北海道仁木町でワインの製造・販売を行うNIKI Hills Wineryが、AIを活用した農業ソリューションの実証実験成果を報告。
韓国のテクノロジー企業DeepVisions、およびNAVER J.Hub Corporationと共同で進められてきたプロジェクトです。
NIKI Hills Winery「スマート農業実証実験」

実施期間:2025年4月~11月
実施場所:NIKI Hills Winery(北海道仁木町)
連携企業:NAVER J.Hub Corporation、DeepVisions
高品質なワイン用ブドウを持続的に生産するため、先端テクノロジーを活用して栽培管理の効率化を目指す取り組み。
広大な畑での病害虫早期発見や生育管理における人手不足・高齢化といった課題に対し、ドローンとAIを組み合わせた解決策を模索しました。
2025年12月6日には成果報告会が実施され、その詳細が明らかになりました。
実証実験の成果
本実験では、ドローンによる圃場の自動撮影画像とAI解析を組み合わせた「Vineyard Management System (VMS)」を構築。
「灰色かび病」や「マグネシウム欠乏」といった病気や生育不良をAIが自動検出し、高解像度の地図上に正確に表示します。
これにより、従来人が歩いて行う確認作業にかかる約5,000時間が960時間へと短縮され、約82%の大幅な削減効果が試算されました。
また、データ連動型の農業日誌機能により、作業履歴の蓄積や翌年以降の栽培計画最適化にも貢献します。
今後の展望
2026年も実証実験を継続し、システムの機能多角化や高度化に取り組みます。
気象データと組み合わせた病害の「予察機能」や、ブドウの画像を解析して収穫量を予測する「収量予測モデル」、さらにはシカや鳥などを感知する「有害動物監視システム」の開発を予定。
将来的には製品化を目指し、地域農業への実装を目標としています。
成果報告会の開催

12月6日に行われた報告会では、ドローンを用いたデモンストレーションを実施。
仁木町の佐藤聖一郎町長は「これからの地域農業を切り開いていくための非常に大きな礎になる」とコメントしました。
質疑応答ではドローンの安全性や導入コスト、将来的な実装に向けた予測システムへの注力などが議論されています。
農業が抱える課題解決のモデルケースとなり、日本における持続可能なワイン産業の発展への貢献が期待される本プロジェクト。
NIKI Hills Wineryらによる「スマート農業実証実験」の紹介でした。