へ
★添付資料
表1:ブランド評価の「総合力」ランキング上位100ブランド
表2:「総合力」上昇ランキング上位50ブランド
【調査結果より】
■一般生活者編でYouTubeが、3年ぶり4度目の首位に
一般生活者編「総合力」ランキングでは、YouTubeが89.1pt(偏差値)のスコアを得て、3年ぶりの首位(前回2位)を獲得した(表1)。
YouTubeはブランド力を構成する要素の中で、コンビニエント(利便性)とイノベーティブ(革新性)への評価が高く、1,000ブランド中、コンビニエントランキングでは4位(前回10位)、イノベーティブランキングでは5位(前回3位)となった(図1)。
これらの強みに加え、フレンドリー(親近性)ランキングでも23位(前回28位)と評価が高まったことが首位獲得につながった。
YouTubeは、2007年に日本でのサービスを開始してからユーザー数を伸ばし続けている。
2024年5月時点で、月間ユーザー数が7,370万人を超えた(出典:Think with google/Nielsen DCR)。
機能改善を継続してきたことで視聴者とクリエイターのいずれにとっても便利なブランドとなっている。
人気コンテンツとして、Creepy Nutsの楽曲「Bling-Bang-Bang-Born」は2億回以上の再生回数を記録、また日常生活のエピソードを表現する「猫ミーム」の投稿は上半期で累計16億回以上再生された。
クリエイターも増え続けており、登録者数10万人以上のチャンネル数は11,000チャンネル以上にもなる。
今や国民的なメディアとなっている。
2024年は、YouTubeショートの背景画像がAI自動生成できるDream Screenの機能改善のほか、AI自動吹き替え機能や、配信コンテンツのシーズン化/エピソード化機能を導入(テレビ視聴時)した。
こういった活動はイノベーティブとコンビニエントの高評価に、また、その維持に貢献している。
また、独自性を高めることにもつながり、アウトスタンディング(卓越性)では第15位(前回第38位)まで順位が上がった。
日々、YouTubeに触れる機会が増えている中で、フレンドリー(親近性)も第23位(前回第28位)と順位を上げている。
■Google、ローソン、無印良品、ユニクロがトップ5入り
2位(86.0pt、前回首位)は、Google。
2024年は、AIによるインタラクティブな検索広告が導入され、個々のユーザーの興味に合ったおすすめ情報が表示されるようになり、広告におけるユーザー体験を向上させた。
また、日本ではインターネットを利用する目的として、最新のトレンドや自分の興味や関心のあるトピックを深掘りして知りたいというニーズが高いため、Google検索でもハッシュタグをつけた検索を可能にした。
その結果、コンビニエントの向上につながった。
3位(85.5pt、前回40位)はローソン。
ここ数年で進めている施策が、物価高が進む中で評価を高めている。
また、コンビニに感じられる印象を逆手に取った施策がさらに効果を高めている。
例えば、価格が割高であるという印象を、盛りすぎチャレンジと呼ばれる増量キャンペーンで和らげた。
このキャンペーンをSNSで拡散する戦略も実施しており、「日本全国47都道府県ハピろー!計画」でも盛りすぎチャレンジをテーマにした投稿が話題になった。
なお、ローソンのXフォロワーはCVS業界で最多である。
今回ローソンは、フレンドリー、コンビニエント、アウトスタンディング、イノベーティブの4指標すべてでスコアが上昇した。
4位(84.5pt、前回17位)は、無印良品。
サステナブルの意識の高まりを受けて、エシカル消費の印象が強い無印良品の評価が高まっている。
例えば、無印の強みともいえるサステナブル消費と利便性の両立においても、「再生ポリプロピレン入り 折りたたみコンテナ」といった主力の生活雑貨で商品開発を行っている。
また、ふるさと納税専用サイト「無印良品 ふるさと納税」を開設し、地域産品の流通拡大および、地方財政の活性化を図っている。
5位(84.2pt、前回10位)は、ユニクロ。
エアリズム、ヒートテックといった主力の商品力を継続的に向上させ、いまだに売上の柱を担っている。
2024年は誕生40周年であり、コラボやプレゼントなど多数のキャンペーンを展開した。
■ローソン、Netflix、生茶が上昇ランキング上位へ
「総合力」上昇ランキング上位(表2)をみると、ローソンが13.4pt上昇。
次いで、Netflixが12.6pt上昇した。
ほかには、生茶、バンダイ、Galaxy、松坂屋、アサヒグループ食品、トップバリュ、京王百貨店、伊勢丹、西武鉄道などが大きく上昇した。
なお、ブランドの総合力とは別途聴取している「環境に配慮している」指標のトップ5は、ユニクロが首位、次いで、生協、無印良品、トヨタ自動車、アサヒ飲料の順となった。
今回、一般生活者編のTOP10のうち、過去最も多い6ブランドが流通・ECモールとなった。
いまだに続く物価上昇や可処分所得の減少、エンゲル係数の上昇を踏まえると、流通ブランドへの関心が高まるのも納得できる。
こうした節約志向が強まる中で、「お得感」と「楽しさ」を両立させ、エンタメ要素を取り入れたわくわくするコミュニケーションを展開したブランドが、消費者を飽きさせず、関心を引きつけたことで、スコアを上昇させたようだ。
(石原 和仁=日経BPコンサルティング ブランド・ジャパン プロジェクトマネージャー)