AIを活用した栽培支援プラットフォーム「e-kakashi」を提供するグリーン株式会社は、三井住友トラスト・インベストメント株式会社及びSBI新生企業投資株式会社が運営する組合と、アグリビジネス投資育成株式会社より、総額2億円の資金調達を実施しました。
気候変動が進む環境下においても安定した農業を実現するため、技術の高度化と国内外での事業展開を加速させる重要な出資受け入れの発表です。
グリーン「資金調達」

出資総額:2億円
引受先:
・サーキュラーエコノミー・ネイチャーポジティブ1号投資事業有限責任組合(運営:三井住友トラスト・インベストメント株式会社、SBI新生企業投資株式会社)
・アグリビジネス投資育成株式会社
資金使途:「e-kakashi」の技術高度化、国内外での事業展開加速
グリーン株式会社が提供する「e-kakashi」は、ほ場で収集した環境データや気象データ、生育記録を統合的に分析し、生産者へフィードバックを行う栽培支援プラットフォームです。
近年、農業現場では気候変動による影響が拡大しており、長年の経験だけでは対処が難しいケースが増加しています。
極端な高温や降雨変動による不作や品質低下といった課題に対し、植物科学の知見を備えたAIがデータを分析して未来を予測。
生産者が「今何を行うべきか」という栽培判断を科学的にアシストすることで、経験と科学を融合させた確かな意思決定を可能にします。
導入による具体的な成果と実績
「e-kakashi」を導入し、科学的なデータに基づいて栽培を行った現場では、顕著な成果が確認されています。
直近の事例では、イチゴの生産量が前年比1.4倍に増加したほか、フルーツパプリカでは反収が1.3倍、玉ねぎでは猛暑下にもかかわらず潅水管理により1.9倍、馬鈴薯でも1.4倍の増収を記録。
日本を含む世界14カ国での導入実績があり、多様な作物や環境下において生産量や品質の向上、リスク回避、生産効率化に貢献しています。
また、生産者が既に使用している計測機器や環境制御装置で取得したデータをそのまま活用できる柔軟性を備えているため、新たな設備投資を最小限に抑えて導入できる点も大きな特徴です。
今後の技術開発と展望
今回の資金調達を受け、グリーン株式会社は作物や環境による特性を学習する大規模言語モデルのAIなど、先端技術の開発を強化します。
サービスの高度化に加え、生産指導者や自治体向けプラットフォーム機能の拡充、新たな作物や地域への対応強化を推進。
さらに、地域農業やJA、自治体、研究機関と連携し、データに基づく栽培指導や地域課題の解決に寄り添う形で新たな価値創造に取り組みます。
経験に植物科学と先端技術が共存し、相互に高め合うことで、変動する環境下でも持続可能な農業を実現する世界の構築を目指す方針です。
出資企業からのコメント

三井住友トラスト・インベストメント株式会社 GP業務グループ 投資ユニット シニア・バイスプレジデント 山西 純氏は、次のように期待を寄せています。
第一次産業である農業は私たちが生きていく上で欠かせない食料を供給する最重要な産業であるにもかかわらず、日本の農業は農家の高齢化と担い手不足の深刻化等の多くの課題を抱えており、危機的な状況にあると感じております。このような問題意識を持ちながら何もすることができない忸怩たる思いを抱えている中でグリーンに出会い、戸上さんをはじめグリーンに関わる皆様のお話をお伺いする中で、農家に寄り添い、農家の課題解決及び所得アップを第一に考えたサービスを提供しているグリーンであれば農業に革命を起こすことができると思い、投資させて頂きました。ここからが新たなスタートになりますので、グリーンと共に農業に革命を起こせるよう精進してまいります。

アグリビジネス投資育成株式会社 代表執行役社長 堀部 恭二氏は、以下のようにコメントしています。
農業は担い手の減少や気候変動等様々な課題に直面しており、従来の経験と熟練の技術に基づく農業に加えて、栽培環境や生産実績等のデータ活用の重要性が一層高まっています。グリーンの「e-kakashi」は、データの収集から分析、栽培アシストまでの一連の機能を備えている点に特色があり、経験を問わず多くの生産者にとって使いやすく、収量増加などの効果を実感しやすいサービスと評価しています。当社は食と農林水産業にフォーカスした投資会社として、「e-kakashi」の国内生産現場への普及に向けて、グリーンとともに取り組んでいきます。
グリーン株式会社「資金調達」の紹介でした。