リスクモンスターチャイナは、利墨リスモン調べ「中国における日系物流業の市場動向」を発表しました。
リスクモンスターチャイナ「中国における日系物流業の市場動向」
・調査方法 :中国における日系企業の法人登記情報に基づく調査
・調査対象媒体 :2023年3月時点で開示されていた法人登記情報
(企業の申告状況などにより最新の情報と異なる場合があります)
・調査対象企業 :中国全土で登記されている日本企業出資の中国企業
及びそのグループ企業(株式保有率50%以上の会社
及びその会社が支配している会社(50%以上)を
グループ会社とする)の内、
運輸・倉庫・郵便業に分類される企業
・調査対象企業数:1,016社
リスクモンスターチャイナは、利墨リスモン調べ「中国における日系物流業の市場動向」を発表。
“利墨リスモン調べ”は、リスクモンスターチャイナが独自に収集した中国の日系企業データベースや業界情報を基に、調査・分析を行ったレポートです。
今回は、2023年3月時点で開示されていた中国全土の法人登記情報の、日本企業出資の中国企業及びグループ企業27,968社のうち、運輸・倉庫・郵便業に分類される1,016社を対象に調査を実施しました。
今回の「中国における日系物流業の市場動向」では、中国に進出している日系物流業について、親会社ごとの企業数、地域別の分布、企業数の推移など、多方面から調査しています。
日系の物流業に対して、日本の親会社と紐付けた企業数をもとにランキングを作成したところ、1位「日本通運」(45社)、同順2位「日本郵船」「伊藤忠ロジスティクス」(34社)、4位「山九」(33社)という結果になりました。
※日本企業売上高については最新情報を紐づけています。
※企業数が同数の場合は、同順として掲載しています。
※同順位の企業は、売上高順に掲載しています。
企業数を細分類業種別に集計したところ、「複合一貫輸送・運送代理業」(466社、45.9%)が最も多く、続いて「倉庫業」(292社、28.7%)、「道路運送業」(164社、16.1%)となりました。
(図1)
「複合一貫輸送・運送代理業」のうち、9割超の428社が「運送代理業」に所属しており、中国日系物流業においては、運送代理業務に従事している企業が最多であることが分かりました。
■中国日系物流業の細分類業種分布(図1)
また、企業数の推移・地域分布に注目すると、中国の日系物流業は、1981年から中国に進出して以来、企業数は増加の一途をたどり、特に2000年以降に急激な増加を見せています。
しかし、近年では増加傾向を維持しつつも、2011年からは成長率がやや鈍化しています。
(図2)
地域別の分布は、「上海」(381社、37.5%)に最も集中しており、「広東省」(134社、13.2%)、「江蘇省」(130社、12.8%)と続き、3地域で全体の6割以上を占めています。
(表2)
地域別企業数ランキングのトップ10に入る地域のうち、「北京市」「湖北省」を除く8地域は中国の沿岸地域に位置しており、特に東部に集中しています。
国際物流を主軸とする日系物流業は、世界、特に日本と直結する交通インフラの利便性は欠かせず、港湾の利用が前提となるため、東部沿岸地域に企業数が集中していると考えられます。
■中国日系物流業の企業数推移(図2)
■中国日系物流業の地域別企業数ランキング トップ10(表2)
近年、人口減少や経済成長率の停滞により、中国国内の需要拡大が鈍化する中、多くの中国企業が国外市場への進出を急いでいます。
その結果、2023年の中国の港湾貨物取扱量は170億トン(前年比+8.2%)に達しました。
そのうち輸出入貨物取扱量は50億トン(同+9.5%)を占め、国外との交易は拡大しています。
この傾向は、海外市場の物流に関する豊富な経験やネットワークを持つ日系物流業者にとって、中国企業の海外展開を支援する新たなビジネスチャンスとなる可能性があります。
2023年の日中貿易総額は3,180億米ドル(前年比-10.4%)と、過去最高だった2021年から2年連続で減少していますが、今後、新たな収益事業を見出すことで、中国市場でのさらなる事業拡大も期待できるのではないでしょうか。