サイバー創研は、3GPPの5G標準必須特許(5G-SEP)の宣言状況、5G-SEPの規格整合率や5G実現特許などの5G標準化活動状況について、企業や技術、サービスに注目して調査・分析を行っています。
サイバー創研「5G-SEP関連の分析結果(第7版)」
サイバー創研は、3GPPの5G標準必須特許(5G-SEP)の宣言状況、5G-SEPの規格整合率や5G実現特許などの5G標準化活動状況について、企業や技術、サービスに注目して調査・分析を行っている。
今回の第7版の調査報告では、1年前の2024年の調査に引き続き、5G整合推定SEP数(*i)、5G宣言SEP(*ii)、5G実現特許(*iii)、5G標準化寄書(*iv)の4種について、直近状況の調査・分析を行いました。
調査結果の注目点は、5G整合推定SEPのシェア、5G実現技術の牽引者、6Gを睨んだ標準化の動きです。
概要は以下の通りです。
◆5G整合推定SEPのシェア
5G整合推定SEP件数は、規格総件数が増える一方で、上位シェア企業の多くは、保有比率が減少しています。
その中で、一部の企業はシェアを伸ばし、ランクアップしています。
(図1)
◆5G実現技術の牽引者
特許ファミリー件数上位の11~20位の中堅層の出願が増えています。
(図2)
◆6Gを睨んだ標準化の動き
新たな標準化目標となっているWI(*1)に対し、5G標準化寄書、5G宣言SEP、5G実現特許が呼応して件数が増え始めています。
(図3)
なお、今回の第7版でも、調査報告書の販売に加え、種々の動きを推定できる特許グループのリスト販売や、お客様が興味をお持ちの視点で分析を行うカスタマイズ分析も行います。
これにより、企業や技術区分など、的を絞った効率的で具体的な特許の内容の確認をご支援します。
対象は、5G-SEP推定保有数 、5G-宣言SEP、5G実現特許 、5G標準化寄書の4種全てです。
【調査結果のポイント】
(1)5G整合推定SEPのシェア
図1に5G整合推定SEPの保有比率を示します。
図 1 標準規格を支える5G整合推定SEPの保有比率
5G宣言SEPは、各社が独自の判断で宣言できるため、5G宣言SEPが、必ずしも5G規格にとっての必須特許(SEP)とは限りません。
このため、客観的な規格整合判断が必要です。
本調査では、3GPPが5G規格と定めた規格に宣言した各社の登録特許から、企業毎の公平性を保って各社ごとに登録特許の10%以上を目標に抽出し、宣言規格の仕様と特許の請求項を比較評価し、一致している特許を規格整合特許としました。
今回調査では、全体の規格整合率の平均は40%と、2020年11月初回調査の平均32%から8ポイント上昇しています。
評価件数の多い上位20社の内15社が規格整合率を高めており、標準必須特許の宣言精度は全体的に向上してきています。
整合率が上昇したため、5G整合推定SEP件数の総件数が増加し、一方で多くの上位企業のシェアは減少しています。
詳細は報告書を確認してください。
(2)5G実現技術の牽引者
5G実現特許の上位企業の出願件数と前年からの伸び率のマップを図2に示します。
5G実現特許は、第6版からは大幅に増加し、10万件を超えてきました。
10位以内の上位層はいずれも堅調に出願を行っていますが、注目は11~20位の中堅層です。
中堅層では、同じ技術分野の伸びが顕著です。
詳細は報告書を確認してください。
図 2 5G実現特許上位企業の前年からの伸び率マップ
(3)6Gを睨んだ標準化の動き
5Gにおける新たな技術課題から、6Gへの動きが3つの調査で見て取れます。
1つ目は5G標準化寄書の調査です。
Rel-19(図3)では、新規WI(図中◆で示す)のAmbient IoT(*2)、Metaverse(*3)、Energy savings(*4)、Integrated Sensing(*5)などの標準化が、従来からのAI/ML(*6)、NTN(*7)と同様に、活発に進められています。
図 3 5G標準化寄書のRel-19のWI
特に、環境(電力)に関する事業体との連携、仮想空間との協調連携、他業種との連携など、オープンなネットワークを目指す標準化目標が動き始めました。
2つ目は3GPP規格の調査です。
上記の標準化の議論を受けた規格制定がなされています。
具体的には、Metaverse、Ambient IoT、Energy Efficiency、Integrated Sensingを対象とした研究規格(TR)が確認できました。
技術規格であるTS22(サービス)も制定され、AI/MLやNTNの規格も確認できています。
3つ目は5G実現特許の調査です。
上記機能を実現する技術に対応(間接的な対応関係も含む)して、D2D(*8)、AI/ML、NTN、省電力化技術(端末、NW側)、XR、MEC(*9)などの特許出願が増えています。
これらの機能は、ネットワークトラヒックの流れに大きな変化を与え、ネットワーク構成に改善を必要とする可能性がある技術です。
ネットワークアーキテクチャの変更要求は、6Gの本格化につながっていくと思われます。