プチプチの音で配管内部を検査!芝浦工業大学・東京都市大学「新非破壊検査システム」

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芝浦工業大学と東京都市大学を中心とする研究チームが、気泡緩衝材の破裂音を音源として利用する、電力を必要としない新しい非破壊検査システムを開発。

高価な装置や電力を使わず、配管内部の異物位置をおよそ2%の誤差で特定可能な低コストかつ安全な技術として期待が集まります。

 

芝浦工業大学・東京都市大学「気泡緩衝材利用の非破壊検査システム」

 

気泡緩衝材イメージ画像

 

開発主体:芝浦工業大学工学部 細矢直基教授、東京都市大学理工学部 矢作修一准教授らを中心とする研究チーム

技術概要:気泡緩衝材の破裂音を音源とした非破壊検査

特徴:電力不要、低コスト、可燃性環境下でも使用可能

精度:配管内部の異物位置を約2%の誤差で特定

 

構造物を破壊せずに健全性を評価する非破壊検査(NDT)において、従来はスピーカーやレーザー、火薬などが音源として使用されてきました。

しかし、これらは高出力が必要であり、可燃性物質が存在する環境や狭所での使用には課題がありました。

研究チームは、身近な梱包材である「気泡緩衝材(プチプチ)」に着目し、その破裂音を利用した安全かつ簡便なシステムを構築しました。

 

気泡緩衝材が高精度なインパルス音源に

 

研究の結果、気泡緩衝材の破裂音は最大40kHzの周波数成分を含む再現性の高いインパルス音源であることが判明。

この破裂音をマイクで測定し、ウェーブレット解析を用いて反射音を解析することで、配管内部の異物位置を高精度に特定することに成功しました。

気泡緩衝材の大きさや硬さ(フィルム厚)を調整することで、音の強度や指向性を制御できる点も大きなメリット。

 

安全性とコストパフォーマンスの両立

 

本システムは電力を必要とせず、火花が発生するリスクもないため、可燃性ガスなどが存在する危険な現場でも安全に使用可能。

また、安価で大量に入手できる気泡緩衝材を使用するため、高価な音源装置を導入する必要がなく、大幅なコストダウンが見込めます。

シンプルな構成でありながら、測定精度は従来装置と同等レベルを達成しました。

 

今後は温度や圧力条件の異なる環境下での評価を進め、携帯型装置への展開や、より複雑な構造への対応を目指して改良が進められます。

 

芝浦工業大学・東京都市大学「気泡緩衝材利用の非破壊検査システム」の紹介でした。

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