日本能率協会総合研究所は、60~90歳の高齢者男女を対象に「ライフスタイル」をテーマとした自主企画調査を実施しました。
高齢者が加齢とともに直面する心身の変化や趣味・日々の活動など「ライフスタイル」を幅広く捉えることができます。
なお、本調査では新型コロナウイルス感染症が5類に移行した後の最新状況が把握できます。
また、2018年・2020年実施の過去調査との時系列比較もおこなっています。
日本能率協会総合研究所『高齢者ライフスタイル構造基本調査2023年』
調査名 : 高齢者6090レポートシリーズ『高齢者ライフスタイル構造基本調査2023年』
調査期間: 2023年10月12日(木)~2023年10月25日(水)
調査対象: 日本能率協会総合研究所が保有する「高齢者6090リサーチモニター」(全国に居住する60歳から90歳までの男女)
調査方法: 郵送調査
回答者数: 2,500名 性別・年齢・エリアに基づき母集団人口構成比に準拠して回収
今回は発表された調査結果から、性年代別の結果および、時系列比較を一部紹介します。
● 健康維持・老化予防のために、約6割が「歯や口の中をきれいにするようにしている」
● 女性は、ほとんどの年齢層において支出意欲が増加。特に80代前半は8ポイント近く増加
● 高齢者全体の約4割が老化・衰えを自覚している「睡眠の質」
● 高齢者のインターネット利用は、2020年に続き伸長。女性80代前半の約半数が利用
● インターネット利用者のうち、「LINE」利用率は8割、「YouTube」は6割
【調査結果1】健康維持・老化予防のために、約6割が「歯や口の中をきれいに」を実践
Q. あなたが健康維持・老化予防のために日頃おこなっていることを回答ください。
(複数回答)
健康維持・老化予防のために日頃行っていることを高齢者全体でみると、「歯や口の中をきれいにするようにしている」が最も高く約6割、次いで「十分な休息や睡眠をとるようにしている」「普段の食事の栄養バランスに気をつけている」「ウォーキング・体操など軽い運動で体を動かすようにしている」が5割台で続く。
また口腔内の習慣については、「洗口液・歯間ブラシなど通常の歯磨き以外のオーラルケア用品を利用している」が全体で36.0%、女性は4割強で男性と比べて10ポイント以上高い。
【調査結果2】女性は、ほとんどの年齢層において、健康維持・老化防止、美容への支出意欲が増加。
Q. 健康や老化防止、美容など、体のためにお金を使うことについて、あなたの考えを回答ください。
(単一回答)
特に80代前半は8ポイント近く増加
健康維持・老化防止、美容のための支出意欲に関して、「効果があると思えば、積極的にお金を使う」「一定の範囲内であればお金を使う」を合わせた“支出意欲あり”は、女性の増加が堅調。
女性はいずれの年齢層でも、2020年比・2018年比で同程度か増加傾向だった。
特に女性80代前半は、7割半が支出意欲ありと、2020年比・2018年比で8ポイント前後高い。
対して、男性60代後半~70代後半はコロナ禍で伸長した支出意欲がコロナ前の水準に戻っている。
【調査結果3】高齢者全体の約4割が老化・衰えを自覚している「睡眠の質」
Q. あなた自身が老化や衰えを自覚しているものをお答えください。
(複数回答)
老化や衰えを自覚していることは、「視力の衰え(文字が見づらい)」が最も高く7割弱。
次いで「髪の変化(白髪が増えた・細い・薄い・抜け毛等)」が7割弱、「記憶力」「肌の変化(シミ・しわ・ハリ・乾燥等)」が5割台で、上位にあがる。
その他「睡眠の質(眠りが浅い、寝つけない、寝起きが悪い等)」が約4割。
「睡眠の質」は2018年比で7ポイント増、2020年比でほぼ同程度で推移している。
【調査結果4】インターネット利用は、2020年に続き伸長。
Q. あなたはインターネット(メール送受信、ホームページの閲覧等)を利用していますか。
(単一回答)
女性80代前半の約半数が利用。
高齢者のインターネット利用率は伸長が続いている。
2020年調査時は、コロナ禍の影響もありインターネットの利用が顕著に加速したと推察された。
2023年は前回調査程ではないもののインターネットの利用率は増加傾向。
特に、女性80代前半の利用増加が目立ち、「自分ひとりで」と「誰かの手伝いが必要」をあわせると、約半数がインターネットを利用しており、2018年20.7%→2020年29.3%→2023年49.8%と前回調査時から20ポイント以上増加した。
【調査結果5】インターネット利用者のうち、「LINE」利用率は8割、「YouTube」は6割。
Q. あなたのSNSの利用状況についてお答えください。
(単一回答)
インターネットを利用者のSNSの利用状況を確認したところ、「LINE」の利用が最も高く8割を超え、次いで「YouTube」が6割だった。
性年代別でみると、「LINE」は男性と比べて女性の利用率が高い。
男性は年齢が上がるにつれ利用率は顕著に低下し、80代後半のインターネット利用者のうち5割強の利用に留まるが、女性80代後半は8割強が利用している。
「YouTube」は男女ともに年齢が上がるにつれ利用率は低下するが、女性80代後半は4割弱が閲覧・視聴している。
なお、「TikTok」の利用が最も低く、全体で1割を下回る。