MS&ADインターリスク総研は、全国の従業員規模100名以上の企業の人事担当者・意思決定者1,241人を対象に「人的資本経営に関する実態調査」を実施しました。
この調査は、岩本 隆 氏(慶應義塾大学大学院 経営管理研究科 講師/山形大学 客員教授)の監修のもと、企業の人的資本経営および人事データの利活用の現状を明らかにしたものです。
調査の結果、人的資本経営のPDCAサイクルが十分に機能していない企業も多く、データ活用の“量から質”への転換が今後の課題であることが明らかになりました。
MS&ADインターリスク総研「人的資本経営に関する実態調査」

【調査概要】
調査名:人的資本経営に関する実態調査
調査対象:従業員100名以上の企業に勤務する人事担当者・意思決定者(課長職以上)
回答者数:1,241人
調査期間:2025年8月22日~8月24日
調査方法:インターネット調査
監修:岩本 隆 氏(慶應義塾大学大学院 経営管理研究科 講師/山形大学 客員教授)
実施主体:MS&ADインターリスク総研
調査結果によると、人事データを分析や経営判断への活用まで進めている企業が約4割にとどまる実態が浮き彫りになりました。
また、データ活用が進む企業ほど、人的資本経営の効果を実感している傾向が見られています。
人的資本経営におけるPDCAサイクルのうち、『目標の設定(定量化)』と『施策の効果検証』に課題

企業のPDCAサイクルの推進状況について、『人事施策の推進』(D)や『効果検証に基づく見直し』(A)は着実に取組みが進んでいました。
一方で、『目標の設定(定量化)』(P)は取組みが遅れており、その影響からか『施策の効果検証』(C)のフェーズにおいても課題が見られます。
施策の効果を客観的に評価し、次の改善につなげるためのフィードバックループが十分に機能していないケースが少なくないといえます。
約9割が人事データを保有、一方で分析・活用まで進めている企業は4割止まり

「自社では人的資本に関するデータをどの程度保有しているか」という質問に対し、「すべての領域で保有している」「一部の領域で保有している」を合わせた企業は87.9%に上りました。
しかし、「保有しているデータを分析などに活用している」と回答した企業は40.3%にとどまっています。
データを“使える”段階に至っていない企業が過半を占める結果となり、データ量は確保されつつも、分析可能な形に整備できていない実態が明らかになりました。
データ活用が進む企業ほど、人的資本経営の効果を実感

データの保有・分析状況と人的資本経営による効果実感の関係を確認したところ、データを分析・活用している領域が多い企業ほど、効果を実感している割合が高いことが分かりました!
ISO 30201を参考に設定した人的資本経営にとって重要な12領域において、データ活用が全くできていない(0領域)の企業では「効果を感じていない」割合が60.0%と半数を超えました。
一方、7~12領域で活用している企業ではその割合が26.1%にまで低下し、「効果を強く実感している」企業は55.5%と過半数を占めています☆
データ活用の広がりが、人的資本経営の成果を高める要因であることが明らかになりました。
より詳細な調査結果は、ホワイトペーパーや詳細レポートで確認できます。
ホワイトペーパー: https://malp.rm-navi.com/rs/787-GPU-288/images/DownloadableMaterials_HumanCapital.pdf?version=0
詳細レポート: https://malp.rm-navi.com/rs/787-GPU-288/images/SurveyReport_HumanCapital.pdf?version=0
人事データの蓄積は進む一方で、その分析や意思決定への活用が追いついていない実態が示されました。
データ活用の“量から質”への転換が、今後の人的資本経営の成果を左右する鍵となりそうです。
MS&ADインターリスク総研が実施した「人的資本経営に関する実態調査」の紹介でした。