第3回展となる「北アルプス国際芸術祭2024」を、2024年9月13日(金)から11月4日(月・祝)までの約50日間の会期で長野県大町市にて開催します。
2024年秋、コロナ禍を乗り越え、世界中からアーティスト、サポーター、そして多くの人々が北アルプスの麓・信濃大町に再び集います。
「北アルプス国際芸術祭2024」の開催概要、芸術祭のコンセプトや地域の特徴、メインビジュアル、アーティスト、作品鑑賞パスポート等の情報も併せて発表されました。
北アルプス国際芸術祭2024
会期 :2024年9月13日(金)~11月4日(月・祝) 休祭日設定予定
開催地:長野県大町市
主催 :北アルプス国際芸術祭実行委員会
名誉実行委員長 阿部守一(長野県知事)
実行委員長 牛越徹(大町市長)
総合ディレクター 北川フラム(アートディレクター)
ビジュアルディレクター 皆川明(デザイナー)
~作品鑑賞パスポート (税込価格)~
《一般》
当日価格:3,000円
前売価格:2,500円
《16歳~18歳》
当日価格:1,500円
前売価格:1,000円
・身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳のいずれかの提示で一般 1,000円、16~18歳 500円(当日・前売一律)
・前売価格:2024年3月14日~9月12日、当日価格:2024年9月13日~11月4日
・前売引換券販売:2024年3月14日予定
芸術祭のコンセプト
信濃大町を訪れて、全身の五感を揺らすのは、圧倒的な水の奔流です。
ところどころでほとばしる水、高瀬川や鹿島川の水が用水に流れ込み、冷たい水をやわらかく田圃に引き入れるための「わっぱらんど」のプール、そして家の床下を走る水路、さらに東と西の樹種が混ざり合った森。
回廊ともいえる山の中腹を渡って見下ろす扇状地。
やがて日本海へと流れ落ちる仁科三湖から広がる盆地。
昔、扇状地からアルプスまで含めたこの地域は海でした。
西に連なるアルプスと東山に挟まれるように、南から北へと走るフォッサマグナにより、東と西の地質はまったく違います。
そうした地質的な特質が極めてダイナミックにあらわれているのが信濃大町です。
これらの地盤は、季節風に運ばれた寒流と暖流の水蒸気が列島の脊椎山脈にぶつかり、降り落ちる水によって豊かな土をつくり、何度もの褶曲によって変化することで、土の多様さを生み出しました。
その上に営まれた生活文化が深く見てとれるのです。
そして信濃の人が一生仰ぎみる、高い、青い空。
私はそれを水・木・土・空の世界と言ってみたくなりました。
そこには透明さと、重さがある。
これらの風土、時間の積層を見ていただきたい。
さらに、ここに暮らすアーティストがそこから生み出したもの、他所から来たアーティストがここに見出したもの、それらによって芸術祭はつくられます。
そして外来者を迎えるべく郷土の食材をアレンジした料理。
地殻・土壌の成り立ちだけではなく、信濃は東日本の中心となる地域です。
海を渡ってきた人たちは出雲から東へと流れ、フォッサマグナの西端(後の「塩の道」)を通り、独自の文化を生み出してきました。
諏訪の御柱はその象徴とも言えるものです。
後の時代をみても、木曽義仲、そして信濃教育に至るまで、それは中央にまつろわぬ、高い志の生まれる場所でありました。
いま、このグローバルの時代にあって、芸術祭は、バーチャルなだけのグローバル経済とは違って、人々が移動し、生活文化と世界の志が出合う場になろうとしています。
海の向こうのアジアの人々との交流、そして都市と地域の交換・交感が始まりました。
信濃大町もそうでありたいと、この芸術祭は企画されました。
北川フラム (北アルプス国際芸術祭2024 総合ディレクター)
メインビジュアル
北アルプス国際芸術祭2024のメインビジュアルは、大町の土地の特徴でもあり大切な資源でもある水をテーマに、山々にしみ渡りやがて川となり湖へと繋がる姿を青の線と点で表現しています。
それは、芸術が社会の事象と作家の思考や創造性と結びつき、精神に蓄積されやがて作品として再び社会の中に湧いてくることと重なります。
そんな想いを込めてビジュアルを描きました。
皆川明 (北アルプス国際芸術祭2024 ビジュアルディレクター)
1995年にブランド「mina perhonen」の前身である「mina」を設立。
ハンドドローイングを主とする手作業の図案によるテキスタイルデザインを中心に、衣服をはじめ、家具や器、店舗や宿の空間ディレクションなど、日常に寄り添うデザイン活動を行っている。
主な著書に、「皆川明 挿画集 本日の絵」、「Letter」、「生きる はたらく つくる」、主な展示に「ミナ ペルホネン/皆川明 つづく」がある。
5つのエリアについて
長野県の北西部に位置する大町市は、3,000m級の山々が連なる北アルプスの麓にあり、清冽な雪解け水と澄んだ空気、四季折々の景観に恵まれ、古くから塩の道「千国街道」の宿場町として栄えました。
北アルプスの山々の姿を映す仁科三湖や豊富な温泉などの自然にも恵まれ、いまも登山の拠点として、また立山黒部アルペンルートの長野県側の玄関口として、多くの観光客でにぎわう地域です。
北アルプス国際芸術祭では、そのような大町市の多様な特色がみられる5つのエリアを舞台に、国内外のアーティストによるサイトスペシフィックなアート作品を展開します。
▼市街地エリア
千国街道の宿場町として栄えた歴史を持つこの地域では、古い水路が多く残っており、趣深い町屋造りの家々の床下を水が流れる風景が見られるなど、随所に小さな発見や驚きが潜んでいる。
アートを道標に街を巡ると、過去と現在、ふたつの時代を行き来するような独特の雰囲気を味わえる。
▼ダムエリア
大町市はアジア最大級の土木建築物である黒部ダムの玄関口であると同時に、北アルプス山麓に大町ダム、七倉ダム、高瀬ダムを有している。
人々が土木技術を通して水と関わってきた軌跡であるダム。
その歴史や意義、圧倒的な造形美を、アーティストによるあらたな視点から発見する。
▼源流エリア
北アルプスの雪解け水や湧水が豊富な鹿島川流域は、水にまつわる地名が多く残る。
また大町温泉郷には高瀬渓谷の葛温泉から引湯された温泉旅館やホテルが並び、多くの観光客を迎えてきた。
南側には安曇野・松本方面に平野が広がり、特徴的な神社仏閣も数多くみられる。
▼仁科三湖エリア
大町市の北の玄関口となる仁科三湖(にしなさんこ)は、かつて「塩の道」と呼ばれた道筋に位置する3つの湖である。
北から長野県有数の深度と透明度を誇る青木湖、四季折々の景観を湖面に映す中綱湖、アートやスポーツのアクティビティが豊富な木崎湖が並び、それぞれ異なった特徴を持っている。
▼東山エリア
大町市街地を挟んだ北アルプスの反対側には豊かな里山が広がり、人々の営みを色濃く残す集落が点在する。
鷹狩山展望台から大町市全域を一望すると、この場所が南北に走る糸魚川静岡構造線という活断層上にあり、東西で異なる地質や生態系が広がっていることが見えてくる。
作品・アーティスト
《参加候補アーティスト(2023年12月1日時点)》
◎ソ・ミンジョン|Seo Min Jeong
1972年韓国生まれ・在住
場所の歴史や物語などを起点に、小さなスケールから大きな空間まで、多様なインスタレーション作品を制作するアーティスト。
[参考作品] 《Sum in a Point of Time - Existence》 2014
◎ムルヤナ|Mulyana
1984年インドネシア生まれ・在住
かぎ針編みによるカラフルな生き物の世界を作り出すアーティスト。
折り紙や水引などの日本文化から着想を得た作品も制作する。
[参考作品] 《Tools of Conviviality》 2021
◎ルデル・モー|Ledelle Moe
1971年南アフリカ生まれ・在住
遺跡や風化した建造物を思わせる中空の彫刻を通して、強さと弱さ・過去と現在のような、異なるものの間に迫るアーティスト。
[参考作品] 個展「When」展示風景、2019
◎エカテリーナ・ムロムツェワ|Ekaterina Muromtseva
1990年ロシア生まれ・アメリカ在住
哲学や舞台美術を学んだ経験と、叙情的かつコンセプチュアルな方法によって、人々の記憶を辿る作品を展開するアーティスト。
[参考作品] 《全てもって、ゆく》 2021
その他の参加候補アーティスト(既存作品を含む):淺井裕介[日本]、ダナ・アワルタニ[サウジアラビア]、川俣正[日本/フランス]、木村崇人[日本]、イアン・ケア[イギリス]、平田五郎[日本]、松本秋則[日本]、目[me][日本]、ヨウ・ウェンフー(游文富)[台湾]、ジミー・リャオ(幾米)[台湾]
「北アルプス国際芸術祭2024」では、国内外から30-40組のアーティストが参加予定です。
2024年3月中旬には参加アーティストの詳細を発表予定です。