術出版社の世界思想社は、『「みんな」って誰?』を刊行します(10月23日発売予定)。
状況が良くなることが想像しにくいなかで、どうしたらのびのび生きられるのかを、人口減少・高齢化が進むなか被災した方たちから学ぶ本です。
『「みんな」って誰?』宮本匠著
書名 :「みんな」って誰?――災間と過疎をのびのび生きる
判型 :四六判
頁数 :208頁
価格 :1,870円(10%税込)
ISBN :978-4-7907-1794-2
術出版社の世界思想社は、『「みんな」って誰?』を刊行します(10月23日発売予定)。
状況が良くなることが想像しにくいなかで、どうしたらのびのび生きられるのかを、人口減少・高齢化が進むなか被災した方たちから学ぶ本。
【「教養みらい選書」シリーズ概要】
世界思想社という社名には、世界のあらゆる思想を受け止め、学問と教養を推進し、平和な世界を築くという、創業時の思いが込められています。
その原点に立ち返り、「教養みらい選書」を創刊しました。
●逆境から空気が変わるしくみを解明
もともと、少子高齢化の進んだ地域を地震が襲い、諦め感や無力感がただよう被災地。
さまざまな取り組みのうちに空気が変わり、やがて、被災した人が「復興した」「過疎が止まった」と胸をはるようになりました(人口減少も高齢化もいっそう進んでいるのに)。
ここに、右肩下がりの時代をすこやかに生きていくヒントがある、と著者は言います。
アンデルセンの「はだかの王さま」や、柳田國男の『遠野物語拾遺』のエピソードもとりあげて、「みんな」(=空気)がどうやって変わるのか、自分がどうやって変わるのか、そのメカニズムを解明し、わかりやすく伝えています。
●MBAの土台グループ・ダイナミックスの実践的活用
MBAカリキュラムにも組み込まれているグループ・ダイナミックスの土台となる考え方を紹介し、組織や地域での変化を促進するための具体的なツールと方法を提供。
内発的なプロセスを重視し、外部に頼らない持続可能な活性化が可能になります。
●「地域おこし協力隊」制度のモデルとなった災害復興のリアルな事例
新潟県中越地震の復興プロセスをエスノグラフィを通じて詳細に描写し、実際の現場での取り組みや課題をリアルに伝えています。
著者自身、学生ボランティアや中間支援組織「中越復興市民会議」のスタッフとして活動に参加した経験に裏打ちされた、支援の空回りや絶望から前向きへの空気の変化の記述は説得力があります。
深く分析して、他の問題や他の地域にも共通する原理・法則を抽出しているので、ソーシャルデザインや村おこしに役立ちます。
●10月23日で新潟県中越地震から20年
奥付発行日は、新潟県中越地震が起きた2004年10月23日からちょうど20年としています。
20歳の大学生が、地域の魅力に惹かれ住みつき、村人たちと交わりながら20年にわたって実践と研究をおこなってきた物語としても読めます。
●対話形式での読書体験
問いかけを通じて読者が自分自身の考えを深める形式をとっています。
単なる受け手としてではなく、能動的に本の内容に関与することができます。
●書籍ページ
https://sekaishisosha.jp/book/b651900.html
●目次
はじめに
序章 はだかの王さま再考
――みんなのグループ・ダイナミックスとは?
第1章 右肩下がりの被災地で復興にのぞむ
――新潟県中越地震のエスノグラフィ
第2章 支援がつまずくとき
――「めざす」かかわりと「すごす」かかわり
第3章 地域が自ら変わるには?
――内発的であるということ
第4章 集団を変化させるには?
――みんなの前でことばにする
第5章 見なかったことにしないとすれば?
――集合的否認と両論併記
終章 ひとごとからわれわれごとへ
――災間を豊かに生きる
注
おわりに
●プロフィール
宮本匠(みやもと たくみ)
1984年大阪府生まれ。
町工場の横に積みあがる金屑と機械油と田んぼの土のにおいが入り混じった東大阪の空気を吸って育つ。
大学時代、古本屋と中古レコード屋を渉猟する毎日から、ひょんなことで新潟の被災地で山菜を探す日々に。
すがすがしく今を生きるヤマの人々にすっかり魅せられて、世の中の人が「問題」と考えている見方だけではない「問題」とのつきあい方を被災地や過疎地をフィールドに研究する。
博士(人間科学)。
大阪大学大学院人間科学研究科准教授。
特定非営利活動法人CODE海外災害援助市民センター副代表理事。
ユーモアとペーソスが同居するものが大好物。
水道の蛇口から井戸水の出る大阪北部で三児の子育て中。
主な著書に、『現場でつくる減災学』(新曜社、矢守克也と共編著)。
『防災・減災の人間科学』(新曜社、矢守克也・渥美公秀編著、近藤誠司と共著)。