土屋は2024年12月14日、元俳優で現在介護士として勤務する岩佐真悠子氏を招き、介護の公開トークイベント『芸能界から介護職へ』を都内にて開催しました。
土屋『芸能界から介護職へ』
12月14日、元俳優で現在介護士として勤務する岩佐真悠子氏を招き、介護の公開トークイベント『芸能界から介護職へ』を都内にて開催。
このイベントでは、同社常務取締役・高浜将之によるモデレーターの下、芸能界引退後、初の公の場への登壇となる岩佐真悠子氏と、介護タレントとして活躍する盟友・西田美歩氏の息の合った対談が行われ、芸能界から介護という異色の経歴を持つ二人だからこそ語れる、介護の世界の新たな魅力や可能性についての話が展開されました。
■イベント開催概要
タイトル:岩佐真悠子の4年間の介護の仕事を盟友・介護タレントの西田美歩と語る
日時 :2024年12月14日
登壇者 :岩佐真悠子氏(元俳優・現介護職員)
西田美歩氏(介護タレント)
<モデレーター>
高浜将之(株式会社土屋 常務取締役・高齢者地域生活推進委員会委員長)
主催 :株式会社土屋 高齢者地域生活推進委員会
開催場所:AP品川 Aルーム/オンライン
■岩佐真悠子氏の経歴
『ミスマガジン2003』にて16歳で芸能界デビューを果たし、テレビドラマ 『Deep Love~アユの物語~』、映画『受難』で主演を務める。
『花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス~』、『メイちゃんの執事』など数多くのドラマやグラビア、バラエティーに出演し、2020年に17年間の芸能生活に終止符を打つ。
引退後は介護の道に進み、現在週5日で介護士として奮闘している。
■当日のイベント内容の概要
<介護職としての経験と、そこから得られた気づき>
冒頭、「よく聞かれますが、介護の仕事をほんとにやってます」と語る岩佐真悠子さんは、芸能界引退後、介護タレントとして活動している大親友・西田美歩さんの語る介護の仕事に惹かれ、介護業界へと足を踏み入れます。
無資格未経験で、特別養護老人ホームで派遣にて働き始めた岩佐さん。
「何一つ分からない」という中、認知症の方とのコミュニケーションに戸惑いながらも、芸能活動で培った鋼のメンタルで徐々に介護現場に馴染んでいきます。
「介護の仕事って、オムツを替えたりといったイメージが強かったんですけど、それってあくまで一部であって、日常生活のお手伝いをさせていただくことだと思うので、気持ちよく過ごしてもらえたらと。
いつも不機嫌な人が笑顔になるだけで、よっしゃ!となるし、私は充実した毎日を送っています」
多くの介護士が苦労する、認知症の方が繰り返す同じ話についても、ドラマの撮影現場で何十回も同じ稽古を積み重ねてきた岩佐さんにはお手のものです。
「いつだって新鮮なリアクションで話を聞けるんです。
それにアドリブ力もあるので、娘さんだと勘違いされたり、急な対応を求められても何とかなります」
岩佐さんはその後、さまざまな介護現場を見てみたいとデイサービスや訪問介護、介護老人保健施設に転職し、現在は有料老人ホームにてパート勤務をしています。
業務の中でも、とりわけ入浴介助が大好きだという岩佐さんは、日々風呂場で汗だくで奮闘。
「サウナ大好きだったんですけど、最近行かなくなりました。
職場でサウナ状態を味わえるので。
お金もかからずラッキーです」と笑います。
介護に関する暗いニュースが多い中で、実際の介護現場は「明るい」と語る西田さんも、介護に6年間携わる中で、「楽しく働きたいし、利用者さんにも楽しく過ごしていただきたいし、生きがいや楽しみを少しでも引き出せれば、介護士として働いてよかったなって」と介護の仕事の楽しさをアピール。
「人生の先輩方に教えてもらうことが沢山」あるという介護の仕事の素敵さを皆に知ってもらうべく、SNSなどで発信を続けています。
そんな西田さんは印象に残るエピソードについてこう語りました。
「90代の男性の利用者さんがいたんですが、最初は何を話していいか分からなくて、一方的な会話になってしまってたんです。
けれど、ある時私が送迎でお家にお送りした時に素敵なお花が沢山咲いていて、その方がお花を素敵に育てていることを知りました。
そこからお花の話をしたりして、少しずつコミュニケーションが取れるようになったんですが、病気で入院してしまったんです。
最後に送迎した時に、『もうちょっとしたら白い花が咲くから一緒に楽しみに見ましょうね』って言ってたんですけど、そのまま戻ってこられず…ある日、送迎の途中にその方のお家の前を通りかかった時、白いお花が咲いていて、私はそこで号泣しました。
私のコミュニケーションを育ててくれた方です」
<学歴や居住エリアに関係なく活躍できる仕事としての介護>
若くして芸能界に入った岩佐さんは、学歴がなくても国家資格を取れるのが介護の魅力の一つだとして、現在、介護福祉士の資格取得を目指しています。
西田さんも資格取得の勉強が、すぐに利用者のケアに活かせることで仕事自体も楽しくなったと言います。
「(勉強して)利用者さんに対応すると、『帰りたい』って言ってた人がそう言わなくなったりして、勉強して良かったと実感するのがすごくいいです。
資格を取ると自分の自信にもなりますし、お給料が少し上がったりもするので、いいこと尽くしです」
そんなお二人が介護の中で気を付けていることは「やりすぎないこと」。
「なんでも言われたようにやるのが介護の仕事ではなくて、自分でできることをちゃんとしてもらって、今ある能力が落ちないようなお手伝い」を心がけているという岩佐さん。
想像力を働かせ、相手の立場に立ちながら真摯に介護に取り組む中で、今後については「自分が介護される側になるまで、何らかの形で関わっていきたい」として、「介護を受ける側と介護する側、双方ともに楽しく、心地よくやっていける環境を作る何かしらのお手伝いがしたい」と語りました。
そして、転職の経験からは「いろんな事業所があるので、一回働いてみて『合わない』と思っても、介護の仕事をすぐに辞めるんではなく、違う所も見て経験してほしいです」「少し人の役に立ちたいという気持ちだけ持ってきてもらえれば、それだけでいいので」と、人材不足が深刻化する介護業界で働くケアワーカーとして、人材確保への切実な思いを述べられました。
<メッセージ>
岩佐「切実にきてほしいという気持ちでしかないんですが…もちろん楽しいことばっかりじゃないです。
きついこと、時には泣くようなこともありますけど、それを踏まえても楽しいなと。
…介護だけに限らず、『今日なんか楽しいことないかな』という気持ちで取り組んで、自分の中の楽しいことを、小さいことでもいいので見つけて、共有してほしいと思います。
私にできるのはそういう小さな積み重ねだと思って頑張っていきたいです」
西田「介護って今後皆さんが関わることが多くなってくると思うんです。
そんな時に、少しでも情報が分かっていれば、その時不安だった気持ちがなくなったりすると思います。
孤独や寝たきりなどの悲しいこともあったりするので、少しでも介護の世界を知ってもらうことで、自分の今後の人生の不安が取り除けたり、孤立や孤独が少しでも和らげたらいいなと思うので、知っていただけたら嬉しいです」