宇宙太陽光発電の実現を目指す!東京都企業立地相談センター「cosmobloom 福永 桃子」取材記事掲載

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東京都企業立地相談センターは、宇宙ベンチャー企業のcosmobloom 代表取締役CEO 福永 桃子氏に取材を行い、その内容を東京都企業立地相談センターホームページにて公開中です。

 

東京都企業立地相談センター「cosmobloom 代表取締役CEO 福永 桃子」取材記事掲載

 

東京都企業立地相談センターは、宇宙ベンチャー企業のcosmobloom 代表取締役CEO 福永 桃子氏に取材を行い、その内容を東京都企業立地相談センターホームページにて公開中!

 

■宇宙太陽光発電に挑戦する“ゴッサマー構造”の先駆者

「宇宙事業」といえば、かつては国家が主導するプロジェクトの代名詞でした。

しかし近年では、けん引役を務めるのは複数のベンチャー企業に代わってきています。

政府は、宇宙分野の先端技術開発を行う民間企業や大学に対し、今後10年間で総額1兆円を支援する「宇宙戦略基金」を創設。

今後、日本の宇宙事業はさらなる加速が見込まれています。

2023年4月に起業した株式会社cosmobloomも、期待を集める宇宙ベンチャー企業のひとつです。

代表取締役CEOの福永 桃子氏に、同社の事業内容や展望、東京都・大田区立地の魅力などを取材しました。

■独自の数値解析シミュレーションツール「NEDA」で宇宙探査に寄与

cosmobloomの前身は、日本大学理工学部航空宇宙工学科・宮崎研究室(現JAXA宇宙構造物システム研究室)。

同社の強みは、膜やフィルム、ケーブル、メッシュの布のような柔軟構造物(ゴッサマー構造)の解析・設計・開発です。

「今後、宇宙開発が進むにつれて、“デカモノ”の構造物は必要不可欠になります。

例えば人間が暮らす居住モジュール、研究開発を行う拠点となる宇宙ステーション、それらを支える電力の創出、通信に欠かせないアンテナなどです。

そうした巨大構造物を構成する材料を宇宙に届ける手段はロケットのみ。

ロケット内のスペースは限られているため、材料は1gでも軽く、1mmでも小さくしなければなりません。

そこで注目されているのが、軽量性、展開性、収納性に優れているゴッサマー構造なのです。

ただし、ゴッサマー構造は極めて柔軟であるため、地球上では空気や重力の影響をダイレクトに受けてしまい、打ち上げ前に地上で実験をすることが難しい。

そこで活かされるのが、私たちが持っているゴッサマー構造の数値解析、設計技術の知見です」

福永氏が話す同社のコア技術は、cosmobloomの共同創業者で、CTOの宮崎 康行氏が開発した数値解析のシミュレーションツール「NEDA」です。

このツールは、2010年にJAXAが打ち上げた小型ソーラー電力セイルIKAROS(イカロス)の開発に活用されました。

IKAROSはソーラー電力セイルを主な動力源として、世界で初めて惑星間航行に成功。

NEDAは、この人類史上初の快挙に大きく貢献したのです。

「IKAROSは成功しましたが、当時はまだ民間企業による宇宙開発が今ほど活発ではなく、ソーラー電力セイルを打ち上げて事業化しようとする動きはほとんどありませんでした。

しかし、近年の宇宙ベンチャー企業の増加でニーズは拡大していて、それに伴い、cosmobloomの事業拡張の可能性も急速に増しています」

 

■超小型衛星に搭載できる特殊装置で“宇宙ごみ”を削減

cosmobloomが開発中の膜面アンテナはモジュール化を前提にしている。

仮にモジュールを7つ組み合わせた場合、約60cm×60cmの収納面積で、最大直径約500cmの平面アンテナを構築できる。

続いて現在の事業内容をうかがいました。

「まずは、柔軟構造物のアイデアを持っている顧客から依頼されて行う、NEDAを使った解析です。

さらに、その結果を活用して構造物の設計支援も行っています。

国内だけでなく、ヨーロッパの企業から声を掛けられることも増えており、共同開発、資金調達の道を開拓することにつながるかもしれません」

二つ目は、近年の宇宙開発における困り事“宇宙ごみ”のソリューションです。

「運用が終了し、宇宙ごみとなった小型衛星の回収・除去に取り組む専門企業もあるほど問題は大きく、将来、人工衛星やロケットの安全航行を妨げるリスクが増大しています。

そこで私たちは、人工衛星がごみになる前の段階で大気圏に突入させ、燃やしてしまう軌道離脱装置『デオービット装置』を開発しています。

実は、この装置自体は以前からあるのですが、サイズや重さの問題からあまり普及していませんでした」

同社のデオービット装置の特徴は、その小ささです。

収納時は8.1cm×9.6cm×2.5cmの容積に収まるサイズで、近年増えている、3Uや6U(1U=1辺10cmの立方体)などの超小型人工衛星にも搭載可能である一方、広げた時には2.86m2の大きさになり、宇宙に微小に存在する大気の抵抗をしっかりと受け止め、廃棄軌道に投入することができます。

設計はほぼ終了しており、来年度以降にロケットに積み込んで、宇宙での実証実験を行う計画とのことです。

そして三番目は、宇宙太陽光発電システム(SSPS=Space Solar Power System)の実現に寄与する、小型衛星に搭載可能な膜面アンテナの開発です。

「SSPSは、宇宙での太陽光発電で創出した電力をマイクロ波やレーザーとして地上へ送り、電力へ再変換する仕組みです。

原発1基相当の発電をするためには、約2.5km×2.5kmサイズの巨大な平面をつくらなければならないといわれています。

私たちが開発中の膜面アンテナはSSPSの基礎技術も兼ねている上、収納時は20cm×20cm、広げた時には直径200cm。

組み合わせれば、より大きなアンテナをつくることが可能です。

2050年のカーボンニュートラル実現を目指す日本政府はSSPSの構築に乗り出しており、必ず私たちの技術が必要になると自負しています」

 

 

過去に開発された0.25Uサイズのデオービット装置は膜面の展開形状が四角形で、衛星本体に取り付ける際に位置の制約があった。

一方、cosmobloomが開発中のデオービット装置は三角形の膜面を取り付けるため、取り付けの自由度が向上していることが大きな強みだ。

 

 

■大田、東京立地のメリット~経営、補助金、人脈構築など多様な支援

 

 

cosmobloomが拠点を構える大田区立の創業支援施設「六郷BASE」の魅力を聞きました。

「実は、私と大田区とは浅からぬ縁があります(笑)。

私の曽祖父がかつて区内で金属加工の工場を営んでいた、祖父が六郷の城南信用金庫に長年勤めていた、さらに私が起業する前、ゲーム開発・販売会社に勤めていた当時、大田区内のさまざまな製造工場とおつきあいがあった…などさまざまなつながりがあったのです。

そして何より、私たちはファブレス企業なので、すぐ近くに高い品質のものづくりを行う多くの工場、企業が集積している環境が魅力的でした。

こうした理由から大田区内で探したところ、六郷BASEを見つけたのです」

六郷BASEには、非常に低い家賃、3Dプリンター、レーザーカッターなどが使える試作室、コミュニティマネージャーによる定期的な面談などいろいろな魅力があります、と福永氏。

「面談は、希望すれば月1回、最長でも3ヵ月に1度のタームで行っていただけて、事業進捗の再確認から、ファイナンス関連の情報共有、さらに展示会の出展をアレンジしていただくことも。

また、同社のメンバーは全員、経営については素人でしたので、契約書の内容のチェックや商標登録の具体的な方法など、創業時の支援も本当に助かりました。

展示会は、2024年2月には「Meet New Solution in OTA」や「Venture Pitch in HANEDA 2023」(いずれも大田区産業振興協会主催)に参加する機会をいただき、出資者の紹介や金属加工の工場からのお声がけにつながりました。

六郷BASEを介して紹介していただいた方を通じて、近々、地元の蒲田工業協会に入会することになっており、さらにネットワークが拡充することに期待しています」

六郷BASEの立地でもうひとつ欠かせないのが、足まわりの良さとのこと。

「学会参加や地方出張などで飛行機を使うことも多いため、六郷BASEの目の前にある京急のバス停から羽田まで約20分で到着できるのは本当にありがたいですね。

また、JAXAが神奈川県相模原市、茨城県つくば市と関東に展開しているだけに、京急ですぐ電車移動できることもメリットです」

創業月日のタイミングの関係で大田区の助成金はまだ申請できていないとのことですが、東京都のさまざまな補助金はぜひ申請して、受けたいと考えているそう。

さらに、東京都中小企業振興公社で受けられる多種のビジネスサポートも心強いと話します。

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