HMS Networksは、世界の産業ネットワーク市場に関する年次レポート「STATE OF INDUSTRIAL NETWORKS 2025(産業用ネットワークの現状 2025)」を発表しました。
本調査は、世界の産業通信機器メーカーおよびオートメーション事業者を対象に実施されたものです。
2025年版では、PROFINETがシェア27%で首位となり、EUサイバーレジリエンス法(CRA)の施行によりセキュリティ対応が業界の最優先課題となっていることが示されました。
HMS Networks 産業ネットワーク市場年次レポート「STATE OF INDUSTRIAL NETWORKS 2025」
調査結果の詳細は、HMS Networks公式サイトより無料でダウンロードできます。
本調査では、主要なネットワークプロトコルの市場シェア、技術トレンド、地域別動向、そしてサイバーセキュリティに関する洞察がまとめられています。
産業用Ethernetが市場の76%を占めるなど成長を続ける一方、新たな規制対応が大きな課題となっていることが浮き彫りになりました。
産業用Ethernetが76%に到達、PROFINETが首位
2025年版の分析によると、Ethernetベースの産業用Ethernetは新規ノードの76%を占め、前年比5ポイント増加しました(2024年:71%)。
特にPROFINET(27%)がマーケットシェアを拡大し、Ethernet/IP(23%)、EtherCAT(17%)が続く結果となっています。
一方、従来のRS485ベースのフィールドバスは17%に減少し、レガシー技術からの移行が継続しています。
HMS Networks マーケティング担当VPのマグナス・ヤンソン氏は、「産業用Ethernetは、単なる通信技術ではなく、サイバーセキュリティや持続可能な運用を支える“戦略インフラ”となりつつあります」とコメントしています。
EUの新法令がもたらす影響:セキュリティが必須要件に
レポートでは、2027年に完全施行されるサイバーレジリエンス法(CRA)やNIS2指令などの規制が、産業界全体に大きな影響を与えると指摘しています。
これらの法令は、製品設計段階からのセキュリティ組込みを義務付けています。
メーカーは今後、IEC 62443準拠やSBOM(ソフトウェア部品表)提出などへの対応が求められます。
アジア市場:EtherCATとCC-Link IEが強みを維持
アジア太平洋地域では、EtherCATおよびPROFINETが引き続き成長を見せています。
また、TSNを初めて採用したCC-Link IEが地域で強い存在感を維持していることも特徴です。
協働ロボットやAMR(自律走行搬送ロボット)の普及などにより、ワイヤレス通信の採用率(7%)も安定して推移しています。
産業界の課題と2026年版調査
ネットワークの多様化により、企業はセキュリティの標準化と運用管理に課題を抱えています。
HMSは産業用情報通信技術のリーディングカンパニーとして、通信・セキュリティ・診断を包括的にサポートし、複雑性を軽減するソリューションを提供しています。
なお、HMS Networksでは、2026年版の調査に向けて産業界の声を募集しています。
産業用ネットワークの最新シェアと、サイバーセキュリティという喫緊の課題が明確に示された本レポート。
製造業やオートメーションに関わるすべての人にとって、今後の戦略を立てる上で欠かせない情報源となりそうです!
HMS Networksが発表した「STATE OF INDUSTRIAL NETWORKS 2025」の紹介でした。