グリーンは、愛媛県が推進する、デジタル技術活用による地域課題解決を目指す事業支援プログラム「トライアングルエヒメ2.0」において、2025年度の新規採択プロジェクトとして選定されました。
グリーン
グリーンは、愛媛県が推進する、デジタル技術活用による地域課題解決を目指す事業支援プログラム「トライアングルエヒメ2.0」において、2025年度の新規採択プロジェクトとして選定。
このプロジェクトは、愛媛県内のかんきつ農家や農業法人を対象に、「e-kakashi」を活用した地域密着型のスマート農業モデルを構築することが目指です。
暗黙知を可視化し、AIを活用しながら植物科学に基づいた栽培を行うことで、増収と品質の安定化、技術継承の促進、そして持続可能な農業経営の実現を支援します。
その一環として、RAG(Retrieval-Augmented Generation)とLLM(Large Language Model、大規模言語モデル)の技術を活用し、対象作物や地域特有の知見の検索を容易にするとともに、自然言語による営農支援の高度化を目指します。
農業の現場では、防除や潅水、異常気象への対応といった日々の栽培管理において、長年の経験に裏打ちされた知見が言語化されずに属人化しやすく、圃場ごとの土壌条件やインフラ環境の違いも、品質や収量のばらつきにつながる要因となっています。
こうした構造的課題に対し、地域の実情に即したスマート農業モデルの導入が求められています。
グリーンが提供する「e-kakashi」は、圃場に設置したセンサーから得られる気象や土壌のデータをリアルタイムで可視化し、植物科学の知見を学習したAIによる分析結果をもとに、潅水の適期や病害虫リスク、冷害のアラートなどを通知します。
これにより、従来の暗黙知に依存した栽培から、再現性と科学的根拠に基づいた営農へと転換することが可能になります。
このプロジェクトではさらに、愛媛県内の栽培ノウハウを学習した「愛媛特化型AI」を構築し、地域の気候や土壌、栽培文化に即した営農ナビゲーションを提供します。
ちょっと先の未来を見通しながら栽培を導く予測型のアプローチによって、若手農家の定着や技術継承、高齢農家の負担軽減にもつながる新たな営農支援体制の確立を目指します。
まず実証候補地には土壌センサーをはじめとする環境データが収集できるデバイスを設置します。
デバイスで収集したデータと気象情報を組み合わせてe-kakashiのAIが分析し、5日まで先の土壌水分量を予測します。
これにより、科学的な根拠に基づいた潅水の判断を可能にします。
加えて、このAIにはLLM技術を新規で採用し、ユーザーが自然言語で入力した相談内容に対して、愛媛特有の知見に基づいたアドバイスを自然言語で返答する機能を開発します。
さらに、相談内容に応じてe-kakashiのアプリ設定も自動的に最適化される仕組みを備えており、営農支援と作業環境の一体的なスマート化を推進します。
<LLMを搭載した愛媛特化型AIのイメージ>
LLMを搭載した愛媛特化型AIのイメージ
また、株式会社地域法人無茶々園やベルグアース株式会社傘下の伊予農産株式会社と連携し、現場ニーズに応じたサービスの開発と、地域に根ざした普及体制を整備します。
こうした取り組みを通じて、愛媛の基幹産業であるかんきつ農業の高付加価値化と収益性向上を図り、地域農業の持続的な発展に寄与していきます。
<実証候補地>
宇和海を望む段々畑で、愛媛ならではのかんきつを育む
地域に根ざし、有機農業や環境保全型農業に取り組む無茶々園のほ場