記事ポイント
- 接着細胞培養向け新製品を2026年10月1日発売
- 高酸素透過性材料と表面処理技術を組み合わせ
- 心臓・腸オルガノイド由来細胞の評価事例を紹介
三井化学は、細胞培養ブランド「InnoCell(R)」シリーズの新製品として、接着細胞培養向けの「InnoCell(R) Pタイプ」を2026年10月1日に発売しました。
高い酸素透過性を持つ材料と表面処理技術を組み合わせた培養プレートです。
オルガノイドや細胞組織モデルの作製を支援し、創薬研究での薬効・毒性評価やスクリーニングへの活用を目指します。
三井化学「InnoCell(R) Pタイプ」

- 発売日:2026年10月1日
- 対象:接着細胞培養向け
創薬研究では、薬効・毒性評価の精度向上や、効果的なスクリーニングへの活用が目指されています。
創薬研究では、ヒトの生体機能に近い状態を反映し、再現性の高いデータを取得できる細胞評価モデルの重要性が高まっています。
オルガノイドをはじめとする3D細胞モデルは、疾患メカニズムの解明、薬効・毒性評価、患者由来モデルを用いた創薬研究などへの活用が期待される分野です。
厚みのある組織を形成する3D培養では、培養組織内部への酸素供給が十分でない場合、細胞機能や組織の均一性、評価データの再現性に影響する可能性があります。
創薬スクリーニングへの展開には、培養から観察、画像解析、薬剤評価までを一貫して行える評価環境も求められます。
「InnoCell(R) Pタイプ」は、高酸素透過性材料、細胞接着性を高める表面処理技術、低自家蛍光性、低薬剤吸着性を組み合わせ、高機能な3D細胞モデルの構築と創薬評価への展開を支援します。
関西医科大学の升本 英利 教授は、ヒトiPS細胞由来心臓オルガノイドの培養に「InnoCell(R) Pタイプ」を使用しました。
既存のポリスチレン製プレートとの比較では、「InnoCell(R) Pタイプ」で組織全体の厚みがより均一になり、組織厚自体も増加しました。
心筋細胞マーカーである心筋トロポニンT陽性の心筋細胞層でも、厚みと密度の増加した組織像が観察されています。
これらの結果は、培養組織への酸素供給を高めることが、再現性の高い3D心臓組織モデルの構築を検討する上で重要な選択肢となり得ることを示しています。
免疫組織染色断面像では、左に「InnoCell(R) Pタイプ」のプレート、右に既存のポリスチレン製プレートを用いた比較が示されています。
茶色は心筋細胞マーカーの心筋トロポニンTを示し、スケールバーは100μmです。
図1は、培養期間12日間のヒトiPS細胞由来心臓オルガノイドの免疫組織染色断面像比較です。
この比較画像は升本 英利 教授の提供によるものです。
升本 英利 教授は、関西医科大学医学部心臓血管外科学講座・学長特命教授です。
升本 英利 教授は、理化学研究所生命機能科学研究センター・客員主管研究員も務めています。
升本 英利 教授は、酸素供給環境を工夫できる培養基材は、三次元心臓組織の培養条件を検討する上で興味深い選択肢の一つとコメントしています。

ミシガン大学医学部 内科 消化器・肝臓学部門のJonny Sexton准教授は、「InnoCell(R) Pタイプ」を用いて、ヒト腸オルガノイド由来上皮細胞の培養とバリア機能評価を実施しました。
この評価では、従来広く用いられてきた多孔膜インサートを使わずに、上皮バリア機能を高感度かつ低ばらつきで評価できることが示唆されています。
さらに「InnoCell(R)」の低自家蛍光特性を活かすことで、ハイコンテントイメージングとの組み合わせや、腸管バリア機能を指標としたハイスループットスクリーニングへの展開が期待されます。
蛍光染色観察画像では、Hoechst染色像をグレースケール、マージ画像をカラーで示しています。
左が「InnoCell(R) Pタイプ」使用、右が既存多孔膜インサート使用の比較です。
カラー画像では、青色が核、赤色がタイトジャンクション、緑色が細胞全体を示します。
図2は、ヒト腸オルガノイド由来上皮細胞の蛍光染色観察画像です。
この観察画像はJonny Sexton准教授の提供によるものです。
Jonny Sexton准教授は、生物医学研究では生体に近いモデルから再現性の高いデータを得ることが重要だとコメントしています。
同准教授は、「InnoCell(R) Pタイプ」が優れたイメージング性能と高い酸素・ガス透過性を兼ね備え、オルガノイドの成熟化と機能成熟度の向上に貢献するとしています。
細胞や組織の状態をより鮮明に可視化でき、生体に近い3Dモデルの構築を支援する点も示されています。
これらの特長は、疾患モデルの高度化を通じて、創薬研究や再生医療研究の加速に寄与することが期待されます。
三井化学の表 利彦 取締役 常務執行役員 CTOは、創薬研究でオルガノイドやMPSなど、生体機能をより忠実に再現する3D細胞モデルの活用が急速に広がっているとしています。
「InnoCell(R) Pタイプ」は、三井化学が培ってきた基幹技術をもとに開発され、先端研究を支える培養環境の高度化に貢献することが期待されています。
三井化学は「InnoCell(R)」を、創薬研究の生産性と予測性の向上を支える研究インフラと位置付けています。
高酸素透過性や観察精度を支える特性を組み合わせ、3D細胞モデルの構築と創薬評価への展開を支援する培養プレート。
三井化学の「InnoCell(R) Pタイプ」は、2026年10月1日より発売されています。








