法人会員向けに与信管理クラウドサービスを提供する「リスクモンスター」の連結子会社である利墨(上海)商務信息咨詢有限公司(リスクモンスターチャイナ)は、利墨リスモン調べ「中国日系企業の業種分布ランキング」を発表しました。
リスクモンスターチャイナ「中国日系企業の業種分布ランキング」
・調査名称 :中国日系企業の業種分布ランキング
・調査方法 :中国における日系企業の法人登記情報に基づく調査
・調査対象媒体 :2023年3月時点で開示されていた法人登記情報
・調査対象企業 :中国全土で登記されている日本企業出資の中国企業及びそのグループ企業(株式保有率50%以上の会社及び、その会社が支配している会社(50%以上)をグループ会社とする)
・調査対象企業数:27,968社
“利墨リスモン調べ”は、リスクモンスターチャイナが収集した中国日系企業データベースや中国の業界情報を基に、独自に調査・分析を行ったレポートです。
中国日系企業データベースは、中国全土で登記されている日本企業出資の中国企業及びそのグループ企業と、日本の親会社情報を紐づけた企業情報で構成されています。
なお、調査に利用している中国法人登記情報は、2023年3月時点で開示されている情報であるため、企業の申告状況などにより最新の情報と異なる場合があります。
今回の「中国日系企業の業種分布ランキング」では、1位が卸売業(社数 5,516社、全体比率26.0%)、2位がビジネスサービス業(同2,824社、13.3%)、3位が小売業(同2,405社、11.3%)という結果になりました。
卸売業は2位の13.3%と12.7ポイント差をつけて1位となり、中国日系企業の4分の1が卸売業に集中していることが明らかになりました。
また、上位3業種の割合は50.6%で、中国日系企業の過半数が卸売業・ビジネスサービス業・小売業の3業種に集中しています。
背景
中国に進出している日系企業が特定業種に集中している要因は、それぞれの業種特性が考えられます。
卸売業は、メーカーから仕入れた商品を小売業者へ販売する事業です。
中国市場に進出する日本企業の多くは、日本で製造した製品を中国の日系企業へ輸出して、中国の小売業者へと販売する業態をとっています。
そのため、中国に進出する日系企業には、卸売業者が多くなる傾向にあります。
ビジネスサービス業は、コンサルティング会社や広告代理店、人材会社などが含まれるのが一般的ですが、さらにグループの持株会社と管理会社もここに分類されます。
中国に進出した大手の日系グループは、1社の持株会社あるいは管理会社を中心に子会社に投資していく形態がよくみられます。
このように、ビジネスサービス業には様々な業態の企業が含まれるため、企業数も多くなります。
小売業は、過去の調査(「中国日系企業の関連企業数」ランキング)においても関連企業が多い業種であることが分かっています。
小売業は、多店舗展開をしていくにあたって、各地域に拠点を設置するなどして、結果的に企業数が多くなると考えられます。
中国市場で事業を展開していくためには、中国ビジネスの特性を考慮する必要があります。
自社の競合優位性を確保するためにも、自社が参入する業種が中国市場ではどういう状況であるのかを把握し、適切な市場進出戦略を立てることが重要です。
[調査結果] 一部抜粋
中国における日系企業の動向を理解するには、業種分析が重要です。
どの業種の需要が高く、日系企業にとって優位性のある業種なのか、その答えは業種分析によって明らかになります。
今回の記事では、中国における日系企業の業種分布をランキング形式で探っていきます。
図表1を参照すると、中国の日系企業の業種ランキングでは、1位が卸売業(社数 5,516社、全体比率26.0%)、2位がビジネスサービス業(同2,824社、13.3%)、3位が小売業(同2,405社、11.3%)という結果になりました。
卸売業は日系企業全体の26.0%を占め、2位の13.3%と12.7ポイントの差をつけて1位となり、多くの日系企業が卸売業に集中していることが明らかになりました。
また、上位3業種の全体数に占める割合は50.6%で、日系企業の過半数が卸売業・ビジネスサービス業・小売業の3業種に集中しています。
4位以降は、4位が自動車製造業(社数 726社、3.4%)、5位が科学技術普及・応用サービス業(社数 694社、3.3%)、6位が汎用設備製造業(社数 673社、3.2%)、7位がソフトウェア・情報技術サービス業(社数 627社、3.0%)、8位が飲食業(同576社、2.7%)、9位が専用設備製造業(同542社、2.6%)、10位が金属製品業(433社、2.0%)となっています。
4位~10位の7業種の中で、製造業から4業種がランクインしていますが、全体に占める割合は1割程度で製造業の日系企業は少数といえます。
※業種は中国産業分類基準(GB/T 4754-2017大分類)に基づきます。
前述のように、中国に進出している日系企業の過半数は、卸売業・ビジネスサービス業・小売業の3業種に集中しています。
この上位3業種について注目し、各細分類業種で最も資本金額の高い企業を調査しました。
卸売業は、メーカーから仕入れた商品を小売業者へ販売する事業です。
中国市場に進出する日本企業の多くは、リスクを軽減させるために、日本で製造した製品を中国に輸入して、中国の小売業者へと販売する業態をとっています。
そのため、中国に進出する日系企業には、卸売業者が多くなる傾向にあります。
また、図表1の卸売業者の細分類業種に注目すると、「機械器具、金物製品及び電子製品卸売」が最も多く、その次に「その他卸売業」、「繊維・衣類・家庭用品卸売」が続いています。
中国市場では特に日本の機械器具や電子製品、繊維・衣類・家庭用品に対する需要が高いことが伺えます。
卸売業の中でも企業数の多い細分類業種TOP3で、資本金が最も多い日系企業は、シャープ株式会社、株式会社ファイントゥデイホールディングス、エイチ・ツー・オー リテイリング株式会社です。
ビジネスサービス業は、コンサルティング会社や広告代理店、人材会社などが含まれるのが一般的ですが、さらにグループの持株会社と管理会社もここに分類されます。
中国に進出した大手の日系グループは、1社の持株会社あるいは管理会社を中心に子会社に投資していく形態がよくみられます。
このように、ビジネスサービス業には様々な業態の企業が含まれることから企業数が多くなる傾向にあります。
ビジネスサービス業の中でも企業数が多い細分類業種TOP3で資本金が最も多い日系企業は、ヤマハ株式会社、トランス・コスモス株式会社、日産自動車株式会社です。
小売業は、多くの店舗を展開する必要があるため、企業数は多くなる傾向になります。
特に「総合小売」が小売業の社数の半数以上を占めています。
小売業の中でも企業数の多い細分類業種TOP3で、資本金が最も多い日系企業は、イオン株式会社、株式会社ファーストリテイリング、株式会社セブン-イレブン・ジャパンです。
現在、中国には多くの日系企業が様々な業種で参入しています。
特に卸売業、ビジネスサービス業、小売業に集中して競争は激しくなっています。
中国市場で事業展開していくためには、自社が参入している業種の競争状況を把握して、優位性を確保するために競合他社を分析して、適切な市場進出戦略を立てることが重要です。
リスクモンスターチャイナでは、中国本土において日系企業のビジネスを10年以上サポートしてきた実績や独自に収集した中国日系企業データベースを保有しています。
これらを活用して、最新の情報を発信するとともに、信用調査レポートやポートフォリオサービスなど企業の与信管理の効率化に役立つサービスを提供しています。
現在中国へ進出している、もしくは中国への進出を考えている日系企業の皆様に有用な情報・サービスを提供できるよう、今後も努めていきます。