東京工芸大学工学部の森山剛教授は、神奈川県厚木市の依頼を受け、3D都市モデルを活用した避難経路提示アプリ「toomawari」及び「atsugiCrop」を開発。災害時、市民の現在地から避難所までの「最も安全な経路」を提示する防災ソリューションです。
単なる最短ルートではなく、浸水想定などのリスクを回避した安全な道のりを3Dマップ上で確認できる本アプリ。地域の防災意識向上と、実際の避難行動支援を目指した取り組みを紹介します。
東京工芸大学「toomawari」「atsugiCrop」

開発者:東京工芸大学 工学部 森山剛教授
協力:神奈川県厚木市
活用データ:国土交通省「PLATEAU」厚木市3D都市モデル
ソースコード公開:GitHub(オープンソース)
イベント発表日:2025年12月16日(3D都市モデル講座にて)
東京工芸大学工学部の森山剛教授が、厚木市における災害発生時に、市民の安全な避難を支援する3Dマップアプリを開発しました。
近年、各地で頻発する台風や集中豪雨による浸水被害、および地震災害。2013年には本厚木駅周辺でも記録的な大雨による浸水が発生し、想定されていた避難ルートが通行不能となる事態も起きました。
こうした教訓を背景に開発された本アプリは、洪水浸水想定などの災害情報を組み込んでいるのが最大の特徴。3Dマップ上での経路探索にこれらのリスク情報を反映させることで、単に距離が近いだけでなく、「最短かつ安全」な避難経路を具体的に分かりやすく提示する仕組みを実現しています。
開発にあたっては、国土交通省が主導する3D都市モデル整備・オープンデータ化プロジェクト「PLATEAU(プラトー)」の厚木市データを活用。画像・情報技術を専門とする学科を持つ東京工芸大学ならではの強みが活かされています。
3Dマップアプリ「toomawari」

災害発生時、現在地から最寄りの避難所へ向かうための安全なルートを提示する「toomawari」。
都市の3Dモデル上に経路が表示されるため、避難時の風景をイメージしながらルートを確認することが可能。浸水リスクのある場所を避け、確実に避難所へたどり着くための支援ツールとして設計されています。
3Dマップアプリ「atsugiCrop」

「toomawari」と共に開発された3Dマップアプリ「atsugiCrop」。
厚木市の詳細な3D都市データを活用し、地域の防災情報を可視化。市民が日頃から「もしも」の時に備え、安全な避難行動をシミュレーションするために役立てられます。
本アプリのソースコードは、ソフトウェア開発プラットフォーム「GitHub」上でオープンソースとして公開。多くのエンジニアが改良や応用に参加できる環境を整えることで、さらなる機能向上や他地域への展開などが期待されています。
東京工芸大学

1923年の創設以来、テクノロジーとアートを融合させた無限の可能性を追究し続ける東京工芸大学。
今回の開発も、厚木市からの要請に対し、大学の持つ専門技術で応える産学官連携の成果です。2025年12月16日には、厚木市主催の「3D都市モデル講座」にて、森山教授と研究室の学生が市民に向けて本アプリを紹介しました。
最新の技術とオープンデータ活用により、災害時の「安全な移動」をサポートする新たな防災ツール。
市民の命を守るための具体的かつ実践的なソリューションとして、今後の普及と発展に注目です。
東京工芸大学「toomawari」「atsugiCrop」の紹介でした。