2020年12月25日からディズニー公式動画配信サービス「Disney+ (ディズニープラス)」で配信されているディズニー&ピクサー映画『ソウルフル・ワールド』
監督として、『カールじいさんの空飛ぶ家』と『インサイド・ヘッド』でアカデミー賞長編アニメーション賞を受賞した、ピクサーのチーフ・クリエイティブ・オフィサーのピート・ドクターが構想から23年もかけた自信作です。
今回の配信に合わせ、本作で、地上の世界であるニューヨークのシーンで流れるジャズ・パートの作曲を担当したジャズ・ミュージシャンのジョン・バティステにオンラインでインタビューを実施。
映画『ソウルフル・ワールド』と、その音楽についてお話を伺いました☆
ディズニー&ピクサー映画『ソウルフル・ワールド』ジョン・バティステ インタビュー
『ソウルフル・ワールド』の物語の主人公は、ニューヨークに住む音楽教師のジョー。
中学校で音楽を教えながら、ジャズ・ミュージシャンを目指している彼の夢が叶う日がやってきました。
ジャズ・クラブの舞台に立つことが遂に決まったのです。
ところが、直後に有頂天の彼を不運が襲います。
人間の魂<ソウル>が生まれる前の世界に送り込まれたジョー。
そこでは地上に旅立つ前に、音楽や文学、化学、スポーツなどさまざまなことにチャレンジするセミナーのなかで、その魂の性格や特長が定められていきます。
よく“天性の才能”という言葉が称賛の表現として使われますが、天性とはどこでどう生まれているのか、そんな人間の聖域が楽しく描かれているのがソウルの世界。
地上と、生まれる前のソウルの世界。
2つの異なる空間が主な舞台と本作ですが、その世界観は2組のチームによる音楽で彩られます。
前者を担当するのはジャズ・ミュージシャンのジョン・バティステ。
後者は、映画『ソーシャル・ネットワーク』でアカデミー賞作曲賞を受賞したトレント・レズナーとアッティカス・ロスのチーム。
エレクトロ・サウンドを駆使して、愛らしい浮遊感のあるイマジネイティヴな音楽で、異空間を旅する気分を盛り上げます。
今回の配信に合わせ、ジョン・バティステにオンラインでインタビューを実施。
ニューオリンズの音楽一家に生まれ、ニューヨークの名門校ジュリアード音楽院でピアノを学び、ソロとして、また自ら率いるバンド、ステイ・ヒューマンとしての音楽活動と、すでに全米では大注目のアーティストです。
映画『ソウルフル・ワールド』と、その音楽についてお話を伺いました。
――2012年に全米公開された、スパイク・リー監督の映画『レッド・フック・サマー』の音楽を手懸けられていますが、アニメーション映画の音楽は、初めてですよね。
今回引き受けられた理由はどこにあるのでしょうか。
ジョン・バティステ:
ひとつは、ピクサーという制作会社が好きなことがある。
ピクサーの作品にはソウルを感じるし、描かれている物語に深みもある。
彼らの理念というのがこれまたすごくて、全世代、全文化をひとつにする作品を作ること。
そして、その作品を全人類に向けて発信しているところに、僕自身がとても共感している。
それが『ソウルフル・ワールド』の音楽を引き受けた理由なんだ。
――映画を観て、ひとつ思ったのは、主人公ジョーとの共通点です。
ジョーは、まだジャズ・ミュージシャンを目指している段階ですが、共に教育者としての顔を持ち、子供達に音楽を教えていますよね。
ジョン・バティステ:
多くの人がジョーに共感することが出来ると思う。誰でも夢を持っているよね。
ジョーもジャズ・ミュージシャンになりたいという気持ちを持ちつつも、道は遠く、人生半ばにして自分の夢が叶っていない。
それでも彼は、諦めずに前に進もうとしている。
僕も10代でニューオリンズから夢を抱いて、ニューヨークにやってきた。
それまでは親族と一緒に音楽を演奏していたけれど、家族と離れて、ひとりになった時に、プロのミュージシャンになりたくて、バンド・リーダーになりたくて、作曲家にもなりたいと切望し、夢を諦めることなく、すごく頑張ってきた。
そこにジョーとの共通点を感じている。
どんなことがあっても諦めない。それが大切だよね。
――作曲するにあたり、お父さんとの思い出や、音楽が2人の絆を深めたことなど、父親マイケルさんとの関係が作曲のインスピレーションになったと伺いました。
ジョン・バティステ:
これまで多くの人達が音楽のメンターとして、僕を導いてくれたけれど、人生最初のメンターになってくれたのは父さんだった。
僕の家族は、全員が音楽に関わっていて、さっきも言ったように親族で結成したグループで世界中をツアーする、という環境で僕は育った。
その後、独り立ちしてからは、ジャズだったらアビー・リンカーン、カサンドラ・ウィルソン、ロイ・ハーグローヴ、ウィントン・マルサリス、ロックだったらプリンス、レニー・クラヴィッツ、レッド・ホット・チリ・ペッパーズとの仕事を通して多くを学んだ。
だから、父に限らず、そういった人達からたくさんのインスピレーションをもらってきた自分を振り返りつつ、主人公ジョーのジャズ・ミュージシャンとして成功したいという気持ちからも、インスピレーションをもらって多くの劇中曲を作曲したんだ。
――作曲するにあたり、ピート・ドクター監督から「ジャズを聴いている人なら誰でも、ジャズ・ファンじゃなくても、初めて聴く人でも、入り込めると思えるような曲を書いて欲しい」と依頼されたそうですね。
「これこそが自分がずっとやりたかったことだ」と感じられたとのことですが、それはどんな理由からですか?
ジョン・バティステ:
僕としては、きっと聴いたら好きになるだろうという思いがあるので、まだ知らないでいる人達に音楽を紹介することに、ある種の生き甲斐を感じているんだ。
多くの人は、普段から慣れ親しんでいる音楽を聴くことが多く、きっとロックやポップが好きな人は、ジャズを聴く機会はほとんどないんじゃないかと思う。
でも、ジャズって本当に素晴らしい表現が出来る音楽だと僕は信じている。
だから、『ソウルフル・ワールド』に関わることで、何百人、何千人、いやもっと大勢の人達に彼らの人生観や世界観までを変え得るジャズという音楽に出会って欲しいと思ったんだよね。
――劇中ではジョンが作曲したジャズが流れる一方で、エンディングではカーティス・メイフィールドの「イッツ・オールライト」をジャズのアレンジでカヴァーしていますよね。
この選曲は、誰のアイディアですか?
ジョン・バティステ:
監督のピートと共同監督&脚本家のケンプ・パワーズとのミーティングで、ラストシーンにはどんな音楽がいいか、ということを話し合った。
ちょっとメランコリックでありつつ、新たな希望にも満ちている、そんな主人公ジョーの心情を表すのにふさわしい音楽はなにか。
3人でいろいろなアイディアを出し合うなかで、やはりブラック・ミュージックの伝統を継承しているアーティストがいいだろうということで、ソウル、R&Bのレジェンド、カーティスト・メイフィールドの名前が挙がったんだ。
彼は、偉大な作詞家、作曲家でもあり、本当にいい楽曲をたくさん書いている。
その名曲の宝庫から最終的に「イッツ・オールライト」を選び、ジャズのアレンジで演奏し、僕が歌うことになった。
――最後に映画『ソウルフル・ワールド』を観た感想を教えてください。
ジョン・バティステ:
すごく感動したよ。
美しくて、光と希望、愛に溢れた作品だよね。
それと主人公ジョーがピアノを弾く指の動きは、実際に僕が演奏したパフォーマンスをアニメーション化したものなので、映画を観た時にあらためてショックというか、嬉しい驚きがあった。
ーージョーの生き生きとしたピアノの演奏がとてもリアルで、音楽にもピッタリ合っているのは、ジョンのパフォーマンスを基にしていたからなんですね。
今回はオンラインでのインタビューでしたが、次回は、ぜひ日本でお話を聞かせていただきたいです。
ありがとうございました。
映画『ソウルフル・ワールド』のオリジナル・サウンドトラックには生まれる前のソウルの世界の音楽を担当したトレント・レズナーとアッティカス・ロスの楽曲も収録されています。
ぜひ映画と共にサウンドトラックもチェックしてみてください。
『ソウルフル・ワールド』オリジナル・サウンドトラック商品情報
『ソウルフル・ワールド オリジナル・サウンドトラック』 (UWCD-1096 / 税込2,750円)
2020年12月23日(水)よりCD発売 / デジタルアルバム配信中
発売元:ユニバーサル ミュージック合同会社
試聴と購入はこちら:https://umj.lnk.to/Soul_OST
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こちらで詳しく紹介しています!
『ソウルフル・ワールド』 映画情報
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協力:ユニバーサル ミュージック
©2020 Disney/Pixar