日本で働く1,123人を対象に調査!ペイジ・グループ調査レポート「人材トレンド2024 - 期待のギャップ」

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ペイジ・グループは、調査レポート「人材トレンド2024 - 期待のギャップ」を発表しました。

 

ペイジ・グループ調査レポート「人材トレンド2024 - 期待のギャップ」

 

英国ロンドンに本社を置くペイジ・グループは、国内1,123名、世界の51の市場およそ50,000人を対象とした調査レポート「人材トレンド2024 - 期待のギャップ」(英語版タイトル:「Talent Trends 2024 The Expectation Gap」)を発表しました。

コロナ禍以降、働く人々は仕事が人生に与える価値をより重視し、競争力のある給与やフレキシブルな働き方を当然と考えるようになりました。

変化するビジネス環境の中で企業は大きなプレッシャーに直面しており従業員の期待に応えられないまま、両者の間にある溝は広がりを見せつつあります。

 

「人材トレンド2024」では、この企業と従業員の間にある溝を「期待のギャップ」と捉え、日本で働く1,123人を対象に調査を実施しました。

 

このレポートの要点は以下の通りです。

 

● 賃金上昇は鈍化しているにもかかわらず、従業員は高い給与を期待している。

● アジア太平洋地域(APAC)ではフレキシブルな働き方が問題となっている。

● さまざまな世代が共に働く中、インクルーシブな環境づくりが必要である。

● AIが日々の仕事やキャリア選択に影響を与え、雇用市場の複雑化が進んでいる。

 

本レポートは、日本の働く人々が企業に何を期待しているのかを紐解き、企業が持っておくべき重要な知見を提供しています。

 

 

◆雇用がかつてないほど難しくなっている理由:依然として従業員は新しいキャリアに前向き

 

これまでも、企業と従業員の間に期待のギャップがなかったわけではありません。

しかし、2024年の経済状況が、この問題をさらに難しくしているといえます。

 

本調査によれば、優秀な人材の獲得・定着のためには、高い給与だけでは不十分であり、企業は従業員が求めていることを理解し、要望に応える努力が求められます。

 

大多数の人材が新たなキャリアパスを求めているのは、2022年の大退職時代から続く傾向です。

従業員は自身の在職期間にかかわらず、新しいキャリアを前向きに考えており、本調査では、2024年も87%が転職に積極的であると回答し、前年比18%増となりました。

 

転職活動をしているか、転職の可能性を考えている割合は87%

 

また、別の調査では、現在の給与に満足している人たちであったとしても、その9割近くが新しいチャンスを歓迎すると回答。

もっと自分に合った企業文化のある転職先を探す、または探す予定である人の割合も、59%にのぼり、競争力のある給与だけでは、優秀な従業員を引き止めるのは困難という現実が明らかとなりました。

 

一方で「ウェルビーイングを維持するためであれば、昇給を伴う昇進でも辞退する」と答えた人の割合は減少しており、日本の回答者の割合は前年比15%減の38%となりました。

企業は、キャリアアップを重視する人材が増えている現状を汲み取り、適切な雇用対策が求められます。

 

 

◆フレキシブルな働き方が抱える難問:個人としてはフレキシブルな働き方を重視しているのに、人材定着面では重視していないというダブルスタンダード

 

フレキシブルな働き方は、求職者や従業員が重視している要素ですが、新たに人材を獲得しようとしている企業が、その重要性を理解できていないケースがあります。

 

本調査によると、57%の回答者がハイブリッド勤務を行っています。

しかし、その働き方が適切であるかどうかは、業界や従業員のニーズによって異なります。

 

また、オフィス勤務に復帰した従業員の約45%が会社の方針に従ったと回答していますが、その半数近くは転職を検討していることに注目すべきです。

これは、厳格な出社規則が従業員の満足度や人材定着に悪影響を与える可能性を示しています。

 

さらに注目すべきは、中級・上級管理職の認識のギャップです。

個人としてはフレキシブルな働き方を重視しながら、人材定着の手段としてはその重要性を軽視するといった「ダブルスタンダード」の傾向があります。

この相反するデータは、組織全体でのフレキシブルな働き方の戦略的な再評価の必要性を示唆しています。

 

フレキシブルな働き方に対する中級・上級管理職のダブルスタンダード

 

管理職は、フレキシブルな勤務形態が組織のあらゆるレベルで公平に検討され、実施されるよう努めるべきであり、よりインクルーシブな職場環境の創出と従業員の満足度と士気の向上に着目することが、最終的には人材定着率の向上につながります。

 

フレキシブルでワークライフバランスのとれた働き方を好む傾向は、50歳以上を中心とする求職者が非正規雇用に前向きであるというデータにも表れています。

フレキシブルな働き方を望む派遣社員や契約社員、フリーランス人材を活用することは、雇用課題の有効な解決策の一つとして考えられます。

 

 

◆DE&Iの食い違い:インクルージョンに悩む日本の職場

 

日本では、「職場で本来の自分でいられない従業員」は79%、「職場がインクルーシブではないと考える従業員」は84%と、全世界の平均やAPACの平均を上回っています。

さらに、「上級管理職に多様性の理解が欠落していると感じる従業員」が85%にものぼり、日本企業にとってDE&Iへの取り組みが急務であることは明確です。

個性を認めて評価し、さまざまな形で意見が言える職場環境の構築が求められており、職場のインクルージョンレベルを改善することで、従業員のウェルビーイングと仕事への満足度を高めるだけでなく、イノベーションの契機となる可能性もあります。

 

 

日本の職場はインクルージョンへの取り組みが不足している

また本調査では「職場における差別」についても着目。

職場でステレオタイプ化されたり、疎外化を目撃したりする従業員は多く、個人的に疎外化されたと感じたことがある人や、マイクロアグレッション(無意識の差別)を経験したことがある人も1~2割程度いることが判明しました。

企業には従業員が日常的に不快な思いをしていないか、DE&Iの観点から職場のあり方を見直す必要性が求められています。

 

また、日本の職場で経験する差別として最も多く挙げられたのは、年齢による差別でした。

全年代で起こっていますが、40代や50代の割合が比較的高いという調査結果が出ています。

 

さらに、性別による賃金格差の是正に満足している日本の女性は、2割を切っていることも判明。

これは、APAC平均や世界平均の半分以下の数字となっており、日本企業が優先して取り組むべき課題のひとつとして挙げられます。

 

 

◆AIブーム:アジア太平洋諸国に後れをとっている日本のAI事情

 

世界平均で30%、APACでは41%の従業員がAIを活用していますが、日本では28%に過ぎません。

その一方で、AIの成長がキャリアに影響すると考える日本の従業員は約6割に達しているという調査結果もあります。

日本が競争力を維持するためには、チャットボットや仮想アシスタント、生成AI、機械学習、自然言語処理、ロボティックプロセスオートメーションなどのAI技術の導入が必要です。

労働力不足に悩まされている日本では、従業員の新しいスキルの習得や、AI技術の活用を奨励することで、AI導入の遅れを取り戻し、国際的な競争力を発揮できるようになります。

 

仕事でAIを使用している従業員の割合は年代や業界でも差がある

 

調査結果によると、特にIT・通信、プロフェッショナルサービス、ビジネスサービスの3業界でAIを積極的に活用する傾向が見られます。

逆に、最も活用が進んでいないと答えたのは、保険や不動産、運輸・流通といった業界です。

企業はダイバーシティの重要性を理解し、従業員へAIに関する適切な研修とサポートを提供することで、AIの実務活用が促進されます。

 

また、企業はAIの倫理的使用に関する明確なルールを設定し、責任ある活用姿勢を示すことも必要であり、これは、AIの誤用や悪用のリスクを軽減し、企業の価値観や目標に沿ったAI活用を実現することにつながります。

 

AIの導入が本格化することによって、長期的なキャリアプランに重大な変化が生じると予想する日本の回答者は半数を超えています。

AIツールの統合によって作業工程やスキル要件が急速に変容しているレジャー・旅行・観光やメディア・代理店、日用消費財などの業界では、この見方がより強まっており、今後、新しいスキルを習得したり、AIの最新動向を把握したりするように、従業員に働きかける企業の増加が見込まれます。

 

ペイジ・グループのCEO、ニコラス・カークはAIの課題について次のように述べています。

「AIの導入が日常業務で現実のものとなりつつある今、従業員は、この技術がもたらす変革の可能性に、恐怖と興奮が入り混じった感情を抱いています。

企業は、従業員の懸念に対処しながら、AIがもたらす機会を受け入れなければなりません。

このバランスが変革の時代をうまく乗り切るために不可欠なのです。

企業には、従業員がこの進化する状況に適応し、雇用市場での妥当性を維持するためのスキルアップやリスキリングの取り組みなどの積極的な対策が求められます。」

 

 

◆最後に

 

「人材トレンド2024」の調査結果によると、従業員と企業の間にある期待のギャップが、キャリアアップやフレキシブルな働き方、DE&Iへの取り組み、AIの導入など、現代の日本が抱える職場環境の課題に大きな影響を与えていることが明確となりました。

こうした状況を改善するために、本レポートでは以下に挙げる3つのステップを提言し、それぞれに具体的な提案を述べています。

 

1. 人材の定着・獲得戦略を再考する

2. 従業員の即応力を高める

3. 率直に発言できる雰囲気を作る

 

これからの企業は、フレキシブルな働き方やインクルージョン、テクノロジーに焦点を当て、将来に備えた強力な労働力の確保と、企業と従業員の間にある期待のギャップを最小化していく必要があります。

 

「人材トレンド2024 - 期待のギャップ」では、上記で紹介した点以外にも、人材の本音に関する重要な調査結果を公開しています。

雇用環境の競争がますます厳しくなるなかで、優秀な人材の獲得と定着に取り組むためには、正しい知識にアクセスすることが何よりも重要です。

 

同社の調査結果をより効果的に利用できるように、人材市場のあらゆる重要情報を簡単な操作で確認できる対話型ツールも用意されています。

 

 

◆「人材トレンド2024 - 期待のギャップ」

「人材トレンド2024 - 期待のギャップ」は、人材に関する情報や知見を専門に扱うペイジ・グループのビジネスインテリジェンスツール、Page Insightsがお届けしています。

採用に関するヒントや企業経営にも役立つ数多くの調査結果をまとめた本レポートは下記リンクよりダウンロードいただけます。

 

ダウンロードリンク:
https://pageinsights.co/tt24jpjp

 

調査期間: 2023年11月~12月

調査対象: 国内1,123名、世界50,000名

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