『デジタル化の窓口』を運営する株式会社クリエイティブバンクが、全国の企業の会社員・経営者1,243名を対象に実施した「2025年 SaaS活用の実態」に関するアンケート調査の結果を発表しました。
調査からは、中堅企業におけるSaaS利用の急増や、約6割の職場で発生している「放置アカウント」の問題、そして多くの企業がSaaS運用において「柔軟性」と「統制」の両立を求めている実態などが明らかになりました。
クリエイティブバンク「2025年 SaaS活用の実態」アンケート調査
SaaSは企業の業務インフラとして不可欠な存在となっていますが、導入が進むにつれて管理の複雑さも増しています。
今回の調査は、SaaSが当たり前になった現代の企業現場で、導入・運用・管理がどのように行われているかを明らかにすることを目的に実施されました。
SaaSを効果的に管理し、コストやセキュリティを最適化する「SaaS管理ツール」への関心も高まっています。
企業で最も利用が多いのはコミュニケーション系SaaS 人事・労務、生成AIも拡大
業務で利用しているSaaSのジャンルで最も多かったのは、「コミュニケーション系」(31.5%)、次いで「ファイル共有系」(22.1%)でした。
日常的な情報連携を支えるツールが中心となっています。
「人事・労務・勤怠管理系」(16.8%)の利用も多く、運用ルールが明確な業務でのクラウド化が進んでいる様子がうかがえます。
また、「生成AI/自動化ツール系」(17.5%)も存在感を増しており、個人業務の支援領域にもSaaS活用が広がっています。
なお、「いずれのSaaSも利用していない」は29.9%で、約7割の企業が何らかのSaaSを利用していることがわかりました。
SaaS利用数 個人は「3種類以内」、企業全体では拡大傾向
個人単位で利用しているSaaSの数は、「1~3種類」が35.2%と最多。
一方、会社全体での導入数を見ると、「10~49種類」(22.9%)や「50~99種類」(11.6%)と、企業規模では利用範囲が広がっていることがわかります。
個人で約50種類、企業単位で100種類以上を利用するヘビーユーザー層も少数ながら存在し、SaaSの多層化が進んでいる状況も示されました。
中堅企業でSaaS利用が急増 1,000人以上では300種類超も
企業規模別に見ると、従業員数50~299人の中堅企業でSaaS利用が一気に拡大する傾向が見られました。
この規模では、「10~49種類」が33.3%、「50種類以上」を導入している企業も1割を超えています(50~99種類:9.9%)。
さらに1,000人以上の大企業では、「100種類以上」が9.5%、「300種類以上」も2.3%存在し、多数のSaaSをいかに管理するかが課題となりつつあります。
使われていないSaaSアカウント 約6割の職場で放置
「使われていないアカウントが放置されていることがあるか」という質問に対し、「よくある」(19.5%)と「たまにある」(38.9%)を合わせて58.4%となり、約6割の職場で未使用アカウントが放置されている実態が明らかになりました。
これはコスト増やセキュリティリスクに繋がる可能性があり、SaaS管理における大きな課題と言えます。
放置アカウントは「現場管理」で最多、「共同管理」で改善傾向
放置アカウントの発生状況を管理主体別に見ると、「現場が管理している」場合に最も多く発生していました(「よく+たまに」で約9割)。
一方、「管理部門が管理している」場合は比較的少なく、「現場と管理部門の共同管理」では「ほとんど放置されていない」が34.5%と最も高く、連携体制による管理精度の向上がうかがえます。
SaaS管理方法は「Excel・台帳」が最多、管理ツール導入は2割
SaaSの管理方法としては、「管理部門がExcelや社内台帳で管理している」が32.7%で最多でした。
「SaaS管理ツールで一元管理している」企業は21.3%にとどまり、専用ツールの導入はまだ限定的です。
また、「各部門がそれぞれ管理」や「利用者任せ」といった回答もあり、管理体制の標準化が今後の課題であることが示唆されました。
SaaS導入は「柔軟性×統制」の両立重視が最多
SaaSの運用方針について、「スピードや柔軟性」と「管理や統制」のどちらを優先すべきかを尋ねたところ、「両立(バランス)を追求すべき」が37.9%で最多となりました。
次いで「管理や統制を優先すべき」が33.0%、「スピードや柔軟性を優先すべき」は17.4%でした。
企業はSaaSの利便性を活かしつつも、セキュリティやコスト管理の重要性を認識しており、その両立が求められています。
この両立を実現する上で、SaaS管理ツールの活用が今後の鍵となりそうです☆
『デジタル化の窓口』について
今回の調査を実施した『デジタル化の窓口』は、SaaSをはじめとするIT製品・サービスの導入事例や特徴、選び方をわかりやすく比較紹介するサービスです。
法人ユーザーは自社に最適なITサービスを見つけることができ、SaaS事業者は自社サービスを効果的に訴求することができます。
公式サイト: https://digi-mado.jp/
SaaS活用が一般化する一方で、その管理には多くの企業が課題を抱えていることが明らかになりました。
特に中堅企業以上では利用SaaS数が急増しており、放置アカウントのリスクも顕在化しています。
今後は、利便性と統制を両立させるためのSaaS管理の仕組みづくりが、企業にとってますます重要になっていくでしょう。
株式会社クリエイティブバンクによる「2025年 SaaS活用の実態」アンケート調査結果の紹介でした。