ノエビアグループは、「カミツレ」の花エキスおよび「メリッサ」の葉エキスが、加齢による肌の慢性炎症に関わる3種類のマイクロRNAを増加させることで、炎症関連因子の過剰な合成を防ぎ、炎症老化を防ぐことを発見しました。
ノエビアグループ「カミツレ」の花エキスおよび「メリッサ」の葉エキス
ノエビアグループは、「カミツレ」の花エキスおよび「メリッサ」の葉エキスが、加齢による肌の慢性炎症に関わる3種類のマイクロRNAを増加させることで、炎症関連因子の過剰な合成を防ぎ、炎症老化を防ぐことを発見。
さらに、「メドウスイート」「イザヨイバラ」「マロニエ」との組み合わせにより、炎症老化への効果が相乗的に高まることを明らかにしました。
これにより、加齢に伴う肌トラブルが表面化する前に原因となる炎症の芽を摘む、“新たな予防的エイジングケア”の実現が期待できます。
この研究成果の一部は、2025年3月26日から29日にかけて開催された「日本薬学会第145年会」で発表しました。
研究成果
1-(1). 炎症関連遺伝子をコントロールする3種類のマイクロRNAを発見
炎症関連因子などのタンパク質は、DNAの中の遺伝子を設計図とし、そのコピーであるメッセンジャーRNAをもとに合成されます。
マイクロRNAはメッセンジャーRNAに結合し、そのはたらきを抑制したり、分解したりすることで、タンパク質の合成をコントロールすることができます。
そこで、加齢に伴い増加する炎症関連遺伝子と、それらのタンパク質への合成をコントロールしているマイクロRNAを、次世代シーケンサー※1を用いて網羅的に解析しました。
真皮線維芽細胞において、正常細胞と加齢モデル細胞を比較したところ、加齢に伴い増加した炎症関連遺伝子(●)が明らかになり、それらの遺伝子をコントロールしている3種類のマイクロRNA(■a~c)※2を発見しました(図.1)。
※1 次世代シーケンサー:遺伝子の配列を高速かつ大量に解析できる装置
※2 マイクロRNA(a) :miR-17-5p
マイクロRNA(b) :miR-155-5p
マイクロRNA(c) :miR-196a-5p
(図.1) 加齢で増加した炎症関連遺伝子(●)をコントロールする3種類のマイクロRNA(■a~c)
1-(2). 「カミツレ」「メリッサ」が炎症老化を防ぐ3種類のマイクロRNAを増やすことを発見
さらに、3種類のマイクロRNAはいずれも加齢モデル細胞において減少していたことから(図.2)、これらを増加させることが慢性炎症の鎮静に有効であることが導き出されました。
3種類のマイクロRNAを増加させる植物を探索した結果、「カミツレ」がマイクロRNA(a)およびマイクロRNA(b)を増やし、「メリッサ」がマイクロRNA(c)を増やすことを発見しました(図.2)。
この結果から、「カミツレ」および「メリッサ」は、3種類のマイクロRNAを増加させることで、炎症関連因子の過剰な合成を防ぎ、慢性炎症を予防的に鎮静できる可能性が示唆されました。
(図.2) 「カミツレ」「メリッサ」が炎症老化を防ぐ3種類のマイクロRNAを増やす
2. 植物成分の組み合わせが「カミツレ」「メリッサ」の炎症鎮静効果を高めることを発見
ノエビアグループでは、植物を適材適所に組み合わせ、お互いが高め合う、独自の配合論にこだわってきました。
そこで、「カミツレ」「メリッサ」がもつ炎症老化への効果を相乗的に高める植物の組み合わせを検討した結果、「メドウスイート」「イザヨイバラ」「マロニエ」を加えた5種類の植物を組み合わせることで、加齢に伴い増加する炎症関連因子の量が相乗的に減少することが明らかになりました(図.3)。
(図.3) 5種類の植物の組み合わせによる相乗的な炎症鎮静効果
カミツレ(花)
学名:Matricaria chamomilla
科名:キク科
属名:シカギク属
ヨーロッパ原産の一年草。
りんごに似た香りが特徴で、古くからハーブティーや民間薬として利用されている。
自社農場「北海道暑寒別岳パイロットファーム」にて有機栽培
メリッサ(葉)
学名:Melissa officinalis
科名:シソ科
属名:コウスイハッカ属
南ヨーロッパ原産の多年草。
レモンに似たさわやかな香りからレモンバームとも呼ばれ、古くからハーブティーや民間薬として利用されている。
カミツレ/メリッサ