サイレックス・テクノロジーは、Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)に対応した産業向けアクセスポイント「AP-800AX」を発表しました。
サイレックス・テクノロジー「AP-800AX」
◆ AP-800AX製品・スペック詳細: https://www.silex.jp/products/accesspoint/ap800ax.html
【価格と販売時期】
価格はオープン価格です。
出荷開始は、日本は9月20日、北米は11月下旬を予定しています。
AP-800AXは、無線LANの活用が増えている工場や物流倉庫内で頻繁に発生するとされる無線干渉に強く、広域もカバーすることができるため、安定的な無線通信が厳しい環境における「切れない無線空間の創造」の構築に貢献します。
また、AP-800AXに搭載されているサイレックスの切れない無線技術をベースに、お客様のご要望に応じた製品カスタマイズにも対応します。
工場・物流倉庫内における無線ニーズの高まりとマルチパス問題
工場や物流倉庫でのIoT活用により、ネットワークへの接続数、接続機器の種類が増加しています。
利用形態が移動しながら使うような機器も増えており、ケーブル配線が不要な無線ネットワークへのニーズは高まっています。
一方で、既存無線のパフォーマンスに満足できず、マルチパス環境によって安定通信の実現に苦労されているお客様も少なくありません。
マルチパスとは、電波が複数の経路を通って多重に伝達される現象です。
「複数の経路」には直接波と反射波があり、反射波は更に「天井からの反射波」「床からの反射波」「壁からの反射波」のように複数の経路を取ります。
これらの反射波が合成された信号が受信信号となります。
経路ごとに伝達路の長さが異なるため、無線LANのような高速通信において、マルチパスはデータが届かなくなる、場合によっては通信が途切れる現象を引き起こします。
機械が所狭しと並ぶような工場や、遮蔽物が多い倉庫のような環境でマルチパスは多発するため、安定した無線通信を確保するためにはその影響を受けないようにする技術と工夫が必要になります。
無線干渉に強く、多台数接続を実現するアクセスポイント「AP-800AX」の特長
AP-800AXには、産業現場の無線干渉に対応する無線レートサーベイ機能や、広域をカバーするサイレックス独自のメッシュ機能を搭載しています。
● マルチパス耐性
1) マルチパス環境において、安定した通信を確保するために欠かせないのが適切な無線レートの調整です。
しかし、適切な無線レートを設定することは難しい課題です。
そこでサイレックスは、環境に合わせた適切な無線レートを簡単に見つけ、また自由に設定をカスタマイズすることができる無線レートサーベイ機能を提供しています。
(特許出願中)
2) Wi-Fi 6では、ガード・インターバル(GI:Guard Interval)を0.8/1.6/3.2μ秒の3つから選択できるようになりました。
通常、高速通信を実現するために短くすることの多いガード・インターバルですが、GI時間を長くすることで接続安定性を向上させることができます。
● 広カバレッジの実現
1) サイレックス独自のツリー型接続メッシュネットワーク「AMC Mesh機能」に対応しています。
AMC Meshは、他社のメッシュネットワークに比べて通信経路の切り替え時間が短いのが特長です。
最大32台で1つのAMC Meshネットワークを構成することができ、複数の経路候補から動的に経路を選択しネットワークを構成します。
ホップを重ねることで広カバレッジの無線LANネットワークの形成が可能です。
(特許出願中)
上図では、RootAP 2台、Repeater 30台で構成されるメッシュネットワークを想定しています。
ホップ数は推奨である5ホップで、最大120m×140mのエリアをカバーすることが可能です。
2) 2.4GHz/5GHz帯を同時に接続し、5GHz帯で通信、2.4GHz帯をバックアップとして使用することで、今まで利用できなかったDFS帯域の運用も可能となりました。
万が一DFSレーダーを検波した場合は、2.4GHz帯を使用して通信し、そのあとは次のDFS帯チャネルにて通信を再開します。