MS&ADインターリスク総研は、一般社団法人HRテクノロジーコンソーシアム及びHR総研、一般社団法人 人的資本と企業価値向上研究会と共同で、人的資本経営と開示に関する企業・団体等の取組状況を大規模調査する「人的資本調査2024」を2024年8月から12月にかけて実施。
MS&ADインターリスク総研「人的資本調査2024 分析レポート」
MS&ADインターリスク総研は、一般社団法人HRテクノロジーコンソーシアム及びHR総研、一般社団法人 人的資本と企業価値向上研究会と共同で、人的資本経営と開示に関する企業・団体等の取組状況を大規模調査する「人的資本調査2024」を2024年8月から12月にかけて実施しました。
この調査は第三回目の実施となります。
今回調査への申込総数は380社を超え、206社から調査票の提出。
今回、調査回答結果のサマリーを紹介するとともに、全体傾向レポートを案内します。
人的資本調査2024
■「人的資本調査2024 分析レポート」の発表
【調査の実施概要】
アンケート名称 人的資本調査2024
調査期間2024年8月27日~12月13日
有効回答206件(うち、上場企業が83%)
※各グラフの割合数値については、端数処理(切り上げ・切り捨て)を行っています。
【調査結果サマリー】
本調査では「人的資本経営の推進」、「人材戦略に基づく人的資本投資の実行」、「データドリブンなPDCAサイクル」、「戦略的開示と対話」の4つの大項目に分類し、各々の下に中項目・小項目を配し1~4点(4点満点)でスコアリングし定量的に分析しました。
中項目毎の平均スコアは下図のとおりです。
人的資本調査2024 調査結果スコア
特に取組みが進んでいるのが「職場環境への投資」、次いで「経営戦略と人材戦略の連動」、「企業文化への定着のための取組」、「必要な人材の維持・獲得」、「多様な人材が活躍できる仕組み」であり、人的資本経営の体制整備や各種取組みが進んでいることが明らかになりました。
一方、課題がみられた項目としては「As is - To beギャップを踏まえた計画の作成」、「HRデータの収集と蓄積」、「主要指標のシステム上での統合的可視化」、「独自性のある開示戦略の立案」が挙げられます。
これらの結果から、HRシステム整備が進まないことが定期的かつ定量的なKPIモニタリングによるAs is - To beギャップの把握を困難にし、結果として独自性のある開示戦略の立案を妨げていると推察されます。
以下、関連する設問を分析し、取組みが進んでいない内容について詳述します。
●「人的資本の取組と財務指標の関連データ分析」が進んでいない企業は約8割に上る
「人的資本の取組と財務指標の関連については検討出来ていない、あるいは検討を始めた段階である」という最も低い取組み水準の回答割合が6割弱と、多くの企業が検討自体も出来ていない状況でした。
また、「人的資本の取組と財務指標の関連について検討し、概ね整理が出来ているが、データを用いた分析は行っていない」とする企業の割合は20%強あり、これらを合計した「データを用いた分析が出来ていない」の割合は8割にも上ることが分かりました。
人的資本の取組と財務指標の関連に関する検討・分析状況(MS&ADインターリスク総研作成)
●「人材ポートフォリオの充足に向けた目標や達成までの具体的計画の設定」が進んでいない企業は半数以上
「人材の現状分析や必要とする人材ポートフォリオの明確化が出来ていない」という最も低い取組み水準にある企業の割合が3割近くを占めました。
また、「人材の現状分析はしたが、必要な人材ポートフォリオを実現するための目標設定や具体的計画は立てられていない」とする企業が25%強と、これらを合計した「人材ポートフォリオの実現に向けた目標と具体的計画を設定できていない」とする企業が半数以上に上っていることが明らかになりました。
人材ポートフォリオへの取組状況(MS&ADインターリスク総研作成)
●「人的資本経営や開示で必要なKPIの可視化」を高頻度で実施している企業は25%弱にとどまる
必要なKPIデータの可視化頻度について「1年に1回程度」と回答した企業が3割程度、「2~6ヵ月に1回程度」と回答した企業が45%でした。
リアルタイムまたは毎月という高頻度で可視化できている企業は25%弱と、HRデータを収集するためのシステム整備の遅れが目立つ結果でした。
必要なKPIデータの可視化頻度(MS&ADインターリスク総研作成)
人的資本調査 企画・運営団体一覧