一般社団法人 日本損害保険協会が、中小企業の経営者および従業員1,050名を対象とした「中小企業におけるリスク意識・対策実態調査2025」の結果を発表。
2021年度より毎年実施されている本調査において、気候変動による自然災害の激甚化やサイバー攻撃の増加など、変化する企業リスクに対する意識と対策の実態が明らかになりました。
日本損害保険協会「中小企業におけるリスク意識・対策実態調査2025」

調査期間:2025年8月29日(金)~9月1日(月)
調査対象:中小企業の経営者および従業員 1,050名
調査方法:インターネット調査
企業を取り巻くリスクが多様化・複雑化する中、中小企業の約8割(81.1%)が事業活動において何らかのリスクを認識しているとの結果。
リスクへの具体的な対策としては「損害保険への加入」が55.5%で最多となり、次いで「貯蓄(16.3%)」「共済への加入(14.3%)」と続きます。
多くの企業が経営の安定化に向け、損害保険を重要なリスクヘッジ手段として位置づけている現状がうかがえます。
被害経験と備えの不足感

調査によると、4社に1社にあたる25.0%が、実際に何らかのリスクによる被害を受けた経験があると回答。
さらに、被害にあった企業の過半数(54.5%)が「リスクに対する備えが不足していた」と振り返っており、事前の対策と実際の被害規模との間にギャップが存在する可能性が示唆されています。
実体験に基づいた「備えの重要性」が浮き彫りとなる数値です。
損害保険の見直し状況

今回新設された「損害保険の見直し状況」に関する設問では、約4割の企業が「5年以上見直しを行っていない」ことが判明。
事業環境やリスクの種類が刻々と変化しているにもかかわらず、契約内容が長期間更新されていないケースが少なくありません。
損害保険会社に対して「定期的な保険の最適化」を期待する声も多く、現状に即した補償内容へのアップデートが課題となっています。
高まるサイバーリスクへの関心

損害保険で備えたいリスクとしては「自然災害」が39.5%でトップを維持。
一方で「サイバーリスク」への加入意向は25.5%となり、5年間で上昇傾向を示しています。
デジタル化の進展に伴い、企業情報の漏洩やシステムダウンといったサイバー攻撃への警戒感が年々高まっている様子が見て取れます。
日本損害保険協会は本結果を活用し、引き続き中小企業のリスク意識向上と適切な保険普及に取り組む方針です。
日本損害保険協会「中小企業におけるリスク意識・対策実態調査2025」の紹介でした。