CENTRICのグループ会社で音声感情解析専門会社のESジャパンは、声から感情を可視化するテクノロジー、音声感情解析サービス*1「ESAS」(イーサス)を用いたメンタルヘルスケア領域での産業医科大学産業生態科学研究所人間工学研究室 榎原 毅 教授、産業精神保健学研究室 江口 尚 教授らとの共同研究の成果として、日本産業衛生学会の公式ジャーナル「Journal of Occupational Health」(英文誌)に掲載されたことを発表しました。
ESジャパン「Journal of Occupational Health」掲載
CENTRICのグループ会社で音声感情解析専門会社のESジャパンは、声から感情を可視化するテクノロジー、音声感情解析サービス*1「ESAS」(イーサス)を用いたメンタルヘルスケア領域での産業医科大学産業生態科学研究所人間工学研究室 榎原 毅 教授、産業精神保健学研究室 江口 尚 教授らとの共同研究の成果として、日本産業衛生学会の公式ジャーナル「Journal of Occupational Health」(英文誌)に掲載されたことを発表。
音声感情解析技術の応用が労働者のメンタルヘルス予防において効果的な組織介入手段となることを示し、メンタルヘルスケア分野での新たな応用可能性を明確にしました。
*1 ESAS:Emotional Signature Analysis Solution
メンタルヘルスケア市場は、近年急速に拡大しており幅広い分野での需要が増加しています。
この中で、音声感情解析技術は、特にメンタルヘルスケア領域における新たなソリューションとして注目されています。
ESジャパン株式会社は、この技術を活用することで、従来の手法では捉えきれなかった微細な感情の変化を可視化するサービスを提供しています。
今回の研究成果は、国内の産業保健分野のトップジャーナルである「Journal of Occupational Health」に掲載されました(学術雑誌の影響力を評価するSJRスコアによる評価。
全世界ではQ2(上位25-50%のインパクトジャーナル)にランキングされています)。
このジャーナルは、日本産業衛生学会が発行する査読付きオープンアクセスジャーナル(英文誌)であり、職業的健康に関する研究を幅広く取り扱っています。
掲載された論文は、音声感情解析技術がメンタルヘルスケア分野でどのように活用されるかを具体的に示し、この成果により、音声感情解析技術が単なる理論や概念に留まらず、実際に産業衛生管理の場面で価値を持つ技術となりうる可能性を示しました。
また、同技術の普及により、コールセンター業界だけでなく、メンタルヘルスケア市場においても新たな活用の道が開かれつつあります。
音声感情解析サービス「ESAS」はこれまでにさまざまな企業に導入され、音声認識&音声感情解析サービス、オンライン面接サービス、パーソナリティー診断サービスなどに活用され、今後は医療業界での感情解析や、Web会議などでの顧客の感情解析など様々な業界での活用も期待されています。
このため、今回の共同研究の成果はコンタクトセンター業界のみならず、様々な業界に波及することが期待されます。
【掲載誌】
Journal of Occupational Health
https://doi.org/10.1093/JOCCUH/uiae047
タイトル(日本語訳):音声感情解析を用いた組織的介入は、コールセンターにおけるオペレーターのメンタルヘルス対策に有効か?無作為化比較対照試験
主な結果:一般的なメンタルヘルス予防に関する情報を提供するセルフケア条件(比較対照群)に比べ、12週間にわたる音声感情解析を用いた組織的介入では8週目から自記式のうつ病スクリーニング検査であるCES-Dのスコアが統計的に有意に減少しました。
12週間にわたる音声感情解析を用いた組織的介入は、コールセンターオペレーターのうつ病リスクを軽減する可能性が示唆されました。
なお、本共同研究は2年目のテーマを以下に設定、継続して実施しています。
音声感情解析サービス「ESAS」を活用し、オペレーターの音声をモニタリングしてうつ症状を早期に予測 ―産業医科大学と共同研究、音声感情解析技術によるうつ症状早期検出モデルの実証開始―
https://www.newsweekjapan.jp/press-release/2024/09/esas.php
共同研究を行う産業医科大学産業生態科学研究所人間工学研究室は、デジタルヘルス・テクノロジー(スマホ内蔵センサーやウエアラブルセンサーほか)を活用してライフログビッグデータを収集・解析することによって、働く人の健康障害の積極的予防に取り組んでいます。
人間工学とは、多様なシステムにおけるヒトと他の要素との相互作用を理解するための学際的学問であり、ウェルビーイングとシステム全体のパフォーマンスとの最適化を図るために個人を取り巻くステークホルダ、物理環境、組織環境なども含めた包括的なアプローチ(システムズ・アプローチ)を推進しています。
当該研究室は、人間工学分野において、医科大学で唯一の研究室であり、教授の榎原 毅先生は国際人間工学連合(IEA)理事、日本人間工学会理事、国際標準化機構ISO/TC159(人間工学)国内対策委員会SC3分科会委員長などを歴任されておられ、日本の人間工学分野を牽引するトップランナーです。
【榎原教授からのコメント】
今回、コンタクトセンターオペレーターの方々を対象としたRCT(無作為化比較対照試験)を実施しました。
本研究では、従来の組織介入(参加型職場改善)による人間工学的アプローチに音声感情解析のエッセンスを加え、自己の感情のゆらぎを把握しながら成功体験を共有することが感情コントロール・メンタルヘルス対策に有効である可能性を見出すことができました。
これらの「ESAS」×「人間工学」による知見をさらに深め、社会実装に向けて研究を継続していきたいと思います。
■産業医科大学産業生態科学研究所概要:産業生態科学研究所は、産業医学を専門的に研究・教育することを目的とする産業医科大学の附置研究所です。
研究所には、快適環境部門、健康支援部門、社会環境部門、災害産業保健センターが設置されており、各専門分野における研究のほか、医学部及び大学院学生の教育、産業医学に関する卒後研修、産業医学に関する国際協力等の事業を行っています。