三友システムアプレイザルは、同社と提携する不動産鑑定士148名を対象に行ったアンケートをもとに、三友地価予測指数(2025年4月調査)を発表しました。
三友システムアプレイザル「三友地価予測指数」調査
■調査概要
調査方法 :インターネット調査
調査期間 :2025年4月1日~4月30日
調査対象者数:同社と提携する全国の不動産鑑定士148名
対象者内訳 :東京圏 34名 [東京・神奈川・埼玉・千葉]
大阪圏 38名 [大阪・京都・兵庫・奈良]
名古屋圏 12名 [愛知・三重]
その他の地方圏 74名 [上記以外]
三友システムアプレイザルは、同社と提携する不動産鑑定士148名を対象に行ったアンケートをもとに、三友地価予測指数(2025年4月調査)を発表。
また、今回は全国各地の都市について、不動産鑑定士の目でみた不動産市場の動向に関する定性的な報告をまとめた「主要都市別まちかど観測」も掲載。
国内不動産市場の全体像を把握できるように、主要都市のみならず、地方都市についても言及しています。
※三友地価予測指数とは、同社と提携する不動産鑑定士へのアンケート結果をもとに、地価動向の見方について強気・弱気の程度を指数化し、5段階で評価したもので、毎年3月と9月に配信しています。
※さんゆう資料室は同社作成の各種レポートを紹介しているサイトです。
■調査結果概要
<商業地:東京圏では上昇機運が高まっているが、大阪圏と名古屋圏はややトーンダウン>
商業地指数の「現在」は、東京圏が 86.1、大阪圏は 81.3、名古屋圏は 75.0 となりました。
前回との比較では、東京圏は 84.6 から上昇しましたが、大阪圏は 85.5 から下落、名古屋圏も 80.0 から下落しました。
また、トランプ関税による世界同時株安は不動産市場にとっても懸念材料であり、先行きに関してはより慎重な見方が強まっています。
2024年の訪日外客数は約3,700万人を記録し、コロナ前(2019年)の約3,200万人を大きく上回りました。
また、訪日客による年間消費も8兆円に達しており、観光立国としては大きな経済効果が得られています。
また、2025年は大阪・関西万博も開幕し、訪日外客数は当初の政策目標であった4,000万人を突破する可能性が高まっています。
中核都市では再開発ビルの上層階に外資系ラグジュアリーホテルが誘致されることが多く、再開発事業の付加価値を高めるとともに街全体のイメージアップにも貢献しています。
オフィス市場でも空室率の改善が続き、東京都心5区では一時7%台まで悪化していた港区や中央区も現在は5%台に落ち着いています。
ただし、オフィス床に関しては2026年に2023年並みの大量供給が予定されています。
交通アクセスの優るビジネス街で大規模ビルの竣工が続けば、湾岸エリアの大規模ビルでは空室率が上昇し、賃料格差がさらに拡大するおそれがあります。
この数年、湾岸エリアの大規模ビルではフリーレントが長期化していますが、今後は中途半端なリノベーションよりも抜本的なコンバージョンが必要になりそうです。
また、最近はITや人材紹介等の分野でスタートアップ企業が増えていますので、中小ビルのリノベーション件数も増えるものと思われます。
<住宅地:過熱感のあった東京圏と大阪圏は下落、下落が続いていた名古屋圏は再び上昇>
住宅地指数の「現在」は、東京圏が 78.8、大阪圏は 76.8、名古屋圏は 74.9 となりました。
前回との比較では、東京圏は 81.4 から下落、大阪圏も 79.8 から下落、名古屋圏は 72.5 から上昇しています。
また、先行きに関しては商業地と同様にいずれの圏域でも慎重な見方が大勢を占めています。
商業地には大きな恩恵をもたらすインバウンドですが、住宅地ではオーバーツーリズムの問題が顕在化しています。
住宅地ではもともと外国人居住者の問題がありましたが、最近は古くなったアパート等が民泊事業者に売却され、観光客による騒音やゴミ出し等の近隣トラブルが増えています。
優良住宅地といえども、相続で売却を急ぐようなケースもあり、知らぬ間に民泊アパートが誕生するリスクを抱えています。
そして、民泊アパートが増えた地域では、風評被害によって住宅地としての相場は下がることになります。
また、首都圏を中心に闇バイトを使った強盗事件が多発した影響で、戸建住宅に関してはZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)等の環境面に加えて、防犯面での機能性の向上を求める声も日に日に高まっています。
指数算出方法:
三友地価予測指数は、商業地・住宅地ともに地価の先行指標となり得る高度利用地を前提とし、地価の趨勢を上昇(100)・やや上昇(75)・横ばい(50)・やや下落(25)・下落(0)の5段階の指数で評価し、指数毎に回答者比率を乗じて加算した結果である。
地価動向の「現在」は過去6ヵ月の推移を踏まえた現時点における地価の趨勢(ベクトルの角度的なもの)を、「先行き」は6ヵ月先のそれを示すものである。
なお、本指数は地価動向の見方に関する強気・弱気の程度を指数化したものであり、各圏域の地価水準自体を表すものではない。
また、指数は50ポイントが強気(上昇)・弱気(下落)の分かれ目となるが、指数の推移と各圏域内における実際の地価変動とは必ずしも一致するものではない。