アグリ王は、LED照明を活用した閉鎖型植物工場技術と、次世代の循環型農業技術であるアクアポニックスを組み合わせた「閉鎖型アクアポニックス システム」を開発しました。
アグリ王「閉鎖型アクアポニックス システム」
アグリ王は、LED照明を活用した閉鎖型植物工場技術と、次世代の循環型農業技術であるアクアポニックスを組み合わせた「閉鎖型アクアポニックス システム」を開発。
このシステムは、LED照明による効率的な光合成促進と、魚の養殖水を利用した栄養循環により、水や肥料の使用量を最小限に抑えながら、高品質な作物と健康な魚を同時に育成することが可能です。
さらに、環境制御技術により年間を通じて安定した生産が実現できるため、都市部や気候変動の影響を受けやすい地域でも持続可能な農業経営を支援します。
2024年10月より販売を開始した本システムは、限られた資源を効率的に活用することで、農薬や化学肥料を使用せず高品質な作物の安定生産を可能にする持続可能な農業技術です。
アグリ王は、本システムをグリーンインフラにおけるコア技術と位置付け、社会実装に向けてさまざまな分野との連携を強化しています。
その一環として、株式会社横浜ビール(本社:神奈川県横浜市、代表取締役社長:高橋 智己)と連携し、ビール製造過程で発生する副産物「モルト粕」の有効活用に向けた実証実験を開始します。
この取り組みは、循環型経済(サーキュラーエコノミー)の推進を目的としており、食品廃棄物の削減と養殖飼料の代替資源開発を目指しています。
A:きれいな水 B:魚の養殖 C:養殖水を濾過 D:微生物が排泄物を植物の栄養へ分解 E:養分豊富な水 F:イチゴの栽培
■モルト粕の可能性と課題
ビール製造過程で排出されるモルト粕は、大麦由来の豊富なタンパク質と食物繊維を含んでおり、食品や堆肥としての利用が進められています。
しかし、依然として多くが未活用のまま廃棄されています。
アグリ王と横浜ビールは、このモルト粕をアクアポニックスにおける養殖飼料として再利用することで、資源循環の可能性を拡大します。
■実証実験の概要
今回の実証実験では、モルト粕を配合した飼料で淡水魚「ホンモロコ」を養殖し、成長率や健康状態、飼料効率などを評価します。
実験で得られた知見は、今後の商業養殖への応用に向けた重要なデータとなります。
また養殖されたホンモロコは、横浜ビールが運営するレストラン「UMAYA」のメニューとして提供される予定です。
■持続可能な社会の実現に向けて
アグリ王は、閉鎖型アクアポニックス システムの発展を通じて、2030年までの国際目標であるSDGsの達成、気候変動抑制に向けたカーボンニュートラルの推進、ならびに循環型社会の構築に貢献することを目指しています。
■グリーンインフラとは
グリーンインフラは、自然環境が持つ多様な機能を活用して、持続可能な都市や地域づくりを進める取り組みです。
2023年に策定された「グリーンインフラ推進戦略2023」では、気候変動対策、資源循環、生物多様性の保全など、さまざまな分野での自然共生型社会の実現が求められています。
アグリ王と横浜ビールは、この新たな挑戦を通じて、環境負荷の低減と持続可能なビジネスモデルの確立を目指していきます。
【閉鎖型アクアポニックス システムでのモルト粕の養殖飼料原料としての利用検討概要】
・実施場所
神奈川県横浜市港北区新横浜1-13-3 奈良建設本社ビル1F
新横浜 LED AGRI Lab.(閉鎖型開発拠点)
・内容
試験用アクアポニックス システム(4基)に、ホンモロコを15匹ずつ飼育し、1日1~2回、モルト粕を混合した養殖飼料を給餌し、成長率の測定(2週間に1回)や養殖水内の栄養成分分析(週1回)を行う。
[実証実験スケジュール]
・2024年8月~2025年1月
養殖飼料原料となる食品残渣のスクリーニング調査(予備実験)
・2月
アグリ王社内でのホンモロコの産卵、稚魚の育成
・4月
モルト粕の給餌開始
養殖飼料のみの給餌を対照区とし、モルト粕以外の食品残渣も供試
以降、2週間に1回の成長率測定と、週1回の養殖水内栄養成分分析を実施
・9月
実証実験終了、解析
モルト粕パウダー
実証実験に供試するホンモロコ
新横浜 LED AGRI Lab.内に設置された試験用アクアポニックス システム
【閉鎖型アクアポニックス システムの社会実装イメージ】
システムの社会実装イメージ