エンビプロ・ホールディングスとサトーは、使用済みリチウムイオン電池(以下「LIB」)の回収から再資源化までのリサイクル過程の履歴をトレースできる情報取得の実証実験に成功しました。
エンビプロ/サトー「リチウムイオン電池リサイクル過程の情報化」実証成功
エンビプロ・ホールディングスとサトーは、使用済みリチウムイオン電池(以下「LIB」)の回収から再資源化までのリサイクル過程の履歴をトレースできる情報取得の実証実験(以下「PoC」)に成功。
なお、このPoCの内容および結果は、2024年12月4日(水)~6日(金)に東京ビッグサイトで開催される「サーキュラーパートナーシップEXPO 2024(主催:日本経済新聞社)」で展示します。
■背景および目的
身近な製品から産業機器まで幅広く使用されているLIBは、普及とともに廃棄量が増加しています。
また、LIBの材料となるリチウムやニッケル、コバルトなどのレアメタルは、将来的に材料不足が予想されています。
そのため、使用済みLIBの回収から再資源化の効率向上は社会課題の一つとなっています。
加えて近年、使用済みLIBの輸送中や廃棄物処理の過程において、発熱・発火による火災事故が急増しています。
これらに対応するため、エンビプロとサトーは、使用済みLIBの回収から再資源化までの処理履歴が確認可能になる、データ取得の実効性と実用性を検証しました。
処理過程では、温度と衝撃の情報を継続的に記録して状態をモニタリング。
リサイクル工程では在庫管理、工程内ステータス記録、各種履歴をトレースできるデジタル情報を取得しました。
これらの履歴をシステム上で可視化することで、リサイクル過程のトレーサビリティと、リサイクル資源の生産量予測などの実現を視野に入れており、将来的にはウラノス・エコシステム(※1)やバッテリーパスポートへのデータ連携を想定しています。
■使用済みLIB再資源化のトレーサビリティPoCの結果について
今回のPoCは、使用済みLIBにRFID温度ロガータグなどを取り付け、回収からリサイクル工場まで輸送時の温度や衝撃のデータを継続的に収集・記録しました。
さらに、ブラックマス(※2)として再資源化する、エンビプログループの株式会社VOLTAが手掛けるLIBリサイクル工程の情報化に成功しました。
収集した各データはクラウド上に蓄積され、エンビプログループの株式会社ブライトイノベーションが開発中のトレーサビリティ管理システム「TraceView」上で可視化が可能となりました。
■実証内容
1. 使用済みLIB輸送時の温度データ取得
RFID温度ロガータグ「LogBiz-Thermo」を用いて、LIB輸送中の温度を継続的にモニタリングすることが可能となりました。
LogBiz-Thermoを用いた温度のモニタリング
2. トレーサビリティの確立
使用済みLIBを集積したドラム缶に固有のIDを付与し、輸送の日時や位置情報、温度情報、リサイクルの開始や工程ごとの日時、生産したブラックマスのIDへのひも付けなど、回収から再資源化まで全工程における履歴をクラウド上に蓄積し追跡を可能にしました。
ドラム缶に固有のIDを付与
TraceViewの画面
3. 効率的なリサイクルプロセス
実証実験の過程や取得データをもとに、リサイクルプロセスにおけるトレーサビリティ実現の知見と、新たな課題を発見しました。
LIBリサイクルで生産したブラックマス等