日本アビオニクスは、同社が保有するパルスヒートはんだ付けと超音波接合の二つの技術を融合し、ギ酸や水素、真空チャンバを使わずにボイドの発生を抑えた、新しいはんだ付け技術を開発しました。
日本アビオニクス「ボイドレスはんだ付け」技術
日本アビオニクスは、同社が保有するパルスヒートはんだ付けと超音波接合の二つの技術を融合し、ギ酸や水素、真空チャンバを使わずにボイドの発生を抑えた、新しいはんだ付け技術を開発。
■開発経緯
将来のカーボンニュートラル実現に向け、省エネルギー技術が注目を集める一方で電力需要は増加傾向にあります。
その要因として、モビリティ関連のxEVや生成AIの急速な普及などが挙げられます。
これらの増加により、パワー半導体には省エネルギー化や熱マネジメントを考慮した耐熱性・放熱性の性能向上が要求されており、従来のSiパワー半導体から次世代SiCパワー半導体への移行が進んでいます。
SiCパワー半導体は高電圧・高電流、高放熱、低損失の特性を持ち、増加する電力需要において省エネルギー化が期待されています。
しかし、パワー半導体の性能が向上しても、リードフレームや放熱版とのはんだ付け時に発生するボイドによって放熱性低下や接合信頼性の確保に課題がありました。
従来は、ギ酸や水素を用いた真空リフロー技術で対応していましたが、これには環境への影響や安全対策、設備導入コストやランニングコストなど多くの課題が残されています。
同社では、これらの課題を解決するために、安全で環境に配慮したボイドレスはんだ付け技術を開発しました。
この新技術により、設備の簡素化と生産工程の短縮を実現し、設備導入コストやランニングコストを削減できます。
また、はんだ接合部の放熱性や接合信頼性を確保することで、製品の熱マネジメントの課題も解決します。
■接合技術
この新しい接合技術は、同社が保有するパルスヒートはんだ付けと超音波接合を組み合わせた独自開発の複合技術です。
パルスヒートはんだ付けは、金属ツールに大電流を流し抵抗発熱を利用して熱と加圧で瞬間的にはんだ付けを行う技術です。
精密な温度フィードバック制御と多彩な温度プロファイル制御機能を備えており、接合品質のばらつきを最小限に抑えます。
超音波接合については、デジタルATHMOS制御*1を搭載した超音波発振器により、高い繰り返し精度で安定した超音波振動を実現します。
これらの技術を組み合わせることで、パルスヒートの瞬間加熱により高品質なはんだ付けを行い、同時に超音波振動によるキャビテーション効果*2で酸化膜とはんだボイドを除去することができます。
また、大気中でのはんだ付けが可能なことから、従来の真空リフロー工法に比べ、扱いやすい接合技術です。
この複合技術は、同社が接合4工法(パルスヒート接合機、超音波接合機、抵抗溶接機、レーザ溶接機)を保有する接合機器メーカであり、60年にわたる経験とノウハウを蓄えた結果として実現しました。
*1 ATHMOS:Automatic Tuning Hold Master Oscillator Systemの略で、同社独自の周波数自動追尾制御のこと
*2 キャビテーション効果:超音波により液体中に小さな泡が形成され崩壊し、強力な衝撃波が発生する現象
■適用例
xEVのインバーター、データセンターや産業用機器の電力変換システム、通信用機器の基地局など、多様な市場や製品において利用されるパワー半導体モジュール(Si、SiC、GaN)とリードフレームや放熱板に接合する技術です。
今後もさらに研究開発を進め、実用化に向けて取り組むとのことです。
また、この技術を通じてサステナビリティに貢献し、お客様の生産ラインの省電力化、効率化、環境に配慮したものづくりに寄与します。
■展示会出品の案内
本接合技術を、第22回 SMART ENERGY WEEK(2024年10月2日~4日)展示会に出品したところ、来場者から注目を集め、多くの具体的な引き合いをいただきました。
この反響を受け、以下の展示会にも同技術を参考出品します。
【第7回[名古屋]自動車部品&加工EXPO(オートモーティブワールド内)】
会場:ポートメッセ名古屋
期間:2024年10月23日(水)~10月25日(金)
【第8回接着・接合EXPO(高機能素材Week内)】
会場:幕張メッセ
期間:2024年10月29日(火)~10月31日(木)
【第17回オートモーティブワールド(ネプコン ジャパン同時開催)】
会場:東京ビッグサイト
期間:2025年1月22日(水)~1月24日(金)
*本リリースに掲載されている内容は、発表時のものです。
商品の販売終了や組織の変更により、お問い合わせ先など最新の情報と異なる場合があります。