東京都企業立地相談センターは、大田区南六郷創業支援施設「六郷BASE」を運営している「南六郷創業支援施設運営共同事業体」に取材を行い、その内容を東京都企業立地相談センターホームページにて2024年8月20日に公開しました。
東京都企業立地相談センター「南六郷創業支援施設運営共同事業体」取材記事公開
東京都企業立地相談センターは、大田区南六郷創業支援施設「六郷BASE」を運営している「南六郷創業支援施設運営共同事業体」に取材を行い、その内容を東京都企業立地相談センターホームページにて2024年8月20日に公開。
■“交流”をキーワードに、大田区発の新ビジネスへの挑戦をバックアップ
“ものづくりのまち”として全国に知られる東京都大田区。
町工場が集積する南六郷エリアに位置する「六郷BASE」は、新しいビジネスに挑戦する起業家や起業希望者に、ワークスペースやノウハウ、マッチングの機会を提供するインキュベーション施設です。
今回は開設の経緯や特徴、東京都・大田区で起業するメリットを、コミュニティマネージャーの太田 尚緒美氏と角谷 恵氏に伺いました。
■ハードとソフト両輪で、創業初期の事業成長をきめ細かくサポート
2021年10月にオープンした六郷BASEは、大田区のインキュベーション施設です。
「ものづくり企業が多い大田区では、既存の企業への経営支援を行うとともに、新しい産業の芽を育てることも重要であることから、他の自治体に先駆けて20年以上前から創業支援施設を設けています。
前身の施設が老朽化で建て替えとなり、その機能と歴史を引き継ぐために当施設が開設されました。
六郷BASEという名称には、新しいビジネスに挑戦する起業家たちの拠点(ベース)という意味が込められています」
3フロアからなる同施設は、1階に会員以外も使用できるオープンスペースとセミナールーム、試作室を配置。
2階・3階が入居会員のためのワークスペースとなっています。
「ハード面の特徴の一つは、3Dプリンターやレーザーカッターなどを設置した試作室を設けていることです。
同じ建物内でアイデアを形にしたり、プロトタイプの製作ができますので、ものづくり関連の起業家には特に便利です。
利用料金もリーズナブルで、入居会員以外のドロップイン利用も可能。
ドロップインの方にも試作室に来てもらうことで、ものづくりに興味のある人のすそ野を広げたいと考えています」(同・角谷氏)
「ワークスペースは、フリーアドレスのコワーキングスペース、半個室型のシェアードオフィス、個室のオフィスの3タイプがあり、いずれも24時間365日利用可能です。
オフィスとシェアードオフィスの会員は毎月、コワーキングスペースの会員は3カ月に1回、インキュベーションマネージャーによる面談を実施。
起業前後の疑問や悩みに寄り添い、定期的に進捗確認を行うことで、限られた期間での事業成長をサポートしています。
さらに、人と人をつなぐ交流支援を行うコミュニティマネージャーを配置していることも、当施設の大きな特徴です」(太田氏)
■交流を促進し、仲間と切磋琢磨できる起業家コミュニティを提供
六郷BASEのコミュニティマネージャーは総勢5名、常時2名以上を配置しているとのこと。
交流促進のための具体的な取り組みを伺いました。
「入居者同士や来館者と入居者が交流するきっかけづくりや、企業や経営に役立つセミナーの開催、入居者が外部にPRする機会を作っていくのも私たちの役割です。
日頃からコミュニケーションを大切にし、新旧の入居者が交流する気軽なお茶会も定期的に開催。
業種は違っても仲間意識を持って頑張っていけるよう、起業家のコミュニティを円滑にし、活性化させる、大事なポジションだと考えています」(角谷氏)
入居者のためのコミュニティはもちろん、1階のオープンスペースを起点とした創業準備者のためのコミュニティや、試作室の活用促進を兼ねたものづくりコミュニティも提供。
「『hajimari BASE(はじまりベース)』は、起業に興味がある方や準備をしている方を対象にモチベーションのアップや維持に役立ててもらおうとスタートしました。
参加者の得意分野で勉強会を開き、お互いにナレッジをシェアして切磋琢磨するという展開も。
参加者は30~40代が中心。
女性も多く、なかにはお子さん連れの方もいます。
コミュニティでつながっている仲間の頑張りが励みになるという声をよく聞きますね」(太田氏)
「2022年からは、ものづくり関連で起業したい人を集めて行う連続講座『ものづくりCAMP』を開催しています。
全5回の講座でアイデアをブラッシュアップしていき、最後に皆さんの前でプレゼンテーションを実施。
試作室を使ってプロトタイプも製作します。
参加者と入居者の連携が生まれ、実際に大田区内で起業をした人もいます」(角谷氏)
■大田・東京立地のメリット~大田区のリソース活用に有利、販路開拓の機会が多い
最後に、大田区、東京都立地のメリットを伺いました。
「一つは、ものづくりの技術という大田区が持つリソースです。
当施設の入居者の業種は多様ですが、製造業と何らかの接点や親和性を持っている事業が少なくありません。
内外のイベントを通して区内の企業とつながる機会も多く、大田区のリソースをフル活用していただけると考えています」(角谷氏)
「また、東京は展示会やイベントの数が圧倒的に多いです。
六郷BASEでは入居者に展示会への合同出展参加を推進しており、事務手続きや費用は施設側で負担し、搬入搬出やブース設営などもサポート。
区内はもちろん、ビッグサイトのような大きな会場での展示会にも仲間と一緒に出展が可能です。
出展検討の選択肢が豊富で、連携企業との出会いや販路拡大のチャンスに恵まれていると言えるでしょう」(太田氏)
■施設概要
施設名 :大田区南六郷創業支援施設 六郷BASE
所在地 :東京都大田区南六郷3-10-16
運営 :大田区
指定管理:南六郷創業支援施設運営共同事業体
(株式会社ツクリエ、野村不動産パートナーズ株式会社)
設立 :2021年(令和3年)10月1日
支援内容:起業、事業拡大を目指すスタートアップ企業のための支援施設