TBS/K-BALLETは、Kバレエ25周年に贈る新制作 『眠れる森の美女』の、新ビジュアルとスポット映像を解禁しました。
熊川哲也 K-BALLET TOKYO Autumn Tour 2023 創立25周年記念 熊川版 新制作 『眠れる森の美女』
【オーロラ姫を死に導いたのは、王子だった ―】
名だたる古典バレエを独自のプロダクションとして鮮やかに生まれ変わらせてきた熊川哲也がかつてない大胆なアプローチで生み出す、全く新たな古典の世界――新制作『眠れる森の美女』。
誰もが知る物語をベースに置きつつ、驚くべき発想で創造した独自のストーリー構成、観客を確実に別世界へといざなう壮大にしてドラマティックな舞台美術と衣裳の数々、そして、自らが天才ダンサーであればこその高度な振付が生む踊りの圧倒的な見応え――
Kバレエ25周年に満を持して贈る本作の、新ビジュアルとスポットが解禁となりました。
ビジュアルセットデザイン: 松本千広(R.mond)
ヘアメイク : アートメイク・トキ
撮影 : 井上ユミコ
リハーサルレポート
猛暑の昼下がり、K-BALLET TOKYOのスタジオでは、『眠れる森の美女』のリハーサルが進行していた。
創立25周年を期して芸術監督・熊川哲也が手掛ける、「古典の最高峰」の新制作だ。
幕開きは、オーロラ姫の誕生に沸くフロレスタン王宮の広間。
4つの友好国の王と王妃、幼い王子らが続々とお祝いに駆け付ける。
王国を守護するリラの精役・成田紗弥の、温かな光を振りまくような踊りに目を奪われた。
そこへ乗り込んでくるのは、カラボス王国の女王だ。
壮絶なまでに美しい浅川紫織が、招待から漏れた怒りに身を震わせる。
流麗なマイムで紡がれる禍々しい予言。
「彼女は愛らしく成長するが、やがて命を落とすだろう」。
リラの精が王の命を受け、暴れ回るカラボスを杖に封じ込める。
息もつかせぬ怒濤の展開。
物語の進行は一瞬たりとも止まることがない。
ちなみに従来は「プロローグ」(序章)と呼ばれるこの場面を、熊川版では明快さを優先し、「第1幕 第1場」と改めた。
細かい点だが一事が万事、常識にとらわれない柔軟な発想がうかがえる。
続く第2場は16年後、王宮近くの森。
咲き乱れる花々、跳ね回る猫や蛙に続き、「自然界の仲間」として早くも青い鳥が登場するのには驚いた。
誕生会を前に森を訪れたオーロラが狼に襲われるも、通りすがりのデジレ王子が颯爽と救う。
心を通わせ、再会を約して別れるふたり。
だが、好事魔多し。
これまた早くも現れた赤ずきんに誘い込まれ、彼は塚から杖を引き抜いてしまう。
いたいけな少女は、悪の手先だったのだ。
封印を解かれて甦ったカラボスは、フロレスタンを滅ぼすべく新たな呪いをかける。
古典の改訂といえば、舞台を現代に置き換えるなど奇をてらった演出がはやっているが、それとは一線を画すのが熊川流だ。
本来の世界観を受け継ぎながら、おとぎ話にドラマを吹き込んで、登場人物に血を通わせる。
象徴的なのはこの後の第2幕、誕生会の場。
伴侶候補の4人(16年前も集まっていた王子たち)と踊るローズ・アダージオは、そっくり残されている。
しかし、候補の1人は主役のデジレ。
そして明らかに様子が変わった彼に、オーロラは戸惑わずにいられない。
様式美の頂点に君臨する名場面を一見そのまま踏襲しつつ、スリリングな心理劇に仕立てているのだ。
これぞ熊川マジックの極致と言えるだろう。
不穏な空気が場を支配し、16年前の予言が現実のものとなる。
オーロラを手に掛けるのは、なんとデジレ自身。
正気に返った彼は、運命に打ち勝つことができるのか。
チャイコフスキーの甘美な楽曲が大胆かつ細心に組み換えられ、踊りの美しさと物語の面白さを両立させていく。
神聖視されてきた『眠り』だけに、さすがの熊川も「ここまで手を加えていいのか」と葛藤したというが、アカデミックな動き、古式ゆかしいマイム......「誰が何と言おうと、これは古典だから」。
「先人への敬意」を貫いてきたこの人ならではの覚悟が見て取れた。
プリンシパルの多くが役を掛け持ちするのも、今回の特長だ。
例えばオーロラ役の4人はそれぞれリラやカラボス、フロリナも踊る。
看板バレリーナたちの共演は見逃せない。
一方、従来は傍観者といった立ち位置の男性陣も、能動的に活躍する。
恋に落ち、その相手を殺め、呪いに抗うデジレは、主役にふさわしい波乱万丈ぶりだ。
リハーサル中の堀内將平からは、踊りがいと演じがいを満喫している様が伝わってきた。
創立から4半世紀、満を持した『眠り』に胸を躍らせないバレエファンはいないだろう。
むしろこの作品は長い間、熊川による再生を待っていたのかもしれない。
古典の中の古典がこの秋、百年の夢から覚めようとしている。
文:齊藤希史子(バレエライター)
世界一流のデザイナーたちとのタッグ
衣裳デザインを手掛けるのは、初起用のアンゲリーナ・アトラギッチ。
ボリショイ劇場をはじめとする世界の名だたる劇場で演劇やオペラに携わり、バレエ界においてはミハイロフスキー・バレエのナチョ・ドゥアト版『白鳥の湖』『ラ・バヤデール』で大きな反響を呼んだことが記憶に新しい。
色のグラデーションや何層にも重ねたレース使いが特徴的な彼女の作品は、精密でありエレガント。
豪華さと繊細さ、古典と現代的センスが融合するそのデザインは見る者を惹き付けて止まない。
美術デザインは、メトロポリタン歌劇場など一流オペラ劇場の舞台を手掛け、これまでも熊川の世界を見事に具現化してきたダニエル・オストリング。
熊川と固い信頼で結ばれているオストリングと、日本デビューとなるアトラギッチによる、この“全く新たなおとぎ話”の世界へといざなう魅惑の美術と衣裳に、ぜひ注目を!
ストーリー
フロレスタン王国の姫君オーロラが誕生した祝いの宴。
親交の深い4つの国の王夫妻と子供たち(のちに姫の婚約者候補)、各国を守護する妖精たちが招待されている。
そこへ、会に招かれず激怒した隣国の君主カラボスが乱入。
「姫は成長したら命を落とす」と予言するが、フロレスタン国の守護妖精リラはカラボスを杖に封じ込め、平穏を守る。
まもなく16歳を迎えるオーロラ。
森で楽しいひとときを過ごしていると、狼が現れ、姫を襲う。
それを助けたのは、通りかかったデジレ王子。
たちまち惹かれ合った二人は、再会を約束して別れる。
だが、その直後、カラボスの手下である赤ずきんに森の奥深くへと誘い込まれた王子は、封印されていた杖を引き抜き、カラボスを復活させてしまう。
姫を殺めるよう王子に呪いをかけるカラボス。
オーロラ姫の誕生日。
婚約者候補の王子たちの中にデジレの姿を見つけた姫は、森で会った時とは別人のような彼に戸惑う。
カラボスに操られている王子は危険な魅力で姫を惑わし、死へ導いてしまう。
やがて呪いが解け、自らの行いを悔やむ王子。
姫を助ける術はあるのか、果たして……。
■台本・演出・振付■
【K-BALLET TOKYO 主演ダンサー】
番組情報(TBSテレビ系)
『眠れる森の美女』特別番組 9月10日(日) 16:00~16:30 ※関東ローカル
※地方局でも放送あり
MBS『眠れる森の美女』特別番組 10月1日(日) あさ5:15~5:45
RKB『眠れる森の美女』特別番組 10月1日(日) あさ6:15~6:45
「人生最高レストラン」 9月2日(土) 23:30~24:00
「バース・デイ」 10月14日(土) 17:00~17:30 ※関東ローカル
「イベントGO!」 9月18日(月)~9月21日(木) 深夜放送 ※関東ローカル
「イベントGO!プラス」 9月22日(金) 深夜放送 ※関東ローカル
「ミルベキ!」 9月27日(水) 深夜1:33~2:03 ※関東ローカル
「アカデミーナイトG」 9月25日(月) 深夜1:33~2:13 ※関東ローカル
「アカデミーナイトG」 10月3日(火) 深夜1:58~2:28 ※関東ローカル
※放送日時は変更になる場合がございます。
詳細は各番組公式HPより確認してください。
公演概要
Daiwa House PRESENTS熊川哲也 K-BALLET TOKYO Autumn Tour 2023
創立25周年記念 熊川版 新制作 『眠れる森の美女』
【日/会場】
2023年10月8日(日)、9日(月・祝)、14日(土)、15日(日) Bunkamuraオーチャードホール
2023年10月24日(火)~29日(日) 東京文化会館 大ホール
【チケット料金(税込)】チケット発売中!!
S席¥17,000/A席¥13,000/B席¥9,000/C席¥7,000/D席¥5,000(D席は東京文化会館のみ)
A親子席¥17,000 学生券¥4,000
※A親子席 大人1名+子供1名(5歳以上小学6年生以下)(A席エリア)
※学生券 中学生以上25歳以下/当日学生証を提示の上引き換え/席位置未定
※A親子席・学生券は、TBSチケット、チケットぴあWEBにて取り扱い
【チケット販売】
TBSチケット、チケットスペース、Bunkamura、チケットぴあ、イープラス、ローソンチケット、東京文化会館