温かくも切ない痛快エッセイ!『まだ生きている 新装版』佐藤愛子著

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リベラル社は『まだ生きている 新装版』(佐藤愛子 著/1,430円[税込]/四六判単行本)を2024年7月22日に全国の書店・オンライン書店にて発売します。

 

まだ生きている 新装版

 

 

著者    : 佐藤愛子

定価    : 1,430円(税込)

判型    : 四六判(127×188mm)

頁数    : 312頁

発行日   : 2024年7月22日

ISBNコード : 978-4434343070

 

リベラル社は『まだ生きている 新装版』(佐藤愛子 著/1,430円[税込]/四六判単行本)を2024年7月22日に全国の書店・オンライン書店にて発売!

 

『まだ生きている 新装版』は、佐藤愛子さんが82歳の時に断筆宣言をした後に書き上げた渾身の作品。

現在公開中の映画『九十歳。

何がめでたい』も話題沸騰中です。

 

◆佐藤愛子さんより

100歳になってから、原稿用紙にむかってないんですよ。

書く力がないから書きたいものが出てこないのか。

書きたいことがなくなるものだから書かないのか。

どっちなのかな。

結局頭が働かなくなる。

それは寂しいもんですよ。

「老い」ていくことは、私なんかもそうだけど、ヤケクソみたいな人が多いでしょう。

ヤケクソってね、空襲なんていうことがあったわけですよね。

何も悪いことしてないのに、頭からあれが落ちてくるわけだからね。

逃げ惑うわけでしょう。

それもうヤケクソ以外に対処する方法はないんですよ。

頑張るっていうのは、耐えるっていうことなんですよ。

戦うことじゃなくてね。

 

◆編集者のコメント

佐藤愛子先生の復刊4作目『まだ生きている』を新装版で単行本化しています。

文字が大きく読みやすくなりました。

断筆宣言から、いかにして筆を持ったか。

「老いてこのまま終われるか!」という佐藤愛子先生のパワーが炸裂する渾身の作品です。

エッセイを読むと、その生き様のエネルギーに感心したり笑ったりしながら、いつの間にか元気をもらえます。

 

 

82歳の断筆宣言の後に書き上げた、「老い」の日常をユーモアに描いた作品。

人生の波瀾に耐え、ピンチの度に底力を出して乗り切る姿に、佐藤愛子さんの“真の姿”が見えてくる。

 

本書は、2023年11月に100歳を迎えた作家・佐藤愛子さんが、82歳の断筆宣言の後に書き上げた作品。

再び筆をとった時の心境「『引き時』もヘッタクレもあるもんか。」と、韓流にときめくばあさんに怒り出すところからエッセイがはじまります。

勧誘電話をかけてきたエラソーな若造にブチ切れ、韓流にときめくバアさんに喝!

ペンキの塗り替えでお金を持ち逃げされ、孫に負けじとアイドルの名を覚え、献体で潔い去り方をした友人にアッパレと感心する。

本書には、佐藤愛子さんが狂瀾怒濤の「老い」の日常をユーモアたっぷりに描いた全18作が収録されています。

苦難に遭う度にヤケのヤンパチになって、力を出して生きていく佐藤愛子さんの姿に元気をもらえる一冊です。

 

 

(本文抜粋)

退きどき

「孫がいてもこんなにときめくことが出来るのは幸せです」だと?ばあさんの幼児化ここに極まれり!なんだか急に胸に火がついて、元気が出てきた。

つまり私は怒り出したというわけだ。

「退き時」もヘッタクレもあるもんか。

私は俄にわかに原稿用紙を広げ、このシリーズの通しタイトルを記した。

「まだ生きている」と。

ヨン様のおかげか、オバタリアンのおかげか。

ヨン様騒ぎは私にとってのバイアグラになったのである。

 

想像力の問題

そういう佐藤さん、あなたなら騙されたことなどないでしょうね、と正面切って訊かれると、私は「ム、ム、ム」となる。

実をいうと騙されたことは数知れず、借金王の名をほしいままにした(?)かつての夫はいうに及ばず、大モノ小モノの騙し屋に散々やられているのだ。

向こうは騙しにかかっているわけではないのに、勝手に騙されたことも幾たびか。

もう少し用心深く生きることを心がけていれば、今は億万長者になっていたかもしれないが、よく考えてみると騙されて大損を被るものだから、必然的に働き蜂となってブンブン稼いだ。

そうして騙され、稼ぎを吐き出した。

騙されなければただの怠け者の欲なし、とてもブンブン稼ぎなどしなかったであろうから、いくら用心深く生きても億万長者にはならないのである。

 

不愉快!

萎えたという割にずけずけというね、といわれるかもしれないが、おそらくこれが「文句つけの佐藤」の最後の文句になるだろう。

いや、最後にしたいと思う。

もはや佐藤愛子、刀折れ矢尽きた。

モグラ叩きはもう飽きた。

十年か、二十年後、その頃は私はもうこの世にはいないだろうが、その時、「昔、佐藤愛子って、年中、文句をいっている作家がいてね、日本は滅びる、なんてよくいってたけど、一向に滅びないじゃないか」とコケにされるだろうか、それとも、「たいした作家じゃなかったけれど、いったこと当たりましたねえ」といいつつ、どこかの属国になって滅んでいくか。

後者も困るが前者も困る。

ああどうすればいいのだ。

この国はどうなっていくのか。

 

◆本書の主な内容

● 退きどき

● サトマギ

● なぜ小説を書くか

● ヤケクソ献体

● この道は誰もが通る道

● 雀百まで

● これでいいのだ!

● 誕生日の感懐

● ああ、川上宗薫

● 追憶考

● 花散る日に思う

…など

 

◆100歳を迎えた現役作家・佐藤愛子の3部作が人気

佐藤愛子先生の『女の背ぼね 新装版』『そもそもこの世を生きるとは 新装版』『老い力 増補新装版』の復刊3部作。

エッセイに描かれた凜とした佐藤愛子先生の生き様に憧れ、女の性(さが)や人間の正体を見透かしたような鋭い言葉にドキドキします。

 

『女の背ぼね 新装版』

『そもそもこの世を生きるとは 新装版』

『老い力 増補新装版』

 

■著者プロフィール

佐藤愛子(さとう・あいこ)

1923年大阪府生まれ。

甲南高等女学校卒業。

69年『戦いすんで日が暮れて』で第61回直木賞、79年『幸福の絵』で第18回女流文学賞、2000年『血脈』の完成により第48回菊池寛賞、15年『晩鐘』で第25回紫式部文学賞を受賞。

17年旭日小綬章を受章。

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