ユーロフィン日本環境が、水質・土壌における有機フッ素化合物(以下、PFAS)の分析法「EPA method 1633」で、2023年7月5日に国内初のISO17025(試験所認定)認定を取得しました。
ユーロフィン日本環境 ISO17025(試験所認定)認定を取得
PFASは環境や人体への有害性が指摘されていますが、日本国内においては数千種類あるPFASのうち、3項目(PFOS、PFOA、PFHxS)に対してのみ、公定法が設定され測定されている現状です。
一方、PFAS対策で先行している米国では、米国環境保護庁(USEPA)が40項目を分析できる方法として「EPA method 1633」を発表しており、これはPFASにおいて世界最多の項目数を分析できる方法となっています。
このような状況下、国内においても「PFASに対する総合戦略検討専門家会議」等で議論にも上がり、多項目のPFASについての国内実態調査が求められてきています。
これらの社会的な背景を踏まえ、ユーロフィン日本環境では土壌・水質における多項目のPFAS分析法を導入し、今回国内で初めて国際基準で認定を取得しました。
これは高品質なPFAS分析法を確立したことを意味します。
EPA method 1633とは
PFASの規制において先行している米国では、米国環境保護庁(USEPA)がPFASの物質を多項目測定できる手法を発行しています。
飲料水の測定手法として発行されている「EPA method 537.1」は18項目、「EPA method 533」は25項目のPFAS物質を測定対象としていますが、PFAS問題が重要度を増したことで、その飲料水以外の媒体に対する測定要請が高まり、EPAは『正式に使用可能なドラフト版』という異例の扱いで「Draft method 1633」を2021年8月に発行しました。
この方法は土壌、水質をはじめとする多種の媒体について、40項目のPFAS物質を対象としており、公的な測定方法として現時点で最も多くの項目数を測定可能です。
ISO17025認定について
「ISO17025」とは、試験所が正確な測定結果を出す能力があるかを、権威ある第三者認定機関が認定する制度です。
試験所認定とも呼ばれており、海外では分析・測定などを行う試験所は採用する方法ごとに認定を取得することが必須となっています。
この認定では分析方法や使用する技術ごとに審査を受け、分析の精度が担保されることを意味しています。
「EPA method 1633」を用いたPFAS分析について、この認定を受けるのは日本国内では初となります。
世界のPFAS規制動向
PFASは「永遠の化学物質」と呼ばれるほど、数十年~数世紀に渡って環境中に残る非常に持続性の高い人工化学物質群とされています。
この特徴により生物や環境へ蓄積し、その悪影響が懸念されており、米国や欧州では特に規制の動きが強まっています。
米国では2023年3月、飲料水中のPFAS規制値をWHOが設定していた勧告値よりも大幅に厳しい内容に設定しました。
欧州でも規制値の見直しが進んでおり、制限提案5ヵ国(デンマーク・ドイツ・オランダ・スウェーデン・ノルウェー)がPFAS制限案を作成し、欧州化学品庁(ECHA)へ2023年1月に提出しました。
現在はリスクや影響の評価、様々な協議を進めており、ECHAの公表によると2025年にはEUでPFASを制限する予定とのことです。
ユーロフィン日本環境株式会社について
環境分析サービスを提供する環境計量証明事業、環境アセスメントを始めとした環境コンサルティング事業を50年間にわたり行っています。
2012年よりユーロフィングループに参画し、昨今はPFASの水質・土壌調査~分析において積極的に研究を進めています。
環境中のPFAS分析において全世界で最も実績があるユーロフィングループのネットワークを活かし、日本国内にまだ規制が無い試料や海外の分析方法・調査方法などの対応可能なサービスを順次追加しています。