博士号取得するまでの軌跡!ゲーム少年の夢 復刻版

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世界的な科学者・冨田勝氏(67)が33歳のときに執筆した話題作『ゲーム少年の夢』が、復刻版として蘇りました。

 

ゲーム少年の夢 復刻版

 

ゲーム少年の夢 復刻版

 

著者  : 冨田勝

価格  : 1,103円(税込)

発売日 : 2025/1/12

ページ数: 198ページ

仕様  : 寸法12.8 x 1.27 x 18.21 cm 表紙以外白黒

ISBN-13 : 979-8305116311

発行元 : Amazon.co.jp

 

世界的な科学者・冨田勝氏(67)が33歳のときに執筆した話題作『ゲーム少年の夢』が、復刻版として蘇りました。

この本は、1970年代から80年代に青春時代を過ごした冨田勝氏の人生を描き、当時大流行していた「インベーダーゲーム」に熱中した経験が、彼の科学者としての原点となったなど、ユニークで痛快なエピソードが詰まっています。

音楽家・冨田勲の長男として生まれた勝氏ですが、父親とは全く違う道を歩み、AI研究を志してアメリカのカーネギーメロン大学に留学します。

ノーベル賞受賞者のサイモン教授の指導の下で博士号(Ph.D)を取得するまでの道のりは、苦難も多く決して平坦なものではありませんでした。

しかしその前向きな生き方は、悲壮感が全くなくて、とても爽快なのです。

書は慶應幼稚舎の「良書展示会」にも選ばれました。

親世代および教育関係者に多くの示唆を与える内容であり、未来社会を生きる子供たちの教育を考える上で必読の一冊といえるでしょう。

 

【目次】

序章 ゲーム少年の夢

第一章 少年時代回想記

第二章 インベーダーゲームの名人

第三章 ゲームソフトを作って売って儲ける

第四章 コンピューター将棋と人工知能 -

第五章 アメリカ留学の夢

第六章 博士号への道のり

第七章 夫婦で勉強した話

第八章 網膜剥離症で突如の入院

第九章 アメリカでの出産日記

第十章 人工知能と自動翻訳

第十一章 博士号を授与された日

復刻版あとがき 「その後の人生」

【オリジナル版序章より抜粋】

私がコンピューターを専攻し、人工知能を研究するためにアメリカに渡り、博士号を取るという道を歩く事になったきっかけは何を隠そう「インベーダーゲーム」なのである。

少年時代からゲームが好きだった私は、昭和五十年代に大流行したインベーダーゲームのとりこになり、想像を絶する量の時間とお金をつぎ込んだ。

やがて私は、こんな面白いインベーダーゲームの中身はどうなっているのだろう、と興味を持ち始めた。

独学でプログラミングを勉強し、当時出始めたばかりの「アップルII」というマイコンを駆使して、数多くのオリジナルゲームソフトを開発した。

そしてそれらを秋葉原のマイコンショップに売り歩き、当時の私としては大金をせしめたのである。

さらに私は、もっと「知的」なコンピューターゲームを作ってみたくなった。

そこで小学校時代から将棋が好きだった私は、人間と対戦する「コンピューター将棋」の開発に挑戦した。

これが私にとって「人工知能」という学問との出会いだった。

当時日本では人工知能は学問として確立されておらず、本格的に勉強するなら、発祥の地アメリカに渡るしかなかった。

そしてアメリカの大学院に留学し人工知能の分野で博士号を取るんだ、という当時の私にとってとてつもなく大きな夢を抱いたのであった。

ところが現実は厳しくTOEFLとGRE(米国大学院共通試験)の点が思うように伸びず、何度も夢を断念しようと思った。

しかしどうしても夢を捨てきれなかった私は、一年浪人して次年度の受験にかけるという英断を行った。

同期が次々と就職する中、留学予備校に通うことは、かなり屈辱的なことだった。

翌年、人工知能の権威でノーベル賞学者のハーバート・サイモン博士のいるカーネギーメロン大学(CMU)から合格通知が届いた時は、天にも昇る気持ちだった。

私はサイモン博士に弟子入りさせてもらおうと夢を大きく膨らませて、CMUのあるアメリカ・ペンシルベニア州ピッツバーグ市へと向かったのだった。

飛行機の窓からのぞくと太平洋の彼方に、雄大なアメリカ大陸が朝日と共にゆっくりと近づいてくるのが見えた。

私はこの時武者震いが止まらなくなった。

夢の第一歩が実現した喜びと、何年続くかわからない留学生活への不安が入り乱れた複雑な心境だった。

隣の席には結婚してまだ間もない有子が眠っていた。

アメリカに連れていくことに反対する声もあったが、結局連れてきてしまった。

すべてが挑戦であった。

この時私の心が希望と情熱とに満ちあふれていたのを、今でもはっきりと覚えている。

この書はそんな勉強嫌いのゲーム少年だった私が、アメリカ留学を目指し、博士号を取得するまでの道のりを記したものである。

(平成3年1月7日 当時33歳)

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