抜粋版(日本語)を公開!LRN「2025年 倫理・コンプライアンス(E&C)プログラムの成熟度に関するグローバル調査」

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LRNは、今回「2025年 倫理・コンプライアンス(E&C)プログラムの成熟度に関するグローバル調査」の抜粋版(日本語)を公開しました。

 

LRN「2025年 倫理・コンプライアンス(E&C)プログラムの成熟度に関するグローバル調査」

 

LRNは、今回「2025年 倫理・コンプライアンス(E&C)プログラムの成熟度に関するグローバル調査」の抜粋版(日本語)を公開。

LRNは、本年2月「2025年倫理及びコンプライアンスプログラム有効性レポート」を発表しています。

その中では、3,000人以上の世界中のE&C専門家及び従業員からの調査結果により、日本市場の独自の課題と機会が明らかにされています。

複雑化する規制環境や、多様化するステークホルダーの期待に日本企業が応えていく上で、倫理及びコンプライアンス(E&C)は、レジリエンスを養い、信頼を構築し、そして説明責任を果たすといった任務を全うしなければなりません。

「倫理・コンプライアンスプログラムの成熟度に関するグローバル調査」の背景と概要

この調査は、LRNの「プログラム成熟度評価(PMA)」に基づき、倫理・コンプライアンスプログラムの有効性を6つの主要領域から評価するものです。

10年以上にわたるグローバルな調査結果を基盤とし、実効性のあるプログラム構築に向けた示唆を提供しています。

抜粋版では、日本の読者の皆さまに特に関連性の高い課題に焦点を当て、6つの評価領域のうち「企業文化」と「リスク評価と報告」の2つを取り上げました。

2025年版PMA調査に参加した組織から得られた結果は、以下の通りです。

1. リソースと取締役会の監督体制 ― :3.06

2. 規律・ポリシー類の整備状況 ― :2.71

3. 規律の運用、公正な処分、およびインセンティブ ― :2.21

4. 研修と社内コミュニケーション ― :2.13

5. リスク評価と報告の体制 ― :2.10

6. 企業文化 ― :2.06

主な調査結果とハイライト

■文化主導のコンプライアンスは依然として中間層で遅れ

・組織の76%が年次の倫理または文化評価を実施している一方で、倫理的行動をパフォーマンス評価で正式に評価しているのはわずか31%

・中間管理職向けの倫理的リーダーシップ研修を提供しているプログラムはわずか33%

■行動規範は更新されているが組織への浸透が課題

・組織の45%が現在、行動規範を毎年更新(10年前の11%から大幅増加)

・しかし、これらの基準を日々の意思決定に組み込む取り組みは不十分

■不正行為の傾向追跡は依然として十分に活用されていない

・研修後に不正行為の傾向を追跡している組織はわずか37%

・研修の理解度を測定している組織も44%に過ぎない

■調査とケース管理は依然として手作業が多すぎる

・全体の3分の1以上の組織が、いまだにスプレッドシートで調査を管理

・部門横断的な調査チームを導入しているのは30%未満

「企業文化」

理想的な状態とは

・組織のコンプライアンス文化を一貫して測定していること

・経営層および中間管理職層による力強いリーダーシップ(Tone from the top/middle)の発揮

・組織全体で倫理的行動の積極的な促進と議論が行われていること

「リスク評価と報告」

理想的な状態とは

・贈答品の積極的な管理および利益相反(COI)認証の実施

・自動化された開示システムの導入

・定期的なコンプライアンスリスク評価の実施

・新たに発生するリスクを能動的に特定し対応するための包括的なプログラムレビュー

2025年以降の重点課題

本調査では、組織が来年優先すべき3つの重点項目を提示しています:

1. マネージャーの責任強化 - 中間管理職を倫理推進の担い手として育成

2. 調査とケース管理の近代化 - 統合型システムによる可視性と公平性の確保

3. 測定ギャップの解消 - 組織文化の継続的評価と倫理の人事評価制度への組み込み

調査の属性概要

この調査は、業種や地域を問わず、幅広い分野のコンプライアンス担当者からの回答を集約しており、世界中の組織の状況を反映したデータとなります。

企業規模:

回答企業のうち約3分の1強(36%)が従業員数5,000~50,000人規模、16%が5万人以上、31%が5,000人未満の企業となっています。

企業タイプ:

回答者のうち46%は民間企業、41%は上場企業に所属しています。

役職:

ディレクター(21.9%)およびマネージャー(31.4%)が多数を占めており、コンプライアンス活動におけるリーダーシップ層の関与が反映されています。

弁護士(5.8%)などの法務専門職も、E&Cプログラムの形成に重要な役割を果たしています。

業界別参加状況:

金融業界が最多の24%を占め、次いで製造業が13%、エネルギー・鉱業・化学業界とビジネスサービス業界がそれぞれ9%となっています。

売上規模別構成:

売上高5,000万ドル未満の企業が28%、5,000万~5億ドルの中規模企業が18%を占めています。

一方、10億ドル以上の大企業が全体の54%を占めています。

日本企業への提言:ギャップを埋める戦略

LRNは日本企業に対して以下の戦略的取り組みを推奨しています。

■サードパーティ・デュー・デリジェンスの強化

包括的なリスク評価とモニタリングツールに投資し、日本の複雑なサプライチェーン・ネットワークに潜む脆弱性を特定・軽減する。

日本の「責任あるサプライチェーンにおける人権尊重ガイドライン」への対応を含む。

■サプライヤー研修の優先

LRNのCatalyst Supplierなど、ローカライズされたプログラムを活用し、サプライヤーが倫理・規制基準を理解し、遵守できるよう支援する。

■先進技術の戦略的活用

日本企業の運用の精密さと正確性を重視する文化を活かし、予測分析や自動化ツールを導入してコンプライアンス・プロセスを効率化する。

■世代間・階層間のギャップ解消

透明なコミュニケーションをすべての階層にわたって奨励し、特にZ世代の価値観を取り入れた包括的なアプローチを構築する。

■AIリスク管理の統合

バイアス、データプライバシー侵害、意図しない意思決定の影響などのAIリスクを行動規範や研修プログラムに組み込む。

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