東京都足立区・葛飾区の在宅療養支援診療所「綾瀬中央診療所」訪問診療部は、在宅療養サポートチーム「チーム大津京」による“自分らしい最期を迎えるための絵本『サイ五郎さんちの人生会議』の出版”を通して多くの方に「リビング・ウィル」と「人生会議」(※1)の意味・意義を知っていただくクラウドファンディングプロジェクトに賛同し、支援を実施しました。
綾瀬中央診療所「サイ五郎さんちの人生会議セット」クラウドファンディングプロジェクト支援
2018年に厚生労働省が改訂したガイドライン(※2)の中にACP(アドバンス・ケア・プランニング)=「人生会議」の概念が盛り込まれ、近年では本人の尊厳を大切にしながら、自分らしくより良い最期を迎えるための準備を進めることが少しずつ注目されるようになりました。
綾瀬中央診療所は、地域に根付いた訪問診療を行う中でその重要性を日々感じており、今回「人生会議」に関する理解を促す当プロジェクトに賛同しました。
※1:「リビング・ウィル」とは:あなたがどんな医療を受けたいかを、自身であらかじめ意思表明しておくこと。
「人生会議」(ACP:Advance Care Planning)とは:あなたが受けたい医療や介護に加えて人生観なども含めて、ご家族や親しい人、医療・介護・福祉職などあなたを支える人たちと元気なうちに話しあっておくこと。
※2:出典元:厚生労働省「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」の改訂について
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000197665.html
「サイ五郎さんちの人生会議セット」とは
在宅療養サポートチーム「チーム大津京」がクラウドファンディングサイト「READYFOR」にて、自分らしい最期を迎えるための絵本の出版にご協力をいただくためのプロジェクトです。
“在宅療養サポート体制を進めていくにあたっては、できるだけ多くの方に「リビング・ウィル」と「人生会議」の意味・意義を知っていただきたいと考えています。
なぜなら、命の危険が迫った状態になると、約70%の方が自分の思いを伝えることができなくなると言われているからです。
人工呼吸器や人工透析などの措置は、一度始めてしまうと簡単に中止することができない延命治療です。
元気なうちに本人の意思表示がされていなければ、仮に本人が望んでいなかったとしても、ご家族の望みで延命措置が行われるかもしれません。
ご家族の中でも意見が分かれて苦しまれる姿も数多く見てきました。
回復の見込みがないのなら延命措置は要らないと考える人、延命措置を行って少しでも長く生きたいと願う人、それぞれの人が望むそれぞれの生き方や死に方を尊重するために、「リビング・ウィル」や「人生会議」がもっと普及してほしい...これが、プロジェクトを立ち上げたきっかけです。
”※1
“私たち『在宅療養サポートチーム:チーム大津京』は、「リビング・ウィル」や「人生会議」をわかりやすく伝える[自分らしい最期を迎えるための絵本 ─ サイ五郎さんちの人生会議」を出版し、明るい気持ちで気軽に実践するための人生会議ツールとして[サイ五郎さんちの対話カード][人生会議の議事録][サイ五郎さんちの用語集]を作ることにしました。
”※1
※1:出典元:「READYFOR」クラウドファンディング募集ページより
https://readyfor.jp/projects/saigorosanchi
プロジェクトへ賛同した主な理由について
院長 中川 裕太
在宅療養支援診療所 綾瀬中央診療所は、訪問診療の現場でチーム大津京の「人生会議」の重要性を日々感じています。
訪問診療では、重病を患い病院で入院した後退院された患者様や、要介護状態(ベッドから起きられないなど)のため通院できない患者様に対して、自宅で医療を提供しています。
その中には、症状や生命維持の観点から入院が必要となるものの、自宅で家族と余命を過ごしたいと望む末期の方も多くいます。
これらの患者様は、自分らしさを保ちながら、家族と共に過ごす時間を大切にしたいと考えています。
しかし、そのためには、自分の意志や希望が明確に伝えられ、尊重されることが不可欠です。
綾瀬中央診療所は、そういった患者様が「最後まで自分らしく過ごしていく」ことを支援するため、このプロジェクトが提供する「リビング・ウィル」や「人生会議」の普及に共感し、賛同しました。
これにより、患者自身の意志に基づいた医療やケアが提供され、患者自身が望む生き方や死に方を尊重することが可能となります。
これは、綾瀬中央診療所が追求する、患者中心の医療の理念に一致しています。