仁和寺を中心とした任意団体・御室杜睦(おむろのもりむつみ)が、“社会的問題点を解決しながら文化を学ぶ”というコンセプトの元、体験型ワークショップ「本物を知る寺子屋」を発足しました。
御室杜睦(おむろのもりむつみ)体験型ワークショップ「本物を知る寺子屋」
年に2度予定をしている春の一大イベントが3月30日、31日に開催。
茶と能による寺子屋、黒書院特別BAR(サントリー山崎協力)、御室桜特別雲海ライトアップなどを揃え、未来持続化の観点から子供向けのコンテンツも用意しています。
【背景とコンセプト】
日本の「ほんもの」のラグジュアリーを世界に届ける活動をするJAXURY委員会の2022年アワードにて、【歴史・神話】部門賞を「仁和寺 松林庵」が受賞。
それを機に仁和寺と慶應義塾大学大学院 SDM研究所 オーセンティック・ラクシュアリーラボの共同研究が開始されました。
仁和寺の裏山である成就山には約3kmにわたる山道にお堂(札所)が点在し、それぞれのご本尊・弘法大師がお祀りされていて、四国八十八ヶ所の写しである札所を約2時間の行程で全て巡ることができるのですが、昨今の台風などで倒木や参道の崩落、諸堂の破損、山内にある弁天池の決壊など壊滅的打撃を受けている現実を把握。
特に早急な対応を要す倒木や間伐材問題を解決するにあたり、同じくJAXURY委員会のアワード2022年【美】部門賞を受賞した中川木工芸に協力を得て着手しました。
人手や経済的理由も重なり放置せざるを得なかった状況を分析すればするほど、現代の日本社会縮図と重なり、社会的・文化的解決を必要とするものである、という問題点を提議しています。
文化的素地の欠乏が著しい若年層へ、いかにアプローチを行うか?
また若年層の受け皿となるべき、熟年層の文化見識を深める場の提供をいかに行うのか?
成就山再興にあたり、文化継続と保存の重要性を体験し、理解してもらうため仁和寺を通して、大人だけでなく子供も参加できる「本物を知る寺子屋」として発足するに至りました。
「社会的問題点を解決しながら文化を学ぶ」というコンセプトの元、ワークショップを2023年6月からスタート。
現在までに計4回実施されています。
<本物を知る寺子屋・春イベント概要>
【開催場所】
仁和寺(〒616-8092 京都府京都市右京区御室大内33)
【グッズ】
御室杜の御朱印
【発売日】
3月23日10時より
【価格】
各3,000円(税込) 無くなり次第終了
【販売場所】
仁和寺観音堂 西側 カフェ蔵
仁和寺裏山である成就山の倒木を板状に加工し、限定の御朱印を作成。
1,000年以上続く仁和寺を守り続ける木々を手に取っていただける機会となっています。
*御朱印の収益は成就山の再生基金として活用されます。
【プロジェクトコメント】
●一般社団法人JAXURY委員会 専務理事 隅谷 彰宏 氏
共同研究からいろいろなヒントが生まれました。
JAXURY研究のなかでも日本人独特の感性があることを研究していました。
その原点には、縄文時代などから続く、アメニズムの文化からの感性が日本の美意識に大きく起因しており、何千年もこの自然と共に生きてきた我々が、失われた30年の中で一番大きく失われたことが、この自然と共に生きることと仮説を立てました。
失われた自信、美意識を再生するには、森の再生や本物に触れることで、自らを再生し、美意識を育むのでは?
エビデンスとしての結論には達していませんが、この問いを明らかにすべく、活動・研究を行っていきます。
●中川木工芸 比良工房 代表 中川 周士 氏
京都には数多くの寺社があるが、これだけ広大な山を持ち、その山を周れたり、触れたりするのは、仁和寺だけ。
日本の課題を今回の取組みなどで、様々なアイデアで解決方法を実践する場としてとても貴重だと思う。
この活動を通じて森や木に触れ、一人でも多くの方に醍醐味を味わってほしい。
また、ここにある杉や檜は戦後に植えられた70年前後の木が多く、日本全国同じ状況。
本来、杉などは、花粉を放つのは、150年くらいから。
でも間伐など山の手入れをしないことで、木が密集。
木は生き残るために必死に花粉を放っている。
ちゃんと正常な状態にしてあげれば、花粉の量は減り、ひどい状況は回避できるはず。
明治神宮の森は、100年後の未来の為にと先人の気概で作られたが、我々も孫世代が花粉症にならないために立ち上がりたい。
●任意団体 御室杜睦 代表 金崎 義真 氏
この活動を通して、社会課題解決のモデルケースにしていきたい。
仁和寺だけの問題でなく、社会の問題を如何に解くか。
この御室杜睦の活動を通して、仁和寺だけでなく、企業、大学、行政とも連携し、新たな道筋を創り、現代版寺子屋で、学校や家庭や地域で学んでいたことなどを学ぶ場を創ります。
「本物を知る寺子屋」本物を知ることでしか得られない喜び、幸せ。
僥倖を生めることを取り組みます。