一般社団法人ジャパンショッピングツーリズム協会(JSTO)が、訪日外国人観光客向け消費税免税制度(TFS)の廃止が日本経済等に及ぼす影響についての調査結果を公表。
免税制度が廃止された場合、GDPの大幅な縮小や訪日客数の減少を招き、結果として税収減につながるという試算結果が示されました。
JSTO「免税制度廃止の影響に関する調査結果」
調査主体:一般社団法人ジャパンショッピングツーリズム協会(JSTO)
調査内容:訪日外国人観光客向け消費税免税制度(TFS)廃止による経済影響分析
対象データ:経済産業省、国税庁、観光庁、JNTOの公的データおよび免税事業者の売上データ
JSTOが外部の独立した調査機関に委託し、客観的データに基づいて実施した今回の調査。
インバウンド観光の促進に重要な役割を果たす免税制度(TFS)について、廃止した場合のシナリオと維持した場合のシナリオを比較分析しています。
政策議論において制度のメリットが問われる中、経済的観点からの合理性を裏付けるデータが明らかにされました。
GDPと税収への影響
調査結果によると、免税制度を廃止した場合、日本のGDPは推計で8,470億円縮小する見込み。
これは国全体の生産の0.13%に相当する規模です。
また、制度廃止によって買い物に対する消費税収自体は増加するものの、観光客の消費や訪問者数が減少することによる波及効果で、全体の純税収は530億円減少すると試算されています。
この結果から、免税制度は財政負担ではなく、むしろ政府財政にプラス効果をもたらす経済刺激策としての側面が強いことが示唆されました。
訪日客数と消費額への影響
免税制度は訪日観光客の主要な旅行動機の一つとなっており、制度廃止による実質的な価格上昇(10%)は消費行動に大きく影響します。
推計では、制度廃止により年間で160万人の訪日客が失われ、総来訪者数が4.5%減少。
さらに、現在免税対象となっているカテゴリーにおけるショッピング支出は、3,645億円(22.8%)もの減少が見込まれています。
ホテル、レストラン、交通サービスなど観光産業全体へのマイナス波及も懸念される数値です。
今後の展望とリファンド方式
JSTOは今回の調査結果を受け、免税制度の維持とショッピングツーリズムの振興が、日本全体の活力向上やGDP増加につながると強調。
また、2026年11月に予定されている「リファンド方式」への移行についても、不正利用への対応策としてだけでなく、日本経済の成長と競争力強化に資する制度として適正な運用と発展に貢献していく方針です。
JSTO「免税制度廃止の影響に関する調査結果」の紹介でした。