Hikari Tableは、管理栄養士が「正当に稼ぎ、挑戦できる」未来を切り拓くために、全国の栄養士たちの声を集め、実態を可視化するアンケートを実施。
Hikari Table「全国栄養士時給アンケート」
・実施者 :Hikari Table
・実施期間:2025年2月~5月
・回答者数:全国の管理栄養士・栄養士(135名)
・調査方法:Googleフォームによるオンラインアンケート
Hikari Tableは、管理栄養士が「正当に稼ぎ、挑戦できる」未来を切り拓くために、全国の栄養士たちの声を集め、実態を可視化するアンケートを実施しました。
そこから浮かび上がったのは「やりがいに頼った評価構造」や「責任と報酬の不釣り合い」といった、なかなか報われない現実。
「やりがいはあるし、低賃金でも仕方ないよね…」
そう諦めてしまう管理栄養士たち。
国家資格を持ちながらも生活に苦しみ、家庭との両立にも悩んでいます。
特に、子どもの急病にすぐ駆けつけられない勤務体制には、限界の声が上がっています。
本アンケートを通じて、栄養士が「食の専門家として自信と信頼を持ち、自らの価値を発揮できるプロフェッショナル」として評価される未来への第一歩を目指します。
【背景:国家資格であるにもかかわらず…】
管理栄養士は、国家資格を持ち、人々の健康と幸せを支える専門職です。
しかし現場では、「やりがいがあるから、報酬や柔軟性は二の次」という空気が根強く低賃金、過重労働、子育てとの両立の困難などのような問題が長年解決されていません。
その結果、仕事への熱意があっても生活や将来への不安から、一般職へ転職するケースも見受けられ、専門職としての人材が定着しにくい現状があります。
このように今後も、管理栄養士が流出する環境が続けば、将来的に、誤った栄養情報や極端な食事制限などによって健康を害する方が増える可能性もあります。
同社は、専門知識を持った管理栄養士が現場に根付き、予防医療や健康づくりの担い手として活躍できる社会こそ、誰もが幸せで安心できる未来を作れると信じています。
栄養士の仕事のイメージ
【誤解してほしくないこと】
同社は、「国家資格だから偉い」と主張しているわけではありません。
どんな職業にも価値があり、すべての働く人が尊重されるべきだと考えています。
そのうえで、栄養士という職業が人の健康や命を預かる「責任ある専門職」であるにもかかわらず、報酬・働きやすさ・評価の面で十分に保障されていない現実に対し、同社は課題意識を持ち、行動を起こしました。
【アンケートの目的】
・雇用されている栄養士の全国平均時給の実態を明らかにする
・フリーランス栄養士が提供するサービス価格の適正性を確認する
・栄養士全体の意識改革や労働環境の見直しを促す
【調査結果ハイライト】
・雇用管理栄養士の平均時給:1.512円
(雇用栄養士の平均時給:1,403円)
・65%が「仕事内容に報酬が見合っていない」と回答
・72%が「やりがい搾取(やりがいに依存した働き方)を感じたことがある」と回答
〈補足として〉
雇用管理栄養士(パート含む)の平均時給:1,512円※1
→ 登録栄養士の全国平均(約2,847円※2)と比べると約47%の水準
→ 全国最低賃金(1,055円※3)よりは高いものの、派遣労働者の平均(1,622円※4)より低く、「専門職としての報酬が十分とは言えない」現実が浮き彫りに
〈他の専門職との比較〉
・看護師(短時間労働者の全国平均:約1,849円※5) → 管理栄養士は 約19%低い水準
・介護福祉士(非常勤:約1,612円※6) → 管理栄養士はやや低め
・保育士(全国平均:約1,300円※7) → 管理栄養士の方が高いが、専門性と報酬のギャップは否めない
【回答者のリアルな声(抜粋)】
・「国家資格なのに、最低賃金ギリギリで責任だけが重い」
・「人の健康と幸せを預かる立場なのに、自分の生活は成り立たず辛い」
・「子どもが体調を崩しても、職場に迷惑をかけると思うと休めずモヤモヤする」
・「“やりがい”はあるし仕方ないって、職場に声を上げることを諦めている」
・「人手不足が常態化していて、毎日業務に追われてばかりで心に余裕がない」
・「栄養士の仕事は好きだったけれど、低賃金や職場環境の厳しさに耐えられず、一般職に転職しました」
数百名分の食材の発注、検品も栄養士1人で対応するケースも
【業界団体・行政機関への敬意と共創の姿勢】
現在、全国栄養士会や行政機関などでも、待遇改善や働き方改革の取り組みが進められています。
私たちは、そうした活動に敬意を表するとともに、このアンケートを現場のリアルな声を届ける手段として位置づけています。
この調査が、業界・行政・個々の栄養士たちが共により良い未来を築くための一助となることを願っています。
【今後の展望】
Hikari Tableは、今回の調査結果をもとに、以下の取り組みを2025年秋から順次開始します。
・適正価格・時給の指標づくり
行政統計や業界団体の調査を補完しつつ、現場の声を反映した「参考指標」を策定し、栄養士自身が報酬を判断・交渉できる目安を提示します。
・柔軟な働き方を支える仕組み
子育て世代や副業希望者でも働きやすい「在宅栄養相談」「短時間勤務モデル」などを設計し、パートナー企業と試験導入を検討します。
・学びとつながりの場の提供
栄養士が主体的にキャリアを築けるよう、勉強会や情報共有の仕組みを整備します。
行政や栄養士会の活動と競合せず、現場の実践を支える役割を担います。
“やりがい”だけでなく“適正な評価”を受けながら、栄養士が専門性を活かして社会に貢献し続けられる仕組みを、共に作り上げていきます。
そして、食を通じて栄養士一人ひとりの幸せを循環させる未来を描きながら、誰もが「自分らしく挑戦できる、しなやかな人生」を歩める社会をつくります。
かけがえのない時間も大切にしたい