獄中から発信・手書き原稿13万字のルポ、ドキュメンタリー!『獄食』富士乃夜桜著

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出版社・ごま書房新社は、刑務所内での食事「獄食」(監獄食)を中心に刑務所内の日常を赤裸々に描いたルポルタージュ、『獄食』を2025年5月1日に全国書店・ネット書店にて発売します。

 

『獄食』富士乃夜桜著

 

獄食cover

 

著者  : 富士乃夜桜・著

価格  : 1,800円(税込)

発売日 : 2025年5月1日(木)

ページ数: 284ページ

仕様  : 四六判ソフトカバー

ISBN  : ISBN978-4-341-08879-8 C0095 ¥1637E

発行元 : ごま書房新社

出版社・ごま書房新社は、刑務所内での食事「獄食」(監獄食)を中心に刑務所内の日常を赤裸々に描いたルポルタージュ、『獄食』を2025年5月1日に全国書店・ネット書店にて発売。

■「獄食 読書と夜桜が好きなベテラン受刑者」について

善良な社会の人が「知っているようで知らない」のが、刑務所の生活ではないでしょうか。

刑務所・受刑者を扱った小説・映画・ドラマは昔から枚挙に遑(いとま)がありませんが、「これはリアルだ!」というものは少ないものです。

その理由として、「刑務所での処遇は決して全国一律ではないこと」があり、もう一つ、その事情を尋ねる、調べようとする人が服役歴のない人なので、「尋ねるポイントポイントを外していること」、答える側も「相手の狙いや胸奥で求めているものを、適確に考量できていないこと」があります。

その点で言えば、塀の中の食事がどんなものなのか正確に知るには難しいことの最右翼かもしれません。

知りたくもない方もいると思いますが、紹介させていただきます。

法律上では、一人一日520円という予算が規定されています。

内訳は、主食97円、副食423円です。

これは全国一律で、地域によっての差はありません。

刑務所での主食は米7麦3の麦飯(めし)です。

これも全国一律ですが、副食の内容は各刑務所に任されています。

通常は「管理栄養士」という、刑務官と異なる職員が、献立・レシピを考え、実際に作るのは受刑者です。

受刑者ですから、素人も同然というのが普通です。

刑務所での調理場のことは「炊場(すいじょう)」と称しています。

受刑者の中から選ばれるエリートたちでもあります。

刑務所は裁判を受ける被告人のいる拘置所のように菓子、缶詰、調味料など、自分の欲しい品物を買うことはできません。

例外としては、その受刑態度によって、最下級の5類(るい)から超模範囚の1類まで5段階に等級分けされ、月に1~3回、各等級によって菓子が買えます。

1類なら月に3回、2類は月に2回、3類は月に1回という具合です。

その菓子以外では、全て施設が給与する食事だけしかありません。

刑務所は、「自由刑」といって、自由を剥奪することが刑罰です。

食事も、その一つで自分で自由に選ぶことはできません。

△△が嫌いだからといって、それに代わる物が与えられることもなく、与えられた物を食べるか、食べないかだけです。

例外は食物アレルギーのある者に対して代替物が給与されるだけです。

自由も制限され、部屋での娯楽といえばテレビ、ラジオ、読書、囲碁、将棋、自己学習(自ら選んだ教科の学習)だけで、それだけに「食事」の占める割合は小さくありません。

ある受刑者は、「チョーエキにとって、毎回の食事はイベントです」と言いましたが、言い得て妙でした。

まさに「イベント」なのです。

工場の掲示板に、その月の献立表が貼り出されると、みんなが注視し、「△日はトンカツだ」「×日は甘シャリだ」「○日はキムチラーメンだ」と喜ぶ光景が見られます。

刑務所内での希少な楽しみになっているのです。

刑務所ですから少年刑務所以外は全員が成人です。

しかも私のいる所は、全国の刑務所ヒエラルキーの頂点に君臨する、数少ないLB級刑務所ゆえ、受刑者の平均年齢は50歳前後と、社会ならば壮年の面々です。

そんな彼らが、子どものように献立表を眺めては、一喜一憂しているのが現実で、塀の中の食事とは、それほど重要な「イベント」なのです。

ちなみにLB級とは、懲役10年以上の者が務めるL(ロング)級と、再犯又は暴力団関係者又は、犯行態様が悪質な者が務めるB級の組み合わさったものという意味です。

世間を震撼させた極悪人、凶悪犯という輩(やから)が務めるのがLB級刑務所となります。

ここでは通常の懲役10年未満の短期刑務所と違って、服役30年40年50年60年という者がいるだけに、食事の尊さも一入(ひとしお)です。

かくいう私も30年選手で、服役年数の序列ではやっと「上の下」というところになりました。

今回は、その30年の間の食事事情を柱に刑務所の処遇の変遷や、短期刑務所とLB級刑務所の受刑者の違い、LB級刑務所独特の文化、習俗にも触れています。

読者の皆さんの知的好奇心(?)を刺激し、新たな知識となれば書き手としては望外の喜びです。

それでは、禁断の迷宮(ラビリンス)の旅に出発しましょう! 富士乃夜桜

獄食本文巻末

獄食本文巻末

◆目次◆

第1章 LB級刑務所は、ヒエラルキーの頂点!?

移送初日の食事にびっくり!「これ、何?」/翌日のサプライズ!?/えっ、罰ゲームかよ!/これが壁の正体か!/超高速ダイエット/菜食の功名!?/野菜はサプリだ!?/ミクロの眼!

第2章 K子ちゃんに愛を!プロジェクト

拝顔の栄に浴する!?/未知との遭遇/創作料理か!?

第3章 これがエリートの炊場だ!

炊場の仕事とは?/炊場要員の特典!?/これぞ、最大の楽しみ!?/都落ち?炊場要員OBへの特典とは?/好男児、Oさん炊場へ

第4章 雲の上の所長に対してK子ちゃん絶体絶命!?

落城/停滞か、斬新か、クオンタムリープか!?/Qちゃんの改革/新メニューの一部/ここ、すごいですねの嵐/欲の塊の亡者たち、バチアタリたち!/食事と長期刑務所で務めるということ/食でのカルチャーショック!/納豆、頑張れ/偏食矯正の道/この野菜はグー!

第5章 刑務所の非日常食

食中毒、大歓迎!?/ぼったくり!?の留置所の食事/シンデレラよ、さようなら/Qちゃんの大英断、節分、そして誕生会/一大イベント、誕生会/待望の夏の風物詩!?と丈夫な受刑者/珠玉のアイスクリーム!/自由のないことの貴重さ!

第6章 翹望される祝日の甘シャリ!

ドーナツ様だぜ!/凶悪犯さえ穏やかにしてしまうパワー/このラインナップを見よ!/どらやき、蒸しパン……、サー夕ーアンダギー、何それ!?/えええっ!シュークリームだってぇ、利休饅頭もか!/猛暑の中で悪戦苦闘のどらやき/まだまだ、あるぜ!/圧巻の大物!/なんと、おまえさんまでもか、プリンよ!/塀の中のクリスマス/これぞ、至上の味、クリスマスケーキ/クリスマスに革命勃発!?/さあ、来たぞ!盆と正月が一遍に!/大晦日の食事作法/菓子取扱厳重注意とは!?/午後7時20分、さあ出番だ!/さあ、いよいよ宴だ!/仰天!抱腹、正月エピソードあれこれ/厳寒も吹っ飛ばす!?御馳走パワー/憐憫か?怨念か?干し柿の乱/御馳走で腰が抜けるって!?/猫、虎になる!?/なんだよ、イケるじゃないか!

終章 受刑者と食。

最低の食事でいいのか!?

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