一般社団法人障害者就労支援ネットワーク P&Pは、創業5周年を機に、『公金ゼロ・工場ゼロ』のファブレス経営を障害福祉に導入した持続可能な『パラビジネス』の成果を発表しました。
この5年間で、障がいのある方々への作業代還元額が累計500万円を突破しています。
障害者就労支援ネットワーク P&P「パラビジネス」

同法人は、障がい者がスポーツで生きがいを感じる「パラスポーツ」があるならば、障がい者が働くことで生きがいを感じる「パラビジネス」があっても良いと考え、日本初の「パラビジネス」を提唱しています(登録商標)。
この取り組みは、制度に頼らない福祉事業モデルの全体像とその社会的意義をあらためて伝えるものです。
福祉生産品に、選ばれる価値を

福祉生産品は「応援消費」の対象とされがちですが、同法人は製品そのものの品質と企画力によって選ばれる価値の創出に取り組んでいます。
工場を持たず、障がい者支援に関わる公金や助成金にも頼らない『公金ゼロ・工場ゼロ』のファブレス経営を障害福祉分野に導入。
創業時の自己資金50万円(うち創業費37万円)、6畳一間からのスタートでした。
自社で工場を持たず、製造工程を外部の福祉事業所に委託することで、設備投資を最小限に抑え、企画・品質管理・販売に集中する体制を築いています。

この仕組みにより、限られた資源の中でも持続可能な製造と還元が可能となり、福祉生産品の新たな価値づくりにつながっています。
数字の背景にある意義

工場も公的資金も持たず、限られた売上の中から設備購入や仕入れ、事業への再投資を行いながら、福祉事業所への作業代として累計500万円以上を還元することができました。
この数字は、制度に依存せずとも、地域との信頼と協働によって事業が育ち、収益が社会に還元される仕組みが機能していることを示しています。
障がいのある方々が「支援される存在」ではなく「価値を生み出す担い手」として社会に関わることを示す、重要な実績です。
ここまでの成長率をふまえ、次の5年間では累計還元額2,000万円を目指していくとしています。
実績と広がり
同法人の取り組みは、2021年に「ちば起業家ビジネスプラン・コンペティション2020」にて県知事賞を受賞。
以降も新聞・テレビ・ラジオなど30媒体以上に取り上げられてきました。
こうした評価や報道を通じて、制度に依らない福祉事業の可能性に関心が寄せられ、行政や教育機関からの正式な依頼や登壇の機会も増えています。
代表理事 奥岳 洋子氏 コメント
代表理事の奥岳 洋子氏は、「福祉生産品は、同情ではなく品質で選ばれるべきだと考えています」とコメント。
「公金や助成金に頼らず事業を立ち上げたのは、市場の中で価値を創造し、その収益を還元することで、福祉生産品を軸とした事業が持続可能なビジネスとして成立するかどうかを、自らの手で確かめたかったからです。」
「ファブレス経営によって生まれた時間と資金を企画開発と品質向上に注ぎ、障がいのある方々が誇りを持って製品を世に送り出せる環境づくりに取り組んできました。その挑戦に、手ごたえは感じています。可能性は、大いにあると実感しています」と述べています。
2025年の主な取り組み事例

2025年の主な取り組みとして、海ほたるでの年末イベント3年連続開催や、成田国際空港の免税店での「折り鶴ピアス」販売などを実施。
海外開催の国際旅行博での商品採用や、松戸市主催「令和6年度まつどSDGs推進セミナー」への登壇など、活動は多岐にわたります。

また、芝山町より正式発注を受けて町政施行70周年記念品として木工キーホルダーを製作しました。

さらに、香取市の文化財「香炉形顔面付土器」をカプセルトイとして商品化し大きな反響を得たほか、有名大学付属高校での講話など、福祉の枠を超えた活動が広がっています☆

制度に頼らず、地域や企業との信頼関係で福祉生産品の価値を高める「パラビジネス」
障がいのある方々が「つくる人」として誇りを持って社会とつながる、持続可能な仕組みづくりに今後も注目です。
一般社団法人障害者就労支援ネットワーク P&Pの「パラビジネス」の取り組み紹介でした。